上 下
1 / 5

いわゆる転生トラックってやつ

しおりを挟む
Twitterにて、サブローさんが主催された「GWドキドキシャッフル企画」に参加いたしました。

お題は、糸輪さんに頂戴した「受けを巡って争う美形攻めの客達×男性専門の高級クラブ(ソープでもホストでも)に在籍する平凡」です。

---------------------------------------------------------------------

 だからさ、なんでこうなってんのか誰か説明してくんねーかな。
 なんで、この人たち。んん?人でいいんだっけ。まあいいや、人ってことで。俺をめぐって争ってるわけよ。俺ってば、ちょっとこの世界では珍しいのかもしんねーけど。ただその辺にゴロゴロいるサラリーマンだぜ?

 事の発端は、あれだ。よくあるやつ。「転生トラック」ってやつ。
 あの日、同僚が結婚するってんで、「おい、おまえもやっと年貢を納めたな」だの、「嫁さん(仮)との馴れ初めは」だの、さんざん盛り上がった帰り道。
 幸せそうな奴の顔を見ていたら、なんかムショーに腹が立ってきて、「幸せすぎるやつなんざ呪われろ~」と、呪いのダンスを交差点の真ん中でやってたら、ハイ、ここでトラックの出番。見事にトラックにかれた俺。
 そして気が付くとお決まりの「白い部屋」で女神様とやらに告げられたわけだ。

「あなたが、お亡くなりになったのは、私の手違いです。でも、元のあなたの世界にはもうあなたの身体はありません。私の管理する別の世界に転生できますが、いかがでしょう」

 はぁ。他人を呪わば穴二つだよね。そうだよね。呪っちゃいけなかった。しかも交差点の真ん中で。
 なんて情けない死因。とーちゃん、かーちゃんごめんなさい。俺の死因くそみたいなこんなんで。あっ。あっ。弟よ。俺のコレクションはどうかこっそり捨ててくれ。パソコンは物理的に破壊してくれ──!!
 なんてことを考えているうちに、容赦なく女神様とやらは返答を求めて来た。

「私も忙しいのです。早く決めてください」

 ああ゛?そっちの手違いで死んだってんなら、もうちっと悩ませろや。まあいいや、転生ってやつで。仕方ねえ。転生してやんよ。せいぜい、俺TUEEEな仕様にしてくれよな。
 そうして転生してきたこの世界。あれあれ?これ転生か?転生って赤ちゃんから始まるんじゃねえの?まんま俺じゃねえか。転生じゃなく、転移じゃね?それに、俺TUEEE仕様どこだよ。女神様は「大丈夫。痛くないよう防御においては最強です」っていってたよね。
 ギルドとやらに所属して、畑の作物を食べちゃうスライムを駆除する、初級者用のミッションをこなすパーティーに潜り込んではみたものの。フツーに痛え。学生時代は陸上部だったから、戦闘能力は皆無。幸い逃げ足だけは速かったからなんとか死なずに済んだけど、初級者用パーティーでさえクビ。そりゃそうだよねー。ただの足手まといだもんな。俺でもやだ。こんなやつ。
 しかし、働かざる者食うべからずだよな。ちびちび薬草とりだの、ペット探しだのといったミッションはこなしたけど、毎日ミッションがあるわけでもなく、俺はたちまち困窮したわけだ。

「ホストクラブ 赤い月」

 この看板の前でぱったりと倒れる俺。そこに現れるオーナー。オーナーはこの界隈で「夜の帝王」と呼ばれるお人だった。お人というか、「吸血鬼」だな。「ヴァンパイア」。ヴァンパイアとはいえ、魔物の血を時々飲めばよいらしく、その辺にいる人々と変わらない生活を送れるということだった。あ、お日様はだめだぜ。焼け焦げて死んじまう。夜の帝王、ラドゥさんは行き倒れた俺を拾ってくれた上に、「ホストクラブ 赤い月」で雇ってくれた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

初恋はおしまい

佐治尚実
BL
高校生の朝好にとって卒業までの二年間は奇跡に満ちていた。クラスで目立たず、一人の時間を大事にする日々。そんな朝好に、クラスの頂点に君臨する修司の視線が絡んでくるのが不思議でならなかった。人気者の彼の一方的で執拗な気配に朝好の気持ちは高ぶり、ついには卒業式の日に修司を呼び止める所までいく。それも修司に無神経な言葉をぶつけられてショックを受ける。彼への思いを知った朝好は成人式で修司との再会を望んだ。 高校時代の初恋をこじらせた二人が、成人式で再会する話です。珍しく攻めがツンツンしています。 ※以前投稿した『初恋はおしまい』を大幅に加筆修正して再投稿しました。現在非公開の『初恋はおしまい』にお気に入りや♡をくださりありがとうございました!こちらを読んでいただけると幸いです。 今作は個人サイト、各投稿サイトにて掲載しています。

ダンス練習中トイレを言い出せなかったアイドル

こじらせた処女
BL
 とある2人組アイドルグループの鮎(アユ)(16)には悩みがあった。それは、グループの中のリーダーである玖宮(クミヤ)(19)と2人きりになるとうまく話せないこと。 若干の尿意を抱えてレッスン室に入ってしまったアユは、開始20分で我慢が苦しくなってしまい…?

俺をハーレムに組み込むな!!!!〜モテモテハーレムの勇者様が平凡ゴリラの俺に惚れているとか冗談だろ?〜

嶋紀之/サークル「黒薔薇。」
BL
無自覚モテモテ勇者×平凡地味顔ゴリラ系男子の、コメディー要素強めなラブコメBLのつもり。 勇者ユウリと共に旅する仲間の一人である青年、アレクには悩みがあった。それは自分を除くパーティーメンバーが勇者にベタ惚れかつ、鈍感な勇者がさっぱりそれに気づいていないことだ。イケメン勇者が女の子にチヤホヤされているさまは、相手がイケメンすぎて嫉妬の対象でこそないものの、モテない男子にとっては目に毒なのである。 しかしある日、アレクはユウリに二人きりで呼び出され、告白されてしまい……!? たまには健全な全年齢向けBLを書いてみたくてできた話です。一応、付き合い出す前の両片思いカップルコメディー仕立て……のつもり。他の仲間たちが勇者に言い寄る描写があります。

風邪をひいてフラフラの大学生がトイレ行きたくなる話

こじらせた処女
BL
 風邪でフラフラの大学生がトイレに行きたくなるけど、体が思い通りに動かない話

咳が苦しくておしっこが言えなかった同居人

こじらせた処女
BL
 過労が祟った菖(あやめ)は、風邪をひいてしまった。症状の中で咳が最もひどく、夜も寝苦しくて起きてしまうほど。 それなのに、元々がリモートワークだったこともあってか、休むことはせず、ベッドの上でパソコンを叩いていた。それに怒った同居人の楓(かえで)はその日一日有給を取り、菖を監視する。咳が止まらない菖にホットレモンを作ったり、背中をさすったりと献身的な世話のお陰で一度長い眠りにつくことができた。 しかし、1時間ほどで目を覚ましてしまう。それは水分をたくさんとったことによる尿意なのだが、咳のせいでなかなか言うことが出来ず、限界に近づいていき…?

コネクト

大波小波
BL
 オメガの少年・加古 青葉(かこ あおば)は、安藤 智貴(あんどう ともたか)に仕える家事使用人だ。  18歳の誕生日に、青葉は智貴と結ばれることを楽しみにしていた。  だがその当日に、青葉は智貴の客人であるアルファ男性・七浦 芳樹(ななうら よしき)に多額の融資と引き換えに連れ去られてしまう。  一時は芳樹を恨んだ青葉だが、彼の明るく優しい人柄に、ほだされて行く……。

「イケメン滅びろ」って呪ったら

竜也りく
BL
うわー……。 廊下の向こうから我が校きってのイケメン佐々木が、女どもを引き連れてこっちに向かって歩いてくるのを発見し、オレは心の中で盛大にため息をついた。大名行列かよ。 「チッ、イケメン滅びろ」 つい口からそんな言葉が転がり出た瞬間。 「うわっ!?」 腕をグイッと後ろに引っ張られたかと思ったら、暗がりに引きずり込まれ、目の前で扉が閉まった。 -------- 腹黒系イケメン攻×ちょっとだけお人好しなフツメン受 ※毎回2000文字程度 ※『小説家になろう』でも掲載しています

山本さんのお兄さん〜同級生女子の兄にレ×プされ気に入られてしまうDCの話〜

ルシーアンナ
BL
同級生女子の兄にレイプされ、気に入られてしまう男子中学生の話。 高校生×中学生。 1年ほど前に別名義で書いたのを手直ししたものです。

処理中です...