氷の姫は戦場の悪魔に恋をする。

米田薫

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第43章挨拶

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その頃、ゼンは一足先に着替えを済ませ会場に入っていた。
そこには、ゼンが予想しているよりもずっと多くの人々が集っていた。
そして既に大量の料理と酒が振舞われており、会場は大盛り上がりだった。

「ゼン様。お久し振りです。」
ゼンがその様子を眺めていると、後ろから声をかけられた。
サッリであった。

ゼンは驚いて言った。
「お前。来て大丈夫なのか?」

サッリは言った。
「良くは無いですね。キキョウは良い顔をしないでしょう。ですが、大変お世話になったゼン様とエマ様の結婚式ですよ。行かないわけには行きませんよ。」

するとゼンと共に、戦った多くの兵士達もゼンの存在に気付き駆け寄ってきた。
「「ゼン様。おめでとうございます。」」

そして彼らは口々にゼンの思い出やエマとの思い出を話し出した。
ゼンがそれをにこやかに聞いていると、後ろから馴れ馴れしく、肩を組んでくるものが居た。

天下の名将として恐れられるゼンと肩を組める人間は一人しか居ない。
この結婚式の仕掛け人、ニカである。
ニカは相当に酔っているのか泥酔し、涙を流していた。


それを見てゼンが言った。
「お前のそんな姿を見るのは初めてだな。いつもはどんな状況でも気品ある様子だからな。」

それに対してニカは言った。
「見てみろ。ゼン。これはな。お前とエマを祝いたくてこれだけの人間が集ったんだ。お前はこれだけの人間に愛されているんだよ。」

ゼンは笑って言った。
「酒臭いぞ。あと、泣く程の話ではないだろう。」

ニカは言った。
「泣く程の話だ。だって、あの孤独で、孤高だったお前とエマがこれだけの人間に祝福さているんだぞ。これ程嬉しい事は無いさ」

ゼンは言った。
「大げさだぞ。だがありがとう。エマと結婚式が挙げられて本当に良かった。」

するとニカはなぜかゼンに抱きついて言った。
「ゼン。ごめんな。お前たちは俺の事を恨んでるよな。俺はお前達に多くのものを課しすぎた。そういうのは全部忘れて自由に暮らせよ。罪を負うのは俺だけで十分なんだ」

ゼンは微笑んで言った。
「やめろよ。皆が見てるだろう。俺達はお前を恨んだことなど一度も無い。それに、あれは俺の罪だ。」

ニカはゼンの言葉を聞いて悲しそうな顔を浮かべた。
するとゼンが言った。
「じゃあこれでお前の罪はなしだ。俺達に今日のような最高な催しを開いてくれたんだだからな。」

「ゼン。お前って思ったよりずっと良い奴だよな。お前とエマが一緒になって本当に良かった。」
ニカはその言葉を聞き、涙を流しながらゼンに抱きついたのだった。

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