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第五部
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準備するから、と言ったイナリさんを待ちながら、わたしは彼のチョーカーのチャームへ魔法付与をするか迷っていた。
おそらく昨日の夜からずっと作業をしていたのであろう彼は、シャワーを浴びに行ってしまった。準備に結構時間がかかると思われるので、多少、魔法付与をしてもいいと思うのだが。
でも、多分、イナリさんの家で過ごす間は、すごく時間を持て余しそうなんだよなあ。
フィジャの家では共通語の勉強や料理の練習をして、イエリオのときは家事をして。ウィルフのときはほとんど外に出ていたから暇自体がなかったけれど。
でも、イナリさんの家ではどれも出来ない。勉強を見てくれるわけじゃないだろうし、料理は出来ない。掃除は勝手に出来る部屋じゃないし。他人からと見れば散らかっているようにしか見えない部屋も、イナリさんからしたらある程度、物がどこにあるのか把握出来ている部屋だ。勝手に動かすわけにはいかない。
わたしの生活スペースに、と開けてくれた場所はソファくらいしかないので、床拭き程度の掃除くらいしかすることがないし、そんなのすぐに終わって時間が余ってしまう。
洗濯は個々でする、ということになっているし……。
それに、魔法自体の使用を控えたいので、やるなら一日の終わりに少しづつ進めたほうがいいかもしれない。後は寝るだけ、という状況なら、よっぽどのことがない限り魔法を使うこともないだろうし。
となると、今、魔法付与をするのはちょっと違うかな……。
しかし、暇なものは暇なわけで。シャワーの水が流れる音はまだするので、もう少しかかるだろう。
わたしはなんとなく、縛っていた髪をほどいた。こうなれば、いじれるのは自分の髪くらいしかない。
ぼーっとしているのもいいけれど、前世の生活でも、シーバイズの生活でも、忙しくないにしろ何かしら手を動かしたり頭を使ったりしていたので、本当になにもしない時間と言うのは落ち着かないし、もったいない気がする。
普段は後頭部のお団子にしていて、たまに余裕があればお団子だけでなく髪の束を一部ねじることもあるが、今日は簡単にお団子にしていた。
たまには気分を変えるのもありか、とわたしは編み込みとハーフアップを組み合わせた髪型にする。編み込みはあんまり得意ではないので、時間を潰すには丁度いい。
わたしが玄関横の備え付けの姿見でせっせと髪を整えて、セットが終わる頃に、シャワーを浴び終えたイナリさんが洗面台から出てきた。
シャワーを浴びたことで血流が良くなったのか、さっきまでクマが目立って死にそうだった顔色も、多少マシになっている。
「……髪型、変えたの」
「暇だったので、つい。というか、わたしの髪よりイナリさんの髪を気にした方がいいですよ、濡れてます」
滴るほど、というわけではないが、しっとり濡れている。このままにしておいたら風邪をひくのは確実だろう。
「……分かってるよ。今から乾かすんだってば」
そう言ってイナリさんはごちゃついた彼の居住スペースに向かい、一発でドライヤーを掘り当てていた。
うーん、やっぱり何がどこにあるかしっかり把握はできてるようなんだよなあ。
部屋の掃除は難しそうだし、どうやってこの家で時間を潰そう、と考えながら、引き続きわたしはイナリさんの出かける支度が終わるのを待った。
おそらく昨日の夜からずっと作業をしていたのであろう彼は、シャワーを浴びに行ってしまった。準備に結構時間がかかると思われるので、多少、魔法付与をしてもいいと思うのだが。
でも、多分、イナリさんの家で過ごす間は、すごく時間を持て余しそうなんだよなあ。
フィジャの家では共通語の勉強や料理の練習をして、イエリオのときは家事をして。ウィルフのときはほとんど外に出ていたから暇自体がなかったけれど。
でも、イナリさんの家ではどれも出来ない。勉強を見てくれるわけじゃないだろうし、料理は出来ない。掃除は勝手に出来る部屋じゃないし。他人からと見れば散らかっているようにしか見えない部屋も、イナリさんからしたらある程度、物がどこにあるのか把握出来ている部屋だ。勝手に動かすわけにはいかない。
わたしの生活スペースに、と開けてくれた場所はソファくらいしかないので、床拭き程度の掃除くらいしかすることがないし、そんなのすぐに終わって時間が余ってしまう。
洗濯は個々でする、ということになっているし……。
それに、魔法自体の使用を控えたいので、やるなら一日の終わりに少しづつ進めたほうがいいかもしれない。後は寝るだけ、という状況なら、よっぽどのことがない限り魔法を使うこともないだろうし。
となると、今、魔法付与をするのはちょっと違うかな……。
しかし、暇なものは暇なわけで。シャワーの水が流れる音はまだするので、もう少しかかるだろう。
わたしはなんとなく、縛っていた髪をほどいた。こうなれば、いじれるのは自分の髪くらいしかない。
ぼーっとしているのもいいけれど、前世の生活でも、シーバイズの生活でも、忙しくないにしろ何かしら手を動かしたり頭を使ったりしていたので、本当になにもしない時間と言うのは落ち着かないし、もったいない気がする。
普段は後頭部のお団子にしていて、たまに余裕があればお団子だけでなく髪の束を一部ねじることもあるが、今日は簡単にお団子にしていた。
たまには気分を変えるのもありか、とわたしは編み込みとハーフアップを組み合わせた髪型にする。編み込みはあんまり得意ではないので、時間を潰すには丁度いい。
わたしが玄関横の備え付けの姿見でせっせと髪を整えて、セットが終わる頃に、シャワーを浴び終えたイナリさんが洗面台から出てきた。
シャワーを浴びたことで血流が良くなったのか、さっきまでクマが目立って死にそうだった顔色も、多少マシになっている。
「……髪型、変えたの」
「暇だったので、つい。というか、わたしの髪よりイナリさんの髪を気にした方がいいですよ、濡れてます」
滴るほど、というわけではないが、しっとり濡れている。このままにしておいたら風邪をひくのは確実だろう。
「……分かってるよ。今から乾かすんだってば」
そう言ってイナリさんはごちゃついた彼の居住スペースに向かい、一発でドライヤーを掘り当てていた。
うーん、やっぱり何がどこにあるかしっかり把握はできてるようなんだよなあ。
部屋の掃除は難しそうだし、どうやってこの家で時間を潰そう、と考えながら、引き続きわたしはイナリさんの出かける支度が終わるのを待った。
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