転生からの魔法失敗で、1000年後に転移かつ獣人逆ハーレムは盛りすぎだと思います!

ゴルゴンゾーラ三国

文字の大きさ
186 / 493
第三部

184

しおりを挟む
「いや、本当にどうしたの?」

 尋ねてみても返事はない。毛布を被っているから声が届いていない、というわけじゃないだろう。
 イナリさんとのやりとりを思い出してみても、機嫌が悪いとか、体調がすぐれないとか、そういうことではなさそうなんだけど……。

 名前を呼んでみても、反応がなくて、少し考え込んでしまう。
 うーん、どうしたものか……あっ。

「そう言えばイエリオ、フェルルスって魔物がいるじゃない。あの魔物が魔法を使うんじゃないかって仮説を立てたんだけど」

「詳しくお願いします」

 にゅっとイエリオが顔を出した。ちょろいな。
 思わず笑ってしまうと、あっ、とイエリオが声を上げた。つい、顔を出してしまったことに気が付いたらしい。
 すす、とまた毛布で顔が隠れるが、目だけは出したままで。目線は合わないんだけど。

「――貴女に、合わせる顔がないんです」

「……どうして?」

 からかうつもりなどなく、本当に分からなくて聞いたのだが、駄目だったらしい。また頭まで毛布を被ってしまった。
 でも、話をするつもりはあるらしい。もごもごと、毛布の中で何か喋っている。声がこもって聞き取りにくいな、と思っていると、急に大きな声でイエリオが「だからっ、貴女にあわせる顔がなくて……っ」と叫んだ。

 布団の中からの叫びなので、周りに迷惑がかかるほど騒がしいことにはなっていないが、あんな大怪我をした翌日にそんな大声出して大丈夫なんだろうか。傷に響くんじゃないのか……?

「そんなに大声出して平気? 傷、痛まない?」

 試しに聞いてみたが返事はない。これは単純にさっきの延長なのか、それとも傷が痛みすぎて声が出せないのか。どっちだ。
 前者だったらいいが、後者だと……。傷が開いていると困るな。

「イエリオ、ねえ、大丈夫?」

 少し乱暴にはなるが、毛布をはぎ取る。すると、顔を真っ赤にして、涙目のイエリオと目が合った。

「わ、私にも羞恥心というものは、一応あるんですよ……っ」

 えっ、これ毛布戻した方がいいの? 別に毛布の下は裸だった、とかそんなことはなかったけど。昨日のイエリオの着ていた服とは別ではるが、普通のシャツだ。患者用のものだろうか。
 何に恥ずかしがっているんだろう、と思うと、イエリオが、絞り出すような声で、言った。

「あんな……死に別れの最期だろうからと、貴女への想いを伝えたのに……っ。死にたかったわけではありませんし、生きていること、助けてくださったことには感謝しています。……でも、それとこれとは話が別!」

 恥ずかしい、と今度は手で隠してしまう。そう言えば、散々後でからかってやる、と言ったような記憶がある。
 と言え、あれはわたしなりの励ましというか、無事に助けるという意思表明というか、そんな感じのものだったで、本当にからかうつもりはなかったのだが……。

 ここまで可愛い反応を見せられるとつい、からかいたくなってしまう。

「えーどうしようかなー」

「駄目ですって! 本当に、誰にも言わないでください! ――っ、いてて」

 イエリオが身をよじる。叫んで傷に響いたらしい。これ以上からかうのはやめておこう。傷が開いたら元も子もない。

「これに懲りたら、二度とああいうのはやらないでね。わたしは、イエリオを――あなた達のことは簡単に見捨てないつもりだから。次同じことしたら、それこそフィジャたちにも協力してもらって、飲み会でいじりまくってもらうから」

「……はい」

 ならよし、とわたしはイエリオの毛布を元に戻した。まあ、もう隠す必要もなくなったようで、イエリオは普通に顔を出したけれど。まだ少し、顔が赤く、目をそらしたままだったが。

 なお、イナリさんと合流した際、安心しきって子供みたいな、それこそべしょべしょに恥ずかしい泣き方をわたしはして、わたしだってあれをからかわれたら相当恥ずかしいが……ずるい人間なので、黙っておこう。
しおりを挟む
感想 27

あなたにおすすめの小説

召しませ、私の旦那さまっ!〜美醜逆転の世界でイケメン男性を召喚します〜

紗幸
恋愛
「醜い怪物」こそ、私の理想の旦那さま! 聖女ミリアは、魔王を倒す力を持つ「勇者」を召喚する大役を担う。だけど、ミリアの願いはただ一つ。日本基準の超絶イケメンを召喚し、魔王討伐の旅を通して結婚することだった。召喚されたゼインは、この国の美醜の基準では「醜悪な怪物」扱い。しかしミリアの目には、彼は完璧な最強イケメンに映っていた。ミリアは魔王討伐の旅を「イケメン旦那さまゲットのためのアピールタイム」と称し、ゼインの心を掴もうと画策する。しかし、ゼインは冷酷な仮面を崩さないまま、旅が終わる。 イケメン勇者と美少女聖女が織りなす、勘違いと愛が暴走する異世界ラブコメディ。果たして、二人の「愛の旅」は、最高の結末を迎えるのか? ※短編用に書いたのですが、少し長くなったので連載にしています ※この作品は、小説家になろう、カクヨムにも掲載しています

この世界、イケメンが迫害されてるってマジ!?〜アホの子による無自覚救済物語〜

具なっしー
恋愛
※この表紙は前世基準。本編では美醜逆転してます。AIです 転生先は──美醜逆転、男女比20:1の世界!? 肌は真っ白、顔のパーツは小さければ小さいほど美しい!? その結果、地球基準の超絶イケメンたちは “醜男(キメオ)” と呼ばれ、迫害されていた。 そんな世界に爆誕したのは、脳みそふわふわアホの子・ミーミ。 前世で「喋らなければ可愛い」と言われ続けた彼女に同情した神様は、 「この子は救済が必要だ…!」と世界一の美少女に転生させてしまった。 「ひきわり納豆顔じゃん!これが美しいの??」 己の欲望のために押せ押せ行動するアホの子が、 結果的にイケメン達を救い、世界を変えていく──! 「すきーー♡結婚してください!私が幸せにしますぅ〜♡♡♡」 でも、気づけば彼らが全方向から迫ってくる逆ハーレム状態に……! アホの子が無自覚に世界を救う、 価値観バグりまくりご都合主義100%ファンタジーラブコメ!

異世界推し生活のすすめ

八尋
恋愛
 現代で生粋のイケメン筋肉オタクだった壬生子がトラ転から目を覚ますと、そこは顔面の美の価値観が逆転した異世界だった…。  この世界では壬生子が理想とする逞しく凛々しい騎士たちが"不細工"と蔑まれて不遇に虐げられていたのだ。  身分違いや顔面への美意識格差と戦いながら推しへの愛を(心の中で)叫ぶ壬生子。  異世界で誰も想像しなかった愛の形を世界に示していく。​​​​​​​​​​​​​​​​ 完結済み、定期的にアップしていく予定です。 完全に作者の架空世界観なのでご都合主義や趣味が偏ります、ご注意ください。 作者の作品の中ではだいぶコメディ色が強いです。 誤字脱字誤用ありましたらご指摘ください、修正いたします。 なろうにもアップ予定です。

美醜逆転の世界でレンタル彼氏をしてみた

普通
恋愛
ある男が死に、転生した。そしてその転生した世界が美醜逆転世界だった。男はそれを知ると一儲けするためにレンタル彼氏をし始めるのであった。

無表情な黒豹騎士に懐かれたら、元の世界に戻れなくなった私の話を切実に聞いて欲しい!

カントリー
恋愛
「懐かれた時はネコちゃんみたいで可愛いなと思った時期がありました。」 でも懐かれたのは、獲物を狙う肉食獣そのものでした。by大空都子。 大空都子(おおぞら みやこ)。食べる事や料理をする事が大好きな小太した女子高校生。 今日も施設の仲間に料理を振るうため、買い出しに外を歩いていた所、暴走車両により交通事故に遭い異世界へ転移してしまう。 ダーク 「…美味そうだな…」ジュル… 都子「あっ…ありがとうございます!」 (えっ…作った料理の事だよね…) 元の世界に戻るまで、都子こと「ヨーグル・オオゾラ」はクモード城で料理人として働く事になるが… これは大空都子が黒豹騎士ダーク・スカイに懐かれ、最終的には逃げられなくなるお話。 小説の「異世界でお菓子屋さんを始めました!」から20年前の物語となります。

黒騎士団の娼婦

星森
恋愛
夫を亡くし、義弟に家から追い出された元男爵夫人・ヨシノ。 異邦から迷い込んだ彼女に残されたのは、幼い息子への想いと、泥にまみれた誇りだけだった。 頼るあてもなく辿り着いたのは──「気味が悪い」と忌まれる黒騎士団の屯所。 煤けた鎧、無骨な団長、そして人との距離を忘れた男たち。 誰も寄りつかぬ彼らに、ヨシノは微笑み、こう言った。 「部屋が汚すぎて眠れませんでした。私を雇ってください」 ※本作はAIとの共同制作作品です。 ※史実・実在団体・宗教などとは一切関係ありません。戦闘シーンがあります。

旦那様が多すぎて困っています!? 〜逆ハーレム異世界ラブコメ〜

ことりとりとん
恋愛
男女比8:1の逆ハーレム異世界に転移してしまった女子大生・大森泉 転移早々旦那さんが6人もできて、しかも魔力無限チートがあると教えられて!? のんびりまったり暮らしたいのにいつの間にか国を救うハメになりました…… イケメン山盛りの逆ハーレムです 前半はラブラブまったりの予定。後半で主人公が頑張ります 小説家になろう、カクヨムに転載しています

推しの幸せをお願いしたら異世界に飛ばされた件について

あかね
恋愛
いつも推しは不遇で、現在の推しの死亡フラグを年末の雑誌で立てられたので、新年に神社で推しの幸せをお願いしたら、翌日異世界に飛ばされた話。無事、推しとは会えましたが、同居とか無理じゃないですか。

処理中です...