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第二部
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おそらくはこのあたり、と、捜索〈ティザー〉の飛翔体が弾かれた場所にやってくると、不自然に一本の木が生えていた。あたりは平原で、背の高い草はある程度生えてはいるものの、木はこの一本しか生えていない。
明らかにこれがおかしい。
わたしは木をあれこれ調べていると、根元に石が埋まっているのに気が付いた。ほんの少しだけ、頭が見えている。
埋まっている石の周りは土が固く、つい最近埋められた物でないことが分かる。まあ、これを埋めた人間が、わたしの様に魔法が使えるのなら、いくらでも細工のしようがあるが。
辺りの土を掘り返すと、石の全容が分かる。明らかに何か魔法陣が書かれていた。細かい部分は分からないものの、ざっくりと見れば魔法を遮断する、妨害壁を展開するものだった。
「見つけ――つっ」
「おい、どうした」
「だ、大丈夫です。ちょっとびっくりしただけで」
石を拾い上げようとして、バチッと手が弾かれる。この石自体を守る魔法もかけられているようだ。
なんでこんなに厳重なんだ……。
魔法を解析するのも手だったが、面倒だし、時間が惜しいし、なにより少し我慢すれば無視できそうだったので、わたしはそのまま、石を握りしめると強引に石を拾い上げた。
――すると。
「……おい、なんだこれは。これも魔法のせい、だってのか?」
「うわあ。これはまた凄いですねえ……。こんな大きなものを隠してたのか……」
魔法を遮断するものだけではなく、認識そのものを遮断する魔法が、この石にはかかっていたらしい。
石を拾い上げたことにより石の座標がかわり、役目を果たさなくなった今、わたしたちの目の前には大きな屋敷が現れていた。
二階建てで、少なくとも冒険者ギルドよりは大きい。建物自体にはなにも魔法がかかっていないのか、廃墟と言うにふさわしいほど、朽ちていた。
「捜索〈ティザー〉」
飛翔体を飛ばすと、すーっとまっすぐ、屋敷の中へと飛んで行く。
「なるほど、あの中に……。気を付けて行きましょう」
あんな屋敷、魔法のセキュリティだとか、誰か潜んでいるだとか、そういう心配以前に、建物自体が倒壊しないか不安である。ちょっと乱暴に歩くだけで簡単に床が抜けそうだ。
そんなことを話しているうちに、ぱち、と頭の中で弾ける、というか、はまる、というか、そんな感じの感覚がし、ふっと、二階の一番奥の部屋にある、という実感がわく。
ようやく見つけた。
「二階の一番奥の部屋です。……本当に、気を付けて行きましょうね」
階段、抜けないといいんだが。なにか魔法がかかっていればある程度感知は出来るものの、床がいつ、どこが抜けるか、なんてわたしには分からない。
ぱっと外から見た感じでは、建物自体、中にも魔法がかかっている気配は感じられなかった。
明らかにこれがおかしい。
わたしは木をあれこれ調べていると、根元に石が埋まっているのに気が付いた。ほんの少しだけ、頭が見えている。
埋まっている石の周りは土が固く、つい最近埋められた物でないことが分かる。まあ、これを埋めた人間が、わたしの様に魔法が使えるのなら、いくらでも細工のしようがあるが。
辺りの土を掘り返すと、石の全容が分かる。明らかに何か魔法陣が書かれていた。細かい部分は分からないものの、ざっくりと見れば魔法を遮断する、妨害壁を展開するものだった。
「見つけ――つっ」
「おい、どうした」
「だ、大丈夫です。ちょっとびっくりしただけで」
石を拾い上げようとして、バチッと手が弾かれる。この石自体を守る魔法もかけられているようだ。
なんでこんなに厳重なんだ……。
魔法を解析するのも手だったが、面倒だし、時間が惜しいし、なにより少し我慢すれば無視できそうだったので、わたしはそのまま、石を握りしめると強引に石を拾い上げた。
――すると。
「……おい、なんだこれは。これも魔法のせい、だってのか?」
「うわあ。これはまた凄いですねえ……。こんな大きなものを隠してたのか……」
魔法を遮断するものだけではなく、認識そのものを遮断する魔法が、この石にはかかっていたらしい。
石を拾い上げたことにより石の座標がかわり、役目を果たさなくなった今、わたしたちの目の前には大きな屋敷が現れていた。
二階建てで、少なくとも冒険者ギルドよりは大きい。建物自体にはなにも魔法がかかっていないのか、廃墟と言うにふさわしいほど、朽ちていた。
「捜索〈ティザー〉」
飛翔体を飛ばすと、すーっとまっすぐ、屋敷の中へと飛んで行く。
「なるほど、あの中に……。気を付けて行きましょう」
あんな屋敷、魔法のセキュリティだとか、誰か潜んでいるだとか、そういう心配以前に、建物自体が倒壊しないか不安である。ちょっと乱暴に歩くだけで簡単に床が抜けそうだ。
そんなことを話しているうちに、ぱち、と頭の中で弾ける、というか、はまる、というか、そんな感じの感覚がし、ふっと、二階の一番奥の部屋にある、という実感がわく。
ようやく見つけた。
「二階の一番奥の部屋です。……本当に、気を付けて行きましょうね」
階段、抜けないといいんだが。なにか魔法がかかっていればある程度感知は出来るものの、床がいつ、どこが抜けるか、なんてわたしには分からない。
ぱっと外から見た感じでは、建物自体、中にも魔法がかかっている気配は感じられなかった。
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