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64.ゴロゴロ
しおりを挟む『えっ、ちょっと……。オーニョさん、今の俺の話、ちゃんと聞いてました?』
『いや、すまない。ちゃんと聞いていた。ユーキが聞いてくれというなら、いつでも真剣に聞く。で、話は終わっただろうか』
『終わりましたけど、えっ、そんな反応……!?』
俺、結構、勇気を出して話したんですけど。
『いや、しかし、ユーキが私を嫌いではないのだと分かって、嫌われてしまったかと不安に思っていたぶん、喜びがフツフツとだな。……ちゃんと話を聞いた上で、もう一度いうよ。
ユーキが自分を卑下することは何もない。愛しているんだ。だからどうか、ただ、私がユーキを愛することを許してほしい。それだけでいい。お願いだ』
ゴロゴロ喉を鳴らしながら、頭をすり寄せての熱烈なオーニョさんの告白に、俺はうろたえた。
こんなにもダメな俺を知っても好きだといってくれるなら、もうそれでいいじゃないかという気持ちが頭をもたげる。
いやしかし、負けるな俺!
『それは〝運命の糸〟を盲信して勘違いをしているだけであって、オーニョさんだったら、もっと素敵なかたと幸せになれますのでっ』
俺が心を鬼にしてそういうと、今度はきゅんきゅん悲しそうに鼻を鳴らしはじめた。
オーニョさん! 俺の弱点を的確に攻めてくるなんて、あまりにもずるい……っ!
はっ! まさかオーニョさん、ワザとやってます!?
『これこれ、ンッツオーニョよ、やめなさい。地球人は繊細なのだから』
俺が何かいう前に、アキュース神さまが優しい声であいだに入った。
『ユーキ、運命の糸なんてものは本当は何もないんだよ。ただ私が、お互いに一番合いそうだなと思う者のもとへ、渡来人を運んでいるだけなんだから。
なにしろここで生まれた子どもたちのことなら、よく知っているからね。考え方、仕草や見た目など総合して、しっかり好みの者のもとへ、ね』
アキュース神さまは、懐かしいなぁとつぶやいた。
『私も伴侶に出会ってすぐのころは、なかなか受け入れてもらえなくてね。
私の何もかもを好いているのに、なぜそうも意地を張るのかと。そう本人に聞いたら、一ヶ月は口をきいてもらえなかったものだよ。
ンッツオーニョよ、地球人は繊細なのだ。よく覚えておきなさい』
木が、いえ神さまですけど、見た目が木なのに好みだろうと言われた地球人さん、いろんな意味ですごい。
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