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34話 告白と婚約成立

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ヴァルケノズさんの爆弾発言から凍り付いた会談だったが第1王妃が我に返り詰め寄る



「デザストル教皇は冗談が上手くお好きの様ですわね・・・」



「ははは、冗談ではありませんよ。こちらも色々ありましてな。この話も含めてランシェス王に会談を申し込みたいのですよ」



「冗談ではないと?聞き逃せませんわね・・・・」



「ふむ、少し別室にて話を。いや、御子様とラフィ君には席を外してもらった方が早いか」



「二人には聞かれたくない話だと?」



「聞かれても構わないのですが、二人には気分の良い話ではない内容が多いので」



第1王妃と教皇の静かな戦いが起こっていたが当事者をほっといて勝手に決めないで欲しい

何となくだが政略結婚っぽいので断る事にした



「ヴァルケノズさん。申し訳無いけど断らせてもらうよ」



そう告げるとミリアンヌが悲しげな顔になり、俺を見つめて問う



「グラフィエル様は私がお嫌いですか?」



「嫌いも何もあったばかりで良く知らないので。可愛い子だなぁとは思いましたけど・・・」



そう答えると顔を赤くして照れるミリアンヌがこう話をする



「私は幼い頃にヴァルケノズ教皇様からグラフィエル様と夫婦になると教えられました。顔も知らないお方なので初めは実感がありませんでした」



一呼吸置きミリアンヌは話を続ける



「8歳の時にゼロ様が訪ねられまして私にグラフィエル様のお話をして下さいました。ゼロ様のお話を聞いて私はグラフィエル様に会いたいと思う様になりました」



「ゼロは何て言ってたんですか?」



気になったので聞いてみる



「ゼロ様はもし俺の後を託すならグラフィエル様しかいないと。ただ会ったことも無い者と結婚しろとは言えないから情報は集める様にと言って最後はあった時に決めれば良いと仰っておられました」



「会ってみてどうでした?想像と違ったのでは?」



「確かに想像とは違いましたが良い意味で違いました。スタンビートの事件も聞きましたし許せない事はしっかりと言われる方とも聞いていました。とても家族愛が強い方であるとも思っております。外見もその、かっこいいですし・・・」



何かべた褒めされて過大評価されてないか?

そこまで出来た人間じゃないと思うんだけどなぁ

そんな考えを読み取ったかのようにミリアンヌは顔を赤くして



「私は!グラフィエル様と結婚したいです!!」



ド直球で来ましたか・・・

ミリアンヌは容姿端麗・性格も多分だがとても良い子だと思う

武はわからないが頭は良いだろう

今の所、文句のつけようがないんだよな

ただ、絶対に譲れない事もあるので一つだけ条件を出した



「ミリアンヌ様、一つだけ試験をしても良いですか?俺の中で絶対に譲れないものがあるのでそれを見せてください」



「わかりました。今すぐにでも出来るのですか?」



「出来ますよ。試験は料理です。俺は冒険者なので料理に関しては妥協したくないんですよ」



「では今から厨房で何か作りましょう。グラフィエル様はご希望はありますか?」



「そうですね。簡単に時間もかからず自信を持って出せる一品で」



「わかりました!直ぐに作って持ってきますね!」



そう言うとミリアンヌは厨房へと向かう

このお題、実は簡単そうに見えて非常に難しい

簡単に時間もかからず自信を持って出せる一品ってお題だが好き嫌いやどのような料理か等は一切言ってないのだ

ミリアンヌは気付いていないのか気付いているが自信があるのかはわからないが

ミリアンヌが戻って来るまでにもう一つを片付けるか

そう切り替えてヴァルケノズさんに視線を向けて睨む

ヴァルケノズさんは視線を逸らし話を変えようとするがにっこり笑って諦めさせた



ヴァルケノズさんはこの婚約で敵対派閥の何人かを味方につけたいそうだ

その話し合いには俺も同席して欲しいと言われた

敵対派閥の重要人物の一人がミリアンヌの祖父で彼女の加護の事を知る数少ない人物の一人らしい

最も知っているのはミリアンヌの両親と祖父母・前教皇と現教皇と枢機卿のみである



そして彼女を狙う貴族は多い

御子で容姿端麗な上に性格も良いとなれば引く手数多だろう

中には厄介な者もいるそうで家族だけではなく教皇も頭を悩ませてる

御子の結婚相手は教皇が推薦する者を一番初めに御子と会わせるのが教会の決まりでもあるそうだ

教皇推薦で決まれば次に教皇同伴で家族と会うとの事

決まらなければ家族が推薦した者になる

御子も王族と同じで恋愛結婚は出来ないのだ

ヴァルケノズさんは御子が間違いなく俺に一目惚れしたと言っているがホントか?



敵対派閥の力をそぎ落とした後にヴァルケノズさんはランシェス国王との会談を予定していた

俺にとって現状は政略結婚に近い形だが、御子のミリアンヌにとっては恋愛結婚に近い形になる

両者の立場的に微妙だがそこはその時考えよう

これを問題の先送りとも言う



他にも色々と問題が山積みである

一番の問題は他国の上流階級との婚約と俺の地位や立ち位置について

だがこれについてはヴァルケノズさんは問題ないと言った

俺が望むならセフィッド神聖国で公爵の地位を用意すると言われたが拒否した

ヴァルケノズさんも駄目元で提案したと言って直ぐに次の案を出す

婚約発表については予定通り行うとして御子はランシェス王国高度高等学院へ留学させる

俺の立場はランシェス王国のクロノアス男爵、とは行かず陞爵させる事となった

陞爵理由はセフィッド神聖国との結びつきを強くした事と護衛依頼で無理矢理にだ



次にミリアンヌの立場だが暫くの間は王城にて国賓扱いで滞在する

御子としての仕事はランシェス王国の教会支部で行う

翌年には俺の屋敷に引っ越しという流れなのだが皆一つ忘れている

俺はまだ婚約するとは言って無い事を

俺は最後にそれを言うと「え?今更言うの?」的な感じになった

え?だって試験終わって無いんだよ?

俺が聞きたかった話は別室待機させて迄しようとした内容だし



一応?話も一区切りついたところでミリアンヌが料理を作り終えて帰って来た

大体20分位だろうか?見ると俺だけではなく全員の分が運ばれて用意される

作ってきた料理はホットケーキっぽいものだった

前世ならばホットケーキと断言できるのだが、この世界だと味や名前が違ったりするのでぽいものになってしまうのだ



飲み物は紅茶だが香りが凄く良い

俺も紅茶は好きで転生前も後も飲んでいたがミリアンヌの紅茶は香りからして違った

茶葉を聞いてみるが普通に飲んだ事のある茶葉だった

同じ茶葉でこうも違うとは!今度淹れ方を聞こう



甘い物が苦手な人用に卵サンドと野菜サンドが用意されていた

甘い物は別に苦手ではないがサンドイッチが気になった俺は先にサンドイッチから食べる事にする

まずは卵サンドから食べる

・・・・・・ナニコレ?メッチャウマインデスケド!

絶妙な塩加減と胡椒に半熟に近い卵でありながら垂れる事のない絶妙の黄身加減

無言で食べてはいるが顔は間違いなく綻んでいるだろう

次に野菜サンドだがこれには脱帽した

野菜が温かいのにしっかりと生野菜のシャキシャキ感が残っているし塩加減が絶妙で満足感を与えるのだ



紅茶で一息つき次はホットケーキっぽいものだ

ホットケーキっぽいものはどうもパンケーキらしい

この世界にはベーキングパウダーは無いがドライイーストっぽいものがある

パンを焼く時に使ってるので名前は違うだろうが役割は同じだろう

ただドライイーストを使う際には発酵させる時間が必要なはずだ

この短時間でどうやってとも思ったがそこは魔法がある世界だ

魔法で発酵させることも可能なのだろう



パンケーキには果物とジャムが添えられていた

フォークとナイフで切り分けて添えてある柑橘系の果物と一緒に口に運びまたしても驚愕する

甘いが甘くないって表現が正解かはわからないが言えるのは美味いの一言だ

口に入れる時には確かに甘い匂いがするのだが口に含むとそこまで甘くなく、かといって甘さが足りないわけでもないのだ

柑橘系と一緒に食べたからなのかと思い今度はパンケーキだけを食べてみる

香りは甘いがパンケーキ自体は香りほど甘くはないけど甘みが足りないって事は無く普通に美味い

ジャムを付けると若干だが甘さが増すので、女性はジャム派が多いのでは?と思った



しかし、その考えは間違っていた!

ふと見て気付いたのだが女性陣は誰もジャムを付けてないのだ!

ルラーナ姉に一口貰って凄いの感想しか出なかった

女性陣と男性陣で甘さが違うのだ

女性陣に出された方は甘みが強いのでジャムを付けなくても満足できるのだ

じゃあ何故ジャムを添えたかだが紅茶でも使える様にしたためであった



この世界は砂糖がそこそこ高いし質によってはピンキリである

胡椒もそれなりの値はするが砂糖よりは安い

胡椒で大体大銅貨最低3枚で平均が5枚

砂糖はあまり品質が良くないもので最低でも倍なのだ

異性に合わせて甘さを調整するとかどんな使い方をしたんだ?

聞いてみると質が低・中・高の物を味見しつつ混ぜ合わせたそうだ

質の悪いものは香りも甘さも低いので男性陣には上質の砂糖は少なく中質をメインに低質も混ぜ、女性陣のは男性陣のとは真逆の配合ににしたそうだ

それに加えてジャムなどにも色々と手を加えてるらしい



もしかしてと思いジャムを食べくらめて見ると俺の思った通り女性陣のジャムは甘さ控えめであった

逆に男性陣の方がジャムに関してだけなら甘い

男性でも甘い物が好きな人の為にジャムで代用したのだ

女性陣は間違いなく大丈夫な範囲で作ったそうだ

気遣いが半端ないんですけど

パンケーキもサンドイッチも全員が完食し紅茶を飲む



紅茶を飲みつつ俺は覚悟を決める

まさか13歳でこの覚悟を決めなければならないとは・・・・・・



「あの?お口に合いましたか?」



恐る恐る落ち着かない様子で聞いてくるミリアンヌ

しかも上目遣い(俺の方が身長高いし仕方ないんだが)でそれがまたかわいいんだよな

だが俺も男でいつかは通らなければならないのが早まっただけだ!

・・・・・・・・・俺って何でも一般の同世代より早いよなぁ

目を瞑り、一通り考えを巡らせ、纏めた後にミリアンヌを真っ直ぐに見つめて答える



「え~、至らぬ点もあるとは思いますがこれから末永くよろしくお願いします。つきましては別の日に時間がある時で良いので他の料理も食べたいです」



これが俺の答えだ

情けない答えだ!?何とでも言え!これが俺の答えだ!!

もう少し気の利いた事言えたらなぁ・・・・・・はぁ・・・・・



俺が答えを出して数秒後、ミリアンヌが目に涙を溜め、口に手を当て喜んだ

数分泣いた後にミリアンヌはこう返した



「私こそよろしくお願いします。これからはミリアって呼んで下さいグラフィエル様」



「それじゃ俺の事もラフィで。近しい人は皆そう呼んでるから」



「はい。ラフィ様」



「様は要らないんだけどなぁ」



「その、成人して・・式を挙げて・・・ふ、夫婦になりましたら・・・あ、あなたと呼びますので。それまでは、その・・ラフィ様で・・・」



「わ、わかったよ。無理強いしても駄目だしね」



お互い顔を真っ赤にしつつ妥協する

周りの反応は様々だ

ヴァルケノズさんは両手を上げて万歳しルラーナ姉はおめでとうだが問題は王家の方々である



フェルは普通におめでとうなのだが第1王妃を除く他の王妃様方は笑顔で、リリィを除く他の王女様方も笑顔でかなり怖い

そしてリリィは、目がヤバいんですけど!?ヤンデレ化しそうで怖いんですけど!!

俺は何かヤバい事になったと思ったがここで第1王妃が口を開く




その言葉に俺は頭を抱えて頷く事しか出来なかった・・・
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