氷の姫は戦場の悪魔に恋をする。

米田薫

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第42章着替え

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ある日、エマとゼンは、突然やってきた馬車に乗せられて、ニカの別荘に連れて行かれた。
エマは突然の事に驚いたが、ゼンは落ち着いていた。
恐らくゼンはこれから何をするか知っているのだろう。

ニカの屋敷に着くとエマとゼンは別々の場所に誘導された。
そして私は大きな鏡ばりの部屋に通された。
そこには、女性の使用人が10人程いてエマは彼女達に囲まれてしまった。

エマが驚いていると、彼女達のうち最も立場が高いと思われる女性が言った。
「エマ様ですね。それではお着替えを始めましょう。」

エマは驚いて言った。
「着替えですか?」

女性は言った。
「はい。エマ様は本日の結婚式の主役ですから。」

エマは詳しく事情を聞こうとしたが、彼女達は急いでいるらしく、エマは慣れた手つきで服を脱がされた。
エマは、多くの人に裸を見られて何だか恥ずかしくなった。

そしてエマはため息をついた。
「こういう事は事前に言って欲しかったですね。もう少し痩せたりとかこっちにも出来る準備が有ったのに。」

すると先程の女性が純白の美しい衣装を持ってきた。

エマは言った。
「凄く綺麗な服ですね。」

女性は言った。
「はい。本来、皇后様など、特に高貴な方がお召しになるものです。今回はニカ様の紹介で特別にエマ様のために作って頂いたそうですよ。」

エマは驚いた。
「たしかに。生地も見たことが無いくらい良いものだわ。」

女性は言った。
「はい。恐らくこの国で最高のものかと。なんでもゼン様が、エマ様はこの世界で最も美しい女性だから服装もそれに見合うものを用意してくれとおっしゃったそうです。愛されていらっしゃいますね」

エマはそれを聞いてため息をついた。
「世界一の美人は言いすぎです。それにお姫様扱いは正直きついものがありますね。わたしはそういう者ではないので。ですが、ゼンがそこまで言うのです。私が愛する人が私をそこまで評価してくれる以上期待に応えないわけにはいきませんね。」

そしてエマは厳しい目で言った。
「私はいままで正直見た目は気にしていませんでした。ですが今、私は美しくありたいと心から願っています。手段は問いません。出来る限りの手を打って私を美しくしなさい。」

すると女性は言った。
「お任せ下さい。私達は専門家です。出来る限りのことをして、エマ様を美しく着飾って見せましょう。もっとも素材は文句のつけようが無いほど美しいですがね。」

そしてエマの着替えが始まった。
まず、体にぴったりとした衣装を身につける。
その上から、何枚も重ね着をして、最後に先程の、純白の衣装を羽織った。
さらに、髪の毛も上に束ねて上げ、簪のようなものでまとめた。
その後は、顔に化粧をした。

エマは言った。
「非合理的だわ。動き難いしこれまでの私だったら絶対に着ないものだわ。」

すると女性が鏡を持ってきてエマに見せてくれた。
「でも凄くお綺麗ですよ。流石はエマ様です。」

それに対してエマは笑顔で言った。
「はい。ありがとうございます」

すると女性は顔をしかめた。
「エマ様は意外と姿勢が悪いですね。生まれは良いはずですのに動きも少し汚いですし。少し座り方と歩き方の練習をしますか」

エマはその言葉に苦笑いを浮かべた。
「はあ。これまでこういう事を避けてきたつけですね。」

そしてエマは女性と共に訓練を始めたのだった。
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