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15.お風呂に入りたい
しおりを挟む「あ、はいはい。いい感じのところごめんなさいね。ちょっと失礼」
ルルルフさんが、一ミリも悪びれずに割りこんできた。
「ご飯ついでに着替えとか当面の細々した日用品を、市場で買ってきてもらえませんか? 街の案内はまた後日するとしても、ンッツオーニョ大佐が一緒なら、夜の市場でも心配はないでしょうし。日常会話の練習や通貨の勉強にもなりますからね。鉄は熱いうちに打て、ですよ!」
『え、ルルルフさんは一緒に行かないの? 言葉とか、まだすごく不安なんだけど……』
「でもほら、僕が一緒だと語学の習得の妨げになるので。まぁ大丈夫ですよ。追い詰められたほうが力を発揮するじゃないですか。切羽詰まって必死になるのがいいというか。ラクして身につくものはなしですよ!」
『じゃあ、その前に一個だけお願いがあるんですけど、いいですか。俺、ちょっともう限界で。できるなら体を綺麗にしたいんです。お風呂とかあれば、貸してもらえませんか』
こうなったら砂風呂でもなんでもいい。
塩まみれでこの椅子に座るのも申し訳なかったのに、このまま出歩くなんて苦痛すぎる。
そんな俺を見て、ルルルフさんはなぜだかぱっと笑顔になって、何度も頷いた。
「ユーキさんのお国は、お風呂大好き国家でしたものね。もちろん大丈夫ですよ。
少し離れた場所には山田さんが作った露天風呂もあるので、ゆっくりお風呂を楽しむこともできますから!
ただ今日は残念ながら時間がないので、備え付けのシャワーで我慢してくださいね。
そうと決まれば、先にユーキさんのお部屋と施設の案内をすませちゃいましょうか。そのほうが何を買ってくればいいのか分かりやすいですものね」
「ユーキの部屋か。私も一緒に見せてもらうことは可能か?」
「ふふふ。ユーキさんのこととなると必死ですねぇ。何も問題はありませんとも。はいはい、あんまり顰めっ面ばかりだと、怖がられますよ? さて、ユーキさん。シャワーの前に、ンッツオーニョ大佐も一緒に施設を見て回りたいそうです。よろしいでしょうか」
オーニョさんの言葉は、俺には早口すぎてよく分からなかった。
それでも特に断る理由のない俺は、ルルルフさんに促されるままオーニョさんの申し出を受け入れた。
オーニョさん親切すぎない?
仕事とか大丈夫?
今日は休みの日なのかな。
聞きたいことはたくさんあるのに、今はまだ言葉が追いついていないのだ。
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