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164.産卵

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「ユーキ。痛くはないか?」

「うん。痛くはないよ。大丈夫。ただ、ぎゅうぎゅう押されてるみたいで、ちょっと、苦しくてね」

「卵が詰まってるのかもしれませんね。ユーキ。これは、卵の動きを緩やかに促進させる成分の入ったオイルです。効能の高いハーブから抽出しました。僕が作ったものなので、品質には自信があります。ユーキの体にも、卵にも、害はありませんからね?」

「うん。ルルルフさんの作った薬なら、この世界で一番いい薬だね。ありがと」

「私は別室で待機しています。何かあったらすぐに飛んできますので、いつでも呼んでくださいね」



 ルルルフさんはそういって、液体の入った小瓶をオーニョさんに手渡した。


 オーニョさんは、ルルルフさんが部屋の外に出ていくのを確認してから、落ちついた様子で小瓶を傾け、手のひらにオイルを取りだした。

 体温でしっかり温めてから、服の下に手を滑りこませ、直接お腹に塗っていく。


 力を入れることなく、上から下へと撫でるだけの優しい手つきだった。

 オーニョさんの大きな手が、服の下で俺のお腹を温める。



 知らず知らずのうちに力の入っていた体が、ゆっくりと緩んでいくのが分かった。


 オーニョさんはもう一度小瓶のオイルを取りだすと、丁寧に温めてから、今度は俺のお尻に塗っていった。



 ゆっくりと、まるで初めてのときのように慎重に、オーニョさんの指が入ってくる。

 少し出し入れすると、またオイルを足して、オーニョさんは中を確認するようにぐるりと指を回した。



「あっ」

「痛くは、ないな?」

「う、うん」




 連日のように愛しあっている俺の体は、オーニョさんに触られるとすぐに柔らかく緩んだ。

 そうでなくても昨夜の名残で、俺の体はまだオーニョさんをはっきりと覚えているのだ。


 物欲しそうに、奥がうずうずと痺れる。




「あ、あん、オーニョさんっ、何か、中が変で、んっ」

「ああ。このオイルには、少しだけ、気持ちよくなる成分が入っているんだ」

「な、な、なんで、そんなっ」

「卵が成長するのには、愛しあうことが、大切だったろう? だから、つまり、ユーキの許可があれば、今から愛しあいたいと、思っている。
 そのほうが卵も下りてきやすくなるんだ。これは昔からこの世界で行われてきた出産方法で、決して卵の負担にはならないようにすると、約束する。どうか私を信じて、身を任せてくれないか」



 まさかの物理的な方法で卵の動きを促進すると分かって、俺は目をつぶった。

 まだ異世界で知らないことがあっただなんて。
 知りたくなかった。



 オーニョさんの手は、俺の気持ちいいところにそっと触れていく。

 絶妙に弱い力加減で、中がせつない。
 物欲しそうに揺れるお尻が止まらない。



「やはり、いやだろうか。渡来人には馴染みのない文化だと聞いた。ユーキが嫌なことは、したくないのだが」



 オーニョさんはそういって、愛撫の手を止めてしまった。

 オーニョさんは殊勝な顔をしているが、俺は気付いていた。
 俺の腰あたりで、硬くなっているオーニョさんに。

 俺は諦めて、後ろ手でオーニョさんの大きくなったペニスをなで上げた。




 この優しい獣は、こんなときでも俺が欲しがらないと、先に進んではくれないらしい。

 いつまでたっても遠慮がちで、なぜだか俺が誘ってばかりになるのだ。

 腑に落ちない。



 それでもオーニョさんの我慢する姿は見たくないのだから、まったく愛とは厄介なものだ。
 


「オーニョさん。俺、奥がせつない、から……ね?」



 オーニョさんは待てを解除された犬のようにぱっと喜んで、自分のペニスにオイルをぶちまけると、俺を向かいあわせに抱き上げた。


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