両性愛は人類愛!

真憂

文字の大きさ
2 / 17

地下アイドルはバイセクシャル!?

しおりを挟む
「I🖤きゅん 手を伸ばしてよ~ 」手を伸ばし、踊る。私のツインテールの髪の先が視界を掠める。小さなライブハウスでのライブ。ふと目線が合った客に向けてマイクを振り付けに合わせて傾けてみせた。

「お疲れっした~」

関係者に向けて頭を下げる。一緒に踊っていたはずの子達はそうしている内に一人もいなくなっていた。ライブハウスを出る。季節は冬だった。野方のライブハウス。今から吉祥寺にも行かなきゃならない。その前に駅ビルにでも寄ってウィンドウショッピングしていくか。

アイドルや芸能界を目指す女にとって流行は押さえておかなければならないものの一つだ。それを抜きにしても自分は洋服や美容が好きだった。ピンクメイクにハーフツインに革の黒のワンピにピンクのブラウス。これがあればあとは何にもいらない気がする程。

結構大きい駅ビルで16階位まであった。電車以外の交通機関も充実していそうだ。一階のブランドから見てまわった。4階辺りをぼうっとうろついていたところ、3人組の女の子達に声をかけられた。かわいいですねとかなんとか。

実は自分はバイセクシャルだ。3人の子をこの子はこういうタイプで自分の好み的には何点、と男が品定めするような目で見る事ができる。それでいて自分がかわいい女の子でいたいことには何の嫌悪感もない。むしろ誇りだ。

女の子達と別れ、6階のブランドのキャリーバッグのピンク色がかわいいな、と眺めていたところだった。

「あの…」

振り返ると先程の3人組の中の1人の子が所在無さげに立っていた。私的ランキングでは3人の内で残念ながら最下位。金髪の内巻きボブと濃い化粧でちょっと作られた感のある彼女は、私に言った。

「その…さっきお話した時凄く魅力的で印象深かったので…話したくて…つけてた訳じゃないんですけど…つけてたか!」

彼女は突然開き直ったように言った。「声掛けちゃいましたぁ」そして打ち解けて笑う。

あまり警戒心を感じなかった。企みがある相手は私は大抵勘で分かるし、本当に純粋に興味があって声を掛けてきたのだと彼女の様子からは感じ取れた。それに私は女の子が大好き。最下位だったとはいえ、好意を示されると急に彼女が可愛く思えてきた。それに純粋に嬉しい。おまけに彼女は腕に手まで添えてきた。こうなったら抗えない。男のようにダイレクトな性欲があるわけじゃないけど、少し後ろめたさを感じた。それからは腕を組んで2人で歩いた。

「なんか~お姉さんて影がある感じでいいですよね~かわいい系なのにMEITが似合いそうみたいな?どんなブランド好きなんですか~?」

「ブラピとか大好きだけど?他には特に無いな~」

「ブ…ブラピ?一本にしぼってる感じいいですね~かっこいいわ~」

「あはは、分からないなら分からないって言っていいよ。もう廃盤になったブランドなの」

「はは、そうっすね、あ、あの服お姉さんに似合いそう!」

彼女が指差したのは、地下1階のゴスロリブランドの服だった。夜空色。青と紫と黒。永遠に覚めない夢の色。永遠に覚めない…?私は何故か気が遠くなりかけたが、その前に彼女が続けた。

「なんかとっても楽しい~よかったらまたこうやって会いましょうよ。私の家この近くなんですけど、お姉さんまたここに用事あったら寄ってくださいよ。待ってますから」

「…次の約束は?」

「え?」

「次の約束。」

明日、彼女の家で、待ち合わせ。それだけ約束した。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

つまらない妃と呼ばれた日

柴田はつみ
恋愛
公爵令嬢リーシャは政略結婚で王妃に迎えられる。だが国王レオニスの隣には、幼馴染のセレスが“当然”のように立っていた。祝宴の夜、リーシャは国王が「つまらない妃だ」と語る声を聞いてしまい、心を閉ざす。 舞踏会で差し出された手を取らず、王弟アドリアンの助けで踊ったことで、噂は一気に燃え上がる――「王妃は王弟と」「国王の本命は幼馴染」と。 さらに宰相は儀礼と世論を操り、王妃を孤立させる策略を進める。監視の影、届かない贈り物、すり替えられた言葉、そして“白薔薇の香”が事件現場に残る冤罪の罠。 リーシャは微笑を鎧に「今日から、王の隣に立たない」と決めるが、距離を取るほど誤解は確定し、王宮は二人を引き裂いていく。 ――つまらない妃とは、いったい誰が作ったのか。真実が露わになった時、失われた“隣”は戻るのか。

【完結】冷酷伯爵ディートリヒは、去った妻を取り戻せない

くろねこ
恋愛
名門伯爵家に政略結婚で嫁いだ、正妻エレノア・リーヴェルト。夫である伯爵ディートリヒ・フォン・アイゼンヴァルトは、 軍務と義務を最優先し、彼女に関心を向けることはなかった。 言葉も、視線も、愛情も与えられない日々。それでも伯爵夫人として尽くし続けたエレノアは、ある一言をきっかけに、静かに伯爵家を去る決意をする。 ――そして初めて、夫は気づく。 自分がどれほど多くのものを、彼女から与えられていたのかを。 一方、エレノアは新たな地でその才覚と人柄を評価され、 「必要とされる存在」として歩き始めていた。 去った妻を想い、今さら後悔する冷酷伯爵。前を向いて生きる正妻令嬢。 これは、失ってから愛に気づいた男と、 二度と戻らないかもしれない夫婦の物語。 ――今さら、遅いのです。

彼女が望むなら

mios
恋愛
公爵令嬢と王太子殿下の婚約は円満に解消された。揉めるかと思っていた男爵令嬢リリスは、拍子抜けした。男爵令嬢という身分でも、王妃になれるなんて、予定とは違うが高位貴族は皆好意的だし、王太子殿下の元婚約者も応援してくれている。 リリスは王太子妃教育を受ける為、王妃と会い、そこで常に身につけるようにと、ある首飾りを渡される。

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

思い出さなければ良かったのに

田沢みん
恋愛
「お前の29歳の誕生日には絶対に帰って来るから」そう言い残して3年後、彼は私の誕生日に帰って来た。 大事なことを忘れたまま。 *本編完結済。不定期で番外編を更新中です。

さようならの定型文~身勝手なあなたへ

宵森みなと
恋愛
「好きな女がいる。君とは“白い結婚”を——」 ――それは、夢にまで見た結婚式の初夜。 額に誓いのキスを受けた“その夜”、彼はそう言った。 涙すら出なかった。 なぜなら私は、その直前に“前世の記憶”を思い出したから。 ……よりによって、元・男の人生を。 夫には白い結婚宣言、恋も砕け、初夜で絶望と救済で、目覚めたのは皮肉にも、“現実”と“前世”の自分だった。 「さようなら」 だって、もう誰かに振り回されるなんて嫌。 慰謝料もらって悠々自適なシングルライフ。 別居、自立して、左団扇の人生送ってみせますわ。 だけど元・夫も、従兄も、世間も――私を放ってはくれないみたい? 「……何それ、私の人生、まだ波乱あるの?」 はい、あります。盛りだくさんで。 元・男、今・女。 “白い結婚からの離縁”から始まる、人生劇場ここに開幕。 -----『白い結婚の行方』シリーズ ----- 『白い結婚の行方』の物語が始まる、前のお話です。

処理中です...