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第四部
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「本当は、さっさと特級冒険者になって、『あの人』を自由にするつもりだった。それからのことは考えてなかったが……適当に、遠い街に行くのでも、それこそ、壁の外に戻るのでもよかったんだ。その、つもりだったが……あいつらと知り合って、友人関係になって――全部バレるのが、怖くなった」
わたしに知られて、すぐに殺そうとしてきたくらいだ。自分から、行動するのはなかなかに難しかっただろう。
「……黙って解放するつもりはなかったんですか?」
「この街は、ほとんどの奴が『あの人』を嫌っている――いや、憎んでいる。それなのに、解放する、なんて言ったら、『あの人』に『どうして』って理由を聞かれるだろうが。なんて答えるんだ? 向こうは俺のこと、知らねえんだから」
「それは……」
わたしは黙ってしまう。うまい誤魔化しの言葉が見つからなかった。
「俺のことを知らせないまま釈放するのも、不可能じゃない。でも、『あの人』が不思議に思って、本気で調べて――真実を知って、もし周りに言いふらしたら、どうなる? 俺は、『あの人』が、俺を助けてくれたことくらいしか知らない。名前も知らないんだ、性格なんかもっと知らない」
ウィルフさんは少しうつむいたまま、話を続けた。
そうして尻込みをして、いつか解放しよう、と思って。同時に、話すことへの恐怖心が日々つのっていく。
迷っているうちに、『あの人』に助けられたのは自分の夢で、自分が魔物だったなんて勘違いだったんじゃないのか。だって、現に、今自分は獣人で、この世に魔法なんて存在しない。そんなのは、子供に読み聞かせるようなおとぎ話の中にしかない。
迷いながらも、自分に言い聞かせるような言い訳が、彼の中で真実になり始めたとき――。
「そんなときに、お前が来た」
後は、言われなくても大体わかる。わたしが、ウィルフさんが元々魔物だったという『真実』にたどり着いてしまって、殺されかけたときに繋がる、ということか。
「……それなのに、今、解放する気になったんですか? こんな、込み入った話までして」
ずっと隠してきたこの話は、誰かに話したいものではなかったはずだ。現にわたし、一度殺されかけているし。
すると、ウィルフさんは顔を上げる。
「――お前の言葉が、信用に足りると、判断しただけだ。きっとフィジャたちは俺を見捨てないし、万一、軽蔑されたとしても、和解して、また仲良くなるまで――諦めねえ」
そう言うウィルフさんの目には迷いがないように見えた。
わたしに知られて、すぐに殺そうとしてきたくらいだ。自分から、行動するのはなかなかに難しかっただろう。
「……黙って解放するつもりはなかったんですか?」
「この街は、ほとんどの奴が『あの人』を嫌っている――いや、憎んでいる。それなのに、解放する、なんて言ったら、『あの人』に『どうして』って理由を聞かれるだろうが。なんて答えるんだ? 向こうは俺のこと、知らねえんだから」
「それは……」
わたしは黙ってしまう。うまい誤魔化しの言葉が見つからなかった。
「俺のことを知らせないまま釈放するのも、不可能じゃない。でも、『あの人』が不思議に思って、本気で調べて――真実を知って、もし周りに言いふらしたら、どうなる? 俺は、『あの人』が、俺を助けてくれたことくらいしか知らない。名前も知らないんだ、性格なんかもっと知らない」
ウィルフさんは少しうつむいたまま、話を続けた。
そうして尻込みをして、いつか解放しよう、と思って。同時に、話すことへの恐怖心が日々つのっていく。
迷っているうちに、『あの人』に助けられたのは自分の夢で、自分が魔物だったなんて勘違いだったんじゃないのか。だって、現に、今自分は獣人で、この世に魔法なんて存在しない。そんなのは、子供に読み聞かせるようなおとぎ話の中にしかない。
迷いながらも、自分に言い聞かせるような言い訳が、彼の中で真実になり始めたとき――。
「そんなときに、お前が来た」
後は、言われなくても大体わかる。わたしが、ウィルフさんが元々魔物だったという『真実』にたどり着いてしまって、殺されかけたときに繋がる、ということか。
「……それなのに、今、解放する気になったんですか? こんな、込み入った話までして」
ずっと隠してきたこの話は、誰かに話したいものではなかったはずだ。現にわたし、一度殺されかけているし。
すると、ウィルフさんは顔を上げる。
「――お前の言葉が、信用に足りると、判断しただけだ。きっとフィジャたちは俺を見捨てないし、万一、軽蔑されたとしても、和解して、また仲良くなるまで――諦めねえ」
そう言うウィルフさんの目には迷いがないように見えた。
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