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第六部

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 お弁当のようなものを作るのは、それこそ前世ぶりで、なんだか楽しくなってしまい、あれもこれも、なんてフィジャとはしゃぎながら作っていたら凄い量になってしまった。
 ウィルフは体格がいいし、食べる方だけど、それでもこれ、食べ切れるのかな。

 フィジャもやりすぎたかな、とでも言いたげな表情で、「まあ、なんとか食べるでしょ」と言っていた。大丈夫、と言わないあたり、本当に多く作りすぎてしまったのが分かる。

 重いお弁当を持って、わたしたちは民間警護団の支所に来ていた。外からは前に一度見たことがあるけれど、中に入るのは初めてである。
 小綺麗で、イエリオの研究所の入口と似たような造りになっているのに、雰囲気は冒険者ギルドに似たものを感じる。努めている人が元冒険者ばかりだと、やっぱり備品の配置とかが、冒険者ギルドに寄って行くものなんだろうか?

 入口でウィルフにお弁当を届けに来たことを伝えると、受付の人は驚いたような表情を見せた。
 話が通ってなかったのかな、と、不思議に思っていたのが表情に出ていたらしい。「多分、ボク一人しか話が行ってないんじゃない」と小声でフィジャが教えてくれた。

 確かに、今朝、急にわたしも一緒に行くことになったしなあ。元々、フィジャだけに頼んでいたようだし、ウィルフも、そのつもりで受付に言っていたのかもしれない。

「ええと……こちらを。許可証は一つしかないので、必ず一緒に行動してくださいね」

 そう言って、受付の人が入館証を渡してくれる。イエリオの研究所でも渡される、首からぶら下げる紐がついているタイプの奴だ。
 やっぱり、フィジャだけがくるものだと思われていたらしい。でも、断られないってことは、わたしも行っても大丈夫、ということだろう。

 とりあえず、はぐれないように注意しないと。場所が場所だし、不審者だと思われたら一瞬で捕まりそう。それはウィルフに凄い迷惑がかかりそうなので、気を付けないと。

「今の時間だと、訓練場にいると思うので、そちらへどうぞ。その廊下をまっすぐ行って、突き当りを右に曲がってずっと行けば訓練場が見えてきます」

 まあ、流石にこのくらいは迷子にならないか、と思いながらも、わたしはフィジャに手を伸ばす。
 はぐれないように、と裾を掴もうとして、ちょっと迷って指先を握った。

「ま、迷子にならないように……」

「マレーゼ、方向音痴だもんねえ」

 あ、フィジャのこの表情、本当に迷子防止の為に手を繋いだと思ってる。スキンシップ好きで、よくしてくるくせに、こういうところ、少しだけ変に鈍感だよな、なんて思いながら、わたしはフィジャと手を繋いで歩いた。
 方向音痴じゃない、と反論出来ないのが、また辛いところである。
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