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166.口淫
しおりを挟む「そういえば、途中だったな。だが、もう疲れたろう。ユーキは横になっていて」
オーニョさんはそういうと、俺をころんとベッドに押し倒し、少し力のなくなった俺のペニスに手を伸ばした。
「だ、だめ。ルルルフさんが待ってるんでしょ?」
「産後すぐに乱入してくるほど、無粋なやつじゃない」
そうだった。こっちの出産はとんでもなく破廉恥なんだったと、俺は赤面した。
「だって、えっと、卵の前だし」
「むしろ卵の前だからこそ、営むんだよ」
そうだった。こっちの卵はそういう行為も含め、愛しあうことが必須なんだったと、俺はいよいよ言葉に詰まった。
でも、オーニョさんにだけ奉仕させるのは嫌なんだ。
「オーニョさんだって、まだだったでしょ? せめて一緒に、ね? 俺、ちゃんとできるよ」
「ユーキは、ちゃんとする必要なんてない。いっそ何もしなくていいんだ。息をして存在していてくれるだけで、私は幸せだから」
「そんな、めちゃくちゃな」
「そうかもな。でもそれが本音だ。ユーキはすぐに頑張りすぎてしまうから、きっと私が甘やかすくらいでちょうどいいんだよ」
オーニョさんはそういって、俺のペニスを口に含んでしまった。
オーニョさんの口の中でもぐもぐと刺激されれば、あっさりと元気をとり戻す愚息が恨めしい。
「んっ、んんっ、あ!」
オーニョさんは口淫をやめると、片手で俺のペニスを擦りながら、労るようにうしろに指を差しこんだ。
中に傷がないか、広げて確認しているようだ。
そんなところをまじまじ見るなと文句をいいたくても、ペニスを擦るオーニョさんの手は的確に動いたまま。
快楽にめっぽう弱い俺は、あんあんと声を上げることしかできない。
中の状態に問題がなかったらしく、確認を終えたオーニョさんの指が、弱いところをぐっと押しあげる。
先ほどの余韻から、二度目はすぐにやってきた。
オーニョさんは俺を疲れさせないように、手を休めることなくそのまま射精を促していく。
「あ、ぁ、ほんとに、いっ、ちゃう、から……あっ!」
あと少しというところで、腹の奥に覚えのある異変が生じた。
ぐぐっと、何かが下がってくる感覚。
俺はまさかまさかと思いながらも、オーニョさんに訴えた。
「あっ、中、へんっ! オーニョさん、どうしよう、きちゃう! また、きちゃうよぉ!」
パニックになった俺が、事態を上手に伝えられなかったのは、仕方がなかったのだと思いたい。
そして俺がイきたがっているのだと、オーニョさんが勘違いしてしまったのも仕方がなかった。
オーニョさんはさらに激しく手を動かし、先端を口に含んで射精を促した。
違う、そうじゃないという俺の制止の声は、嬌声にかき消えて。
「ちがぁっ、あっ、まって! うっ、あああああ!」
一度できた道を、二個目の卵はすんなりと降りてきた。
オーニョさんの指を押しのけ、シーツの上にころりと転がり落ちる。
オーニョさんの手は驚きに動きを止めているのに、高められた俺の体は止まらない。
俺のペニスは勝手にぴゅくぴゅくと吐精し、オーニョさんの口元を汚していった。
「ユ、ユーキ」
「……オーニョさんの、ばか……」
俺は精根尽きはてて、目を閉じた。
ようやく我に返ったオーニョさんが、大騒ぎしながらルルルフさんを呼んでいる声が、遠くで聞こえる。
お願い、せめて俺の体を、もっと欲をいえばベッドもだけど、全体的に行為の痕跡を綺麗にしてから人を呼んでください。
――俺はそんなことを思いながら、意識を手放した。
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