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144.優しい繋がり
しおりを挟む見つめあったまま何度もキスをして、それからゆっくりと入ってきた。
オーニョさんは絶対に無理はせず、少し侵入をしては戻っていく。
「オーニョさ、んっ、は、ぁ」
「ユーキ、上手だ。ゆっくり息をして」
「ふううぅ、……んっ」
一生懸命にはふはふと呼吸をくり返すが、ぎりぎりとこじ開けるような質量に、俺の体がこわばる。
そのたびにオーニョさんは動きを止めて、あやすように優しくあちこちに唇を落とした。
入り口の気持ちいいところを大きく広げて、中の気持ちいいところを擦りあげて、ゆっくり入ってくるオーニョさん。
こんなに大きいのに、オーニョさんが時間をかけて愛してくれたからか、痛くはなかった。
ただとにかく熱くて、圧迫感が息苦しい。
時間をかけて少しずつ侵入したペニスが、ようやく最奥をノックしたときには、オーニョさんと二人で汗だくになって抱きしめあっていた。
「あ、あ、あっ、ん。オーニョさ、んっ。は、入った? 俺、ちゃんと、できた?」
下から見上げたオーニョさんは、汗で貼りついた俺の髪を優しく撫でながら、少し困った顔をして微笑んでいる。
「ああ。いっぱい頑張ってくれて、ありがとう。痛くないか?」
うんと頷きながら視線を下げれば、深々と刺さってまだ余りあるオーニョさんのオーニョさんが目に飛びこんできた。
確実に拳一つぶんは入りきれていない事実に、俺は盛大にうろたえる。
「う、うそ。まだそん、な、ぁ、んっ」
「初めてだからな。こうして受け入れてくれただけで、充分だ。無理をしなくてもいい」
ずるりと抜けていく感覚に、俺はオーニョさんにしがみついて体中で引き止めた。
連動するように、中もぎゅうぎゅうと動く。
さらに大きくなったオーニョさんがぐっと内側を押しあげて、息が詰まった。
俺の中はもうぎちぎちで、オーニョさんも苦しそうにこらえている。
俺も男だ。
この状態が生殺しなのは分かる。
こういう行為が入れて終わりではないことくらいは知っている。
オーニョさんに、俺でちゃんと最後まで気持ちよくなってもらいたい。
「だ、いじょう、ぶ。痛くないよ。俺、大丈夫だから。オーニョさん、もっと、しよ?」
「ユーキ……。ゆっくり、動くから。無理はしないと、約束してほしい」
「うん。約束、ね。だからオーニョさんも、俺で、気持ちよく、なって?」
俺はオーニョさんの首に腕を回して、精一杯のおねだりをした。
グルルとオーニョさんの喉の奥から、うなり声がする。
見れば、牙をむき出し、腕に筋が浮かぶほど力を入れてベッドシーツを握りしめている。
――きっと俺が不慣れだから、いっぱい我慢させちゃってるんだよね。
俺はごめんねの気持ちをこめて、オーニョさんの首に回した手で、うなじを撫でた。
オーニョさんは大きく息を吐いて力を抜くと、俺の首筋に顔を押しつけて、心底困ったという声でつぶやく。
「あまり、あおってくれるなよ。ひどくしてしまいそうだ」
よく分からなくて首をかしげれば、オーニョさんは微笑んで、優しく手をつないでくれた。
恋人つなぎだ。
オーニョさんの指先が、慈しむように俺の手の甲を撫でる。
つないだ手はそのままに、オーニョさんは緩やかに動きだした。
途中まで抜けた状態のまま無理はせず、入り口付近をかすかに揺するだけのささやかな動きだ。
奥の圧迫感が減ったからか、俺も少し余裕ができた。
ゆっくりと息を吐きながらオーニョさんに笑いかけると、オーニョさんは夢のようだと何度もうわ言のようにくり返した。
「幸せだ……」
「あっ、ん、俺も、だよぉ。オーニョさん」
オーニョさんは優しい動きのままで、俺の気持ちのいい場所を的確に擦りあげ刺激をくり返した。
先ほどまでさんざん指で教えこまれていた快楽だ。
それをちゃんと覚えていた賢い俺の体は、オーニョさんの動きに合わせて次第に反応を示しはじめた。
俺が気持ちよくなると、オーニョさんはすごく嬉しそうだった。
そんなオーニョさんを見れば、俺まで嬉しくなれるのだ。
オーニョさんにとても大切にされているのだと体中で感じて、俺は恥ずかしがらずに気持ちいいと伝えられるようになっていった。
「んぁっ、きもちい、オーニョさん、きもちいいっ!」
「ああ。気持ちがいいな。もう少し、頑張れるか?」
「うんっ! あっ、もっと、ひゃっ!」
背中がしなる。
ビクビクと痙攣するくらいに気持ちがいいのに、最後の一押しがなくて上手くイケない。
俺はイキたいのにイケなくて直接的な刺激が欲しくて、オーニョさんのお腹にペニスを擦りつけるように腰を動かしてしまった。
恥ずかしいけれど止まらない。
オーニョさんはそんな俺にすぐ気付いて、俺のペニスを握るとにちにちと音を立てて擦ってくれた。
「あああ、も、だめ、いっ、いっちゃうっ! んっ、オ、オーニョさんもっ! 一緒に……っ!」
「くっ! ああ、一緒にっ!」
オーニョさんがスピードを速めていく。
それと同時にペニスの先端をくじるように刺激されて、俺はたまらずオーニョさんの手の中に吐精した。
ぐっと奥に入ったオーニョさんも、少し遅れて達したようだ。
ぴくぴくと動くオーニョさんの腹筋を、俺はうっとりと指先でたどった。
視線の先では、入りきれていないオーニョさんが名残惜しそうに動いているのが見えた。
「ね、オーニョさん。んっ、もっとたくさん、したら、ぁ、いつか全部、入るかなぁ」
息を整えながらそういえば、俺の中でオーニョさんのペニスが再び膨らんだのが分かった。
それなのにオーニョさんは、慌てて体を離すと素早くズボンに足を突っこんだ。
「んっ。なんで? 俺、大丈夫だよ。オーニョさん、……もっと、しよ?」
「少し赤くなっているからな。今日はやめておこう」
「ぜんぜん痛くないよ。オーニョさん、いっぱい優しかったから。俺、平気。オーニョさんが気持ちいいの、俺、嬉しいな。だから、ね、もう一回……」
「駄目だ。痛くなってからじゃ、遅いんだ。それとも明日ルルルフに、ここにつける薬を処方されたいのか?」
「う、……それは、嫌だなぁ」
「そうだろうとも。ほら、体を拭こう。今日はもう、ゆっくりおやすみ」
俺は小さな子供みたいに体を拭かれて、手早く服を着せられてしまった。
自分でやれるといいたかったけど、思っていたより体は疲れていたようだ。
体の芯が溶けてしまったようにぐにゃぐにゃで、力が入らない。
オーニョさんに毛織りの掛け布をかけられ、あやすように優しくとんとんとされれば、まぶたが重くなっていく。
「一人は、やだ。オーニョさん、いっしょに、寝よう」
「ああ。私も一緒に寝るよ。そばにいる。だから、安心してお眠り」
オーニョさんに抱きしめられながら、俺は夢も見ずに眠りについたのだった。
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