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01.猫獣人は家に憑く?
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生活文化は、現代日本に似ております。
人間の他に、様々な獣人がいる世界です。
†††††
ひょこんひょこん。
ソファーの向こう側に、楽し気にゆれる耳が見える。
明るいオレンジの地の毛に、それより濃く茶色い縞模様が入った三角の耳。茶トラの猫の耳。
何かを察したようにぴくんと耳をそばだてると、ひょっこり。耳だけではなく顔全体がソファーの向こうから現れる。茶トラの主はちょこんと首を傾げ、「おかえり」と人懐っこい笑顔を浮かべる。
「おーい。俺のはんてんどこやった?」
「んー?俺の部屋~! ねえ? はんてんなんて爺くさいよ」
「あのさ、爺くさい言うくらいなら、なんで俺のはんてん持ってくんだよ。しかも、あの部屋は俺の書斎であって、お前の部屋じゃないだろが」
「んー。でもあそこにある漫画、ほとんど俺のためにあるよね? 俺の部屋じゃあん」
商店街から一歩入った、築五十年にもなる民家。俺の両親が建てた家だ。古い建物だが、大切に手入れしている。まあ、剥きだしになっている柱の塗装は煤けていたりはするが、長年住んだ家は生活感に溢れ、居心地がいい。
茶トラの主、カルネリアン。長いので俺はリアンと呼んでいるが……。リアンは俺の小言など聞いているんだかどうなんだか、多分どうでもいいんだろうな。うん。全く意に介さない様子だ。しかも俺の書斎をリアンの部屋だとか宣いやがる。小さな溜息をつきつつ、キッチンと居間の間に掛けられた玉野連をくぐった。玉野連などとは、骨とう品の域を出ないが、俺の家にはよく似合っていると思う。
シンクの前に立つと、リアンがやって来て俺の肩に顎を乗せた。
「セキエイ、お腹空いた~」
「なんだ? メシ、まだ食っていないのか?」
「うん。父ちゃん仕事でしばらく帰って来ないって」
相変わらすリアンの父親は、リアンの事をほったらかしか。昔からそうだった──。
人間の他に、様々な獣人がいる世界です。
†††††
ひょこんひょこん。
ソファーの向こう側に、楽し気にゆれる耳が見える。
明るいオレンジの地の毛に、それより濃く茶色い縞模様が入った三角の耳。茶トラの猫の耳。
何かを察したようにぴくんと耳をそばだてると、ひょっこり。耳だけではなく顔全体がソファーの向こうから現れる。茶トラの主はちょこんと首を傾げ、「おかえり」と人懐っこい笑顔を浮かべる。
「おーい。俺のはんてんどこやった?」
「んー?俺の部屋~! ねえ? はんてんなんて爺くさいよ」
「あのさ、爺くさい言うくらいなら、なんで俺のはんてん持ってくんだよ。しかも、あの部屋は俺の書斎であって、お前の部屋じゃないだろが」
「んー。でもあそこにある漫画、ほとんど俺のためにあるよね? 俺の部屋じゃあん」
商店街から一歩入った、築五十年にもなる民家。俺の両親が建てた家だ。古い建物だが、大切に手入れしている。まあ、剥きだしになっている柱の塗装は煤けていたりはするが、長年住んだ家は生活感に溢れ、居心地がいい。
茶トラの主、カルネリアン。長いので俺はリアンと呼んでいるが……。リアンは俺の小言など聞いているんだかどうなんだか、多分どうでもいいんだろうな。うん。全く意に介さない様子だ。しかも俺の書斎をリアンの部屋だとか宣いやがる。小さな溜息をつきつつ、キッチンと居間の間に掛けられた玉野連をくぐった。玉野連などとは、骨とう品の域を出ないが、俺の家にはよく似合っていると思う。
シンクの前に立つと、リアンがやって来て俺の肩に顎を乗せた。
「セキエイ、お腹空いた~」
「なんだ? メシ、まだ食っていないのか?」
「うん。父ちゃん仕事でしばらく帰って来ないって」
相変わらすリアンの父親は、リアンの事をほったらかしか。昔からそうだった──。
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