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第二部

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 シオイモもエンエンマメも、塩味を付けたジャガイモとエダマメで代用可能と言えば可能なのだが、やっぱりなんかちょっと違うのだ。
 なので、再現料理をするならば、シオイモとエンエンマメが手に入らないとできない。シオイモとエンエンマメが今も残ってるとは限らないしなあ。

 ちなみに、魔法で生成することも可能ではあるが、天然ものと比べると全然おいしくない。そもそもわたしは無から有を生み出す魔法は苦手なのだ。探索〈サーチ〉や索敵〈サーヅ〉の様に、魔力を使って何かを一時的に出すのと、魔法が発動し終わった後にも現物が残るようなものは別物で、後者の魔法は本当に難しい。

 だからこそ、どちらかと言えば後者に通ずるものがある転移魔法に失敗したわけで……。

「シオイモとエンエンマメが手に入れば、いくらでも作るんだけど」

 シオイモとエンエンマメの説明をしてみたが、その名前にフィジャはいまいちピンと来ていないようだ。料理人のフィジャが知らないのなら、少なくともこの国での流通はないのだろう。あの味がもう食べられない、と思うと寂しいものがあるが、ないものは仕方ない。

「うーん、今度イエリオに聞いてみようか。イエリオは前文明のことならなんでも調べるし」

「見つかるといいね」

 そう言いながら、わたしはサラダの盛り付けを続行する。
 わたしがサラダを盛り付け終わる頃には、フィジャはスープとパスタソースを完成させていた。スープは何かの肉とキャベツらしき葉野菜が具のようだ。肉……肉、ねえ……。

「あ、あのさ、フィジャ」

「うん?」

「それ……何の肉?」

 そう、とても気になる謎の肉。一昨日のパスタソースにも、肉が使用されていた。おいしくてそのときは特に疑問に思わなかったのだが、獣人の先祖は動物。家畜、という概念が獣人世界にあるのかは分からないが、シーバイズにはあった。対して、フィンネルの街中には豚らしき獣人も、牛らしき獣人もいた。
 豚や牛、羊なんかを食用として飼っていたわたしからすると、なんというか、共食いの様に見えてしまうのだが……。

 恐る恐る聞いてみると、「肉は鳥しかなくない?」と言われてしまった。確かに鳥類っぽい獣人は、街で見かけなかった。なるほど、鳥は獣人への進化を遂げていなくて、食用になっているんだね……。

 どうしてそんなこと聞くんだろう、という顔のフィジャに、「そうだよね、鳥肉しかないよね!」と返しておいた。どうかわたしの質問の真意に気が付かないでくれ。
 共食いしてるかも、なんて思っていたことは、知られたくない。
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