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第5章話し合い

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ゼンはエマが席に着いた事を確認すると話を始めた。
「俺はニカから(身を固めろ。お前もそろそろ結婚すべきだ。ちょうど独身でお前と気の合いそうな女の当てがあるから今度、そちらに行かせる)という連絡を受けた。だから俺はお前を門前払いにしようとした。だが俺にはお前がそういう女だとは思えない。どうしてここに来たんだ?」

エマは言った。
「結婚の話は聞いてません。私はただあなたが使用人を嫌がるので、世話をする様に言われました。」

ゼンはエマの言葉にため息をついた。
「そうか。すまない。ニカの奴は本当に曲者だな。」

エマはゼンの言葉に笑みを浮かべた。
「あの男には互いに苦労させられているようですね。」

そして二人は微笑み合った。
するとゼンが言った。
「お前は何と言う名前なんだ?そしてゼンとはどういう関係だ。」

エマは言った。
「エマ・ハウエルと言います。第30皇女で、ニカの妹です。」

エマの言葉にゼンは驚いた様子を見せた。
「皇女だと? こんな所に一人で来て大丈夫なのか?」

エマは頷いて答えた。
「はい。私はそういう姫とは違うので。生まれも悪いですし、嫁の貰い手も有りませんから。」

ゼンは言った。
「そうか。俺と同じだな。」

エマは言った。
「どういう意味ですか?」

ゼンは笑顔で答えた。
「自由を愛するという意味だ。」

エマは同じ様に笑みを浮かべて言った。
「始めて聞きましたが素晴らしい言い方ですね。」

ゼンは得意げに答えた。
「そうだろう。そもそも他人と一緒に暮らすなどごめんだ。いつ寝首を掻かれるか分かったものじゃない。」

するとエマは不満げに答えた。
「そこは一緒にしないで下さい。私はあなたと違って他人を信頼できます。」

その言葉にゼンは驚いた様子で答えた。
「じゃあどうしてお前はずっと一人なんだ?」

エマは言った。
「仕事で精一杯でしたから。あと。」

エマはそこで言うのを躊躇った。
そこでゼンが言った。
「何だ?」

ゼンの言葉にエマは少し照れた様子で言った。
「何を失っても良い。あの人の事を愛している。そう思える人に出会えなかったからです。」

その言葉を聞くとゼンは笑みを浮かべた。
そこでエマは怒った様子で言った。
「真剣に話しているんです。笑わないで下さい。」

するとゼンは言った。
「笑わないさ。ただ、素敵だなと思ったんだ。」

そして二人はしばらく話続けたのだった。
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