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第六部
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――……ふ、と、頭を撫でられたような気がして、目が覚める。意識は浮上したのに、体が上手く動かない。
確か、イエリオに貰った資料を読んでいて……。昼ご飯後、ということと、ここ数日、久々に働くようになって疲れが溜まっていることが重なって、うとうとし始めて――……。
その後の記憶がない。
多分、ソファにもたれかかるような体勢で寝てしまったのだろう。変な体勢で寝て、寝返りができずに体が固まったに違いない。その証拠に、指先とかは普通に動かせる。体を動かすのが億劫なだけだ。
なんとか目をこじ開けると、ウィルフが、散乱した紙を拾っているところが見えた。わたしが持っていたはずの資料だろう。寝落ちたことで、手から滑り落ちて床に広がったらしい。
ウィルフがいる、ってことは、もう夕方なんだろうか。今日のシフト、どうなっていたっけ。仕事のシフトを書き込む、皆が見れるカレンダーをリビングに置きはしたものの、寝起きの頭では思い出すことが出来ない。
「おかえり」
わたしは体を起こさず、寝そべったままウィルフに声をかけた。寝起きでも、声は変わらない方だと思っていたけれど、びっくりするほど掠れていた。
口を開けて寝てしまっていたのかもしれない。寝ている際に口が開いていると、乾燥して、寝起きの声が凄いことになるのだ。
わたしの声に振返ったウィルフは、呆れたような溜息をはいた。
「今、何時?」
「十七時前。全く……ソファで寝るにしても、もっとまともな体勢で寝ろ。後、床に紙を散乱させるな」
「――んぶ」
べち、とわたしの顔面に、ウィルフが拾った紙を押し付ける。一応、この国、土足文化なんだけど……。床に落ちたものを顔に押し付けられて汚い、と思う反面、ぶちまけたのはわたしが悪いので、おとなしく礼を言って書類を受け取る。
重たい体を起こすと、バサッと毛布が床に落ちた。……これ、もしかしなくてもウィルフがかけてくれたんだろうか。今日はイエリオとイナリは夜まで帰ってこないし、フィジャも、休みで、昼ご飯を食べた後に出かけていたし。
わたしは毛布を拾って、渡された書類を確認する。――……ちゃんと紙の端に書かれた番号順に並んでる。拾うだけじゃなくて、わざわざ整理してくれたんだろうか。
言葉はきつくて行動は割と雑に見えるくせに、その実、意外と丁寧で優しいこういうところが――。
「――……すき」
「は?」
……あれ、今わたし、何言った?
ウィルフの素っ頓狂な声からして、何か言ったのは間違いない。
「お前……」
「…………」
ウィルフの驚いた顔。段々と、頭も、寝ぼけたものから覚醒していく。
あれ――あれ!? わたし今、思ってたこと口に出した!? どこから言っちゃったんだ!?
確か、イエリオに貰った資料を読んでいて……。昼ご飯後、ということと、ここ数日、久々に働くようになって疲れが溜まっていることが重なって、うとうとし始めて――……。
その後の記憶がない。
多分、ソファにもたれかかるような体勢で寝てしまったのだろう。変な体勢で寝て、寝返りができずに体が固まったに違いない。その証拠に、指先とかは普通に動かせる。体を動かすのが億劫なだけだ。
なんとか目をこじ開けると、ウィルフが、散乱した紙を拾っているところが見えた。わたしが持っていたはずの資料だろう。寝落ちたことで、手から滑り落ちて床に広がったらしい。
ウィルフがいる、ってことは、もう夕方なんだろうか。今日のシフト、どうなっていたっけ。仕事のシフトを書き込む、皆が見れるカレンダーをリビングに置きはしたものの、寝起きの頭では思い出すことが出来ない。
「おかえり」
わたしは体を起こさず、寝そべったままウィルフに声をかけた。寝起きでも、声は変わらない方だと思っていたけれど、びっくりするほど掠れていた。
口を開けて寝てしまっていたのかもしれない。寝ている際に口が開いていると、乾燥して、寝起きの声が凄いことになるのだ。
わたしの声に振返ったウィルフは、呆れたような溜息をはいた。
「今、何時?」
「十七時前。全く……ソファで寝るにしても、もっとまともな体勢で寝ろ。後、床に紙を散乱させるな」
「――んぶ」
べち、とわたしの顔面に、ウィルフが拾った紙を押し付ける。一応、この国、土足文化なんだけど……。床に落ちたものを顔に押し付けられて汚い、と思う反面、ぶちまけたのはわたしが悪いので、おとなしく礼を言って書類を受け取る。
重たい体を起こすと、バサッと毛布が床に落ちた。……これ、もしかしなくてもウィルフがかけてくれたんだろうか。今日はイエリオとイナリは夜まで帰ってこないし、フィジャも、休みで、昼ご飯を食べた後に出かけていたし。
わたしは毛布を拾って、渡された書類を確認する。――……ちゃんと紙の端に書かれた番号順に並んでる。拾うだけじゃなくて、わざわざ整理してくれたんだろうか。
言葉はきつくて行動は割と雑に見えるくせに、その実、意外と丁寧で優しいこういうところが――。
「――……すき」
「は?」
……あれ、今わたし、何言った?
ウィルフの素っ頓狂な声からして、何か言ったのは間違いない。
「お前……」
「…………」
ウィルフの驚いた顔。段々と、頭も、寝ぼけたものから覚醒していく。
あれ――あれ!? わたし今、思ってたこと口に出した!? どこから言っちゃったんだ!?
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