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3 悪役は回想する
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ガタンゴトン。ガタンゴトン。
「……随分遠くまで来たものね」
冬の真っ只中にある一面の銀世界と化した景色をぼうっと眺めながら、私は馬車に揺られていた。
レイン殿下から婚約破棄を告げられた一週間後。
私はグレイブル王国を離れ、隣国キネーラとの国境沿いにある平原地帯を馬車に乗って移動していた。
馬車は上質な造りの貴族用ではなく、平民が使う辻馬車と同じ仕様のもの。
柔らかな羊の皮で作られた椅子ではなく板張りに申し訳程度に薄い布を貼っただけの簡素な造りは朝から乗り続けた身としては些か辛いものがある。
途中に休憩を挟みつつも馬車の歩みが止まらないのは聖女を害した追放者を一刻も早くキネーラへと届けるためである。
このためにわざわざ雇われた御者も護衛として着いてきた騎士も時々痛そうに座り直してしかめっ面をしている。
私も先程からお尻が痛くてたまらないが、彼らが我慢しているのに自分が我儘を言う訳にもいかず、手持ちの布を椅子の上に敷いてクッション代わりにすることで妥協する。
私はグレイブル王国においては聖女を害した大罪人。彼らから見ても罪人である私と行動を共にすることは不本意に違いない。それならばせめて迷惑をかけないように大人しくしていよう。
全て白い以外何も変わらない景色を写し続ける窓を一瞥し、私は椅子にもたれ掛かりすることもないので寝ることにした。
*
――クラリス・エルダインは俗に言う悪役令嬢である。
それを『私』が思い出したのは約二ヶ月前。
サロンでのお茶会の最中に誤って転倒したリーン・アストライアがクラリス・エルダインのドレスに紅茶を零し、それに激昂した『私』は散々罵詈雑言を重ね、最後に彼女の頬に平手打ちした時――私は全てを思い出した。
この世界は乙女ゲームの世界。
そして私はゲームの主人公リーン・アストライアのライバルとして登場する悪役令嬢クラリスである。
唐突に思い出した事実に私は固まった。
平手打ちをかました右手を掲げたまま、呆然とした。
乙女ゲームの世界に転生した。それだけでも驚くべき事態なのに、更なる事実に私は愕然としてしまった。
王妃主催のサロンで開かれたお茶会で起こしてしまった騒動。
聖女候補を集めたこのお茶会は聖女としての素質を王妃が見抜く重要な催しもの。
そして――これが主人公リーン・アストライアと、悪役令嬢クラリス・エルダインの運命を決定付ける重要な〝イベント〟でもあったのだ。
「――リーン! 大丈夫か!?」
誰もが突然の事態に言葉を失い呆然とする中で、頬を打たれて蹲る金髪の令嬢に手を差し伸べる存在があった。
誰もが聞き惚れてしまう美麗な響きの声音に、輝くようなプラチナブロンド。焦ったような表情を浮かべていても尚損なわれない美貌。
床に蹲り、今にも泣き出しそうに瞳を潤ませていた令嬢が差し伸べられた手に自らの手を重ねる。
まるで求め合うように互いの瞳が細められ、一気に二人の世界が広がる。
グレイブル王国第二王子レイン殿下と、平民でありながら聖なる魔力を宿していたために侯爵家の養女として引き取られ聖女候補となった乙女ゲームの主人公リーン・アストライア。
手を引いて起き上がらせたリーンを抱き寄せるレイン殿下に、ピンクサファイアの瞳を細めて恋慕の表情を浮かべ、レイン殿下に寄り添うヒロインのリーン。
二人はまるでそれが当然のように互いに寄り添うと、第二王子レイン殿下はこれまで見た事がないような冷たい色を帯びた瞳をこちらに向けた。
「――見損なったぞクラリス。いくらリーンが悪かったとはいえ、公衆の面前でこんな騒ぎを起こすとはな」
こちらに向けられるアイスブルーの瞳は、全ての感情を押し殺したようなその声音は明らかに私を嫌悪していた。
「……申し訳、ございません……レイン殿下……」
やってしまった。
これで私の運命は決まってしまった。
私は自分の顔から血の気が失われていくのを感じながら、その場を直ぐに去ることしかできなかった。
――お茶会イベント。
このゲームにおける最大の重要イベントであり、悪役令嬢クラリスの最大の山場。
聖女候補が集められたお茶会で、うっかり転んで紅茶を零してしまったリーンはクラリスのドレスを汚してしまう。
それに怒ったクラリスは日頃の鬱憤を晴らさんばかりにリーンを公衆の面前で攻め、最後には平手打ちをする。
レイン殿下はリーンを庇い、クラリスは事の重大さに気づいて慌てて逃げ去ってしまうといういかにも乙女ゲームならありそうなイベントだ。
しかし、このイベントこそ悪役令嬢クラリスの運命を分かつ重大なイベントだった。
このイベントを経てリーンとレイン殿下の想いは一層深くなり、レイン殿下はリーンに求婚する。
求婚を受け入れたリーンは次の日、正式に『聖女』として選ばれ――その聖女を害したクラリスはレイン殿下との婚約を破棄された上に国外追放となる。
クラリスは――私は心からレイン殿下を愛していた。
それ故にリーンとレイン殿下が惹かれあっていたのが分かっていた。私は焦っていたのだ。レイン殿下の心をリーンが奪っていってしまうことを。何よりも恐れていた。
それなのに、なんということをしてしまったのだろう。
結果はゲーム通り。レイン殿下は私を心から憎んでいることだろう。
あの冷たいアイスブルーの瞳が頭に焼き付いて離れない。
「今になって記憶を思い出すなんて……」
何故今思い出したの。もう少し早ければ。
様々な後悔が頭を埋め尽くす。
前世の記憶を思い出したからこそ分かる。今までの『私』がどれだけ愚かだったのかを。
宰相を父に持つエルダイン公爵令嬢であることをいいことに傲慢で我儘、利己的に振舞ってきた高慢ちきな悪役令嬢。
己の気まぐれでレイン殿下を何度困らせたことだろう。
他人にも迷惑をかけて。そして結果が、誰よりも愛した人に憎まれるというこの結末。
「最低じゃない、私……」
荘厳な佇まいのレ・ザンテル宮殿の一角、可憐な薔薇が鮮やかに咲き誇る庭園で、私は一人、後悔しながら泣き続けることしかできなかった。
「……随分遠くまで来たものね」
冬の真っ只中にある一面の銀世界と化した景色をぼうっと眺めながら、私は馬車に揺られていた。
レイン殿下から婚約破棄を告げられた一週間後。
私はグレイブル王国を離れ、隣国キネーラとの国境沿いにある平原地帯を馬車に乗って移動していた。
馬車は上質な造りの貴族用ではなく、平民が使う辻馬車と同じ仕様のもの。
柔らかな羊の皮で作られた椅子ではなく板張りに申し訳程度に薄い布を貼っただけの簡素な造りは朝から乗り続けた身としては些か辛いものがある。
途中に休憩を挟みつつも馬車の歩みが止まらないのは聖女を害した追放者を一刻も早くキネーラへと届けるためである。
このためにわざわざ雇われた御者も護衛として着いてきた騎士も時々痛そうに座り直してしかめっ面をしている。
私も先程からお尻が痛くてたまらないが、彼らが我慢しているのに自分が我儘を言う訳にもいかず、手持ちの布を椅子の上に敷いてクッション代わりにすることで妥協する。
私はグレイブル王国においては聖女を害した大罪人。彼らから見ても罪人である私と行動を共にすることは不本意に違いない。それならばせめて迷惑をかけないように大人しくしていよう。
全て白い以外何も変わらない景色を写し続ける窓を一瞥し、私は椅子にもたれ掛かりすることもないので寝ることにした。
*
――クラリス・エルダインは俗に言う悪役令嬢である。
それを『私』が思い出したのは約二ヶ月前。
サロンでのお茶会の最中に誤って転倒したリーン・アストライアがクラリス・エルダインのドレスに紅茶を零し、それに激昂した『私』は散々罵詈雑言を重ね、最後に彼女の頬に平手打ちした時――私は全てを思い出した。
この世界は乙女ゲームの世界。
そして私はゲームの主人公リーン・アストライアのライバルとして登場する悪役令嬢クラリスである。
唐突に思い出した事実に私は固まった。
平手打ちをかました右手を掲げたまま、呆然とした。
乙女ゲームの世界に転生した。それだけでも驚くべき事態なのに、更なる事実に私は愕然としてしまった。
王妃主催のサロンで開かれたお茶会で起こしてしまった騒動。
聖女候補を集めたこのお茶会は聖女としての素質を王妃が見抜く重要な催しもの。
そして――これが主人公リーン・アストライアと、悪役令嬢クラリス・エルダインの運命を決定付ける重要な〝イベント〟でもあったのだ。
「――リーン! 大丈夫か!?」
誰もが突然の事態に言葉を失い呆然とする中で、頬を打たれて蹲る金髪の令嬢に手を差し伸べる存在があった。
誰もが聞き惚れてしまう美麗な響きの声音に、輝くようなプラチナブロンド。焦ったような表情を浮かべていても尚損なわれない美貌。
床に蹲り、今にも泣き出しそうに瞳を潤ませていた令嬢が差し伸べられた手に自らの手を重ねる。
まるで求め合うように互いの瞳が細められ、一気に二人の世界が広がる。
グレイブル王国第二王子レイン殿下と、平民でありながら聖なる魔力を宿していたために侯爵家の養女として引き取られ聖女候補となった乙女ゲームの主人公リーン・アストライア。
手を引いて起き上がらせたリーンを抱き寄せるレイン殿下に、ピンクサファイアの瞳を細めて恋慕の表情を浮かべ、レイン殿下に寄り添うヒロインのリーン。
二人はまるでそれが当然のように互いに寄り添うと、第二王子レイン殿下はこれまで見た事がないような冷たい色を帯びた瞳をこちらに向けた。
「――見損なったぞクラリス。いくらリーンが悪かったとはいえ、公衆の面前でこんな騒ぎを起こすとはな」
こちらに向けられるアイスブルーの瞳は、全ての感情を押し殺したようなその声音は明らかに私を嫌悪していた。
「……申し訳、ございません……レイン殿下……」
やってしまった。
これで私の運命は決まってしまった。
私は自分の顔から血の気が失われていくのを感じながら、その場を直ぐに去ることしかできなかった。
――お茶会イベント。
このゲームにおける最大の重要イベントであり、悪役令嬢クラリスの最大の山場。
聖女候補が集められたお茶会で、うっかり転んで紅茶を零してしまったリーンはクラリスのドレスを汚してしまう。
それに怒ったクラリスは日頃の鬱憤を晴らさんばかりにリーンを公衆の面前で攻め、最後には平手打ちをする。
レイン殿下はリーンを庇い、クラリスは事の重大さに気づいて慌てて逃げ去ってしまうといういかにも乙女ゲームならありそうなイベントだ。
しかし、このイベントこそ悪役令嬢クラリスの運命を分かつ重大なイベントだった。
このイベントを経てリーンとレイン殿下の想いは一層深くなり、レイン殿下はリーンに求婚する。
求婚を受け入れたリーンは次の日、正式に『聖女』として選ばれ――その聖女を害したクラリスはレイン殿下との婚約を破棄された上に国外追放となる。
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それ故にリーンとレイン殿下が惹かれあっていたのが分かっていた。私は焦っていたのだ。レイン殿下の心をリーンが奪っていってしまうことを。何よりも恐れていた。
それなのに、なんということをしてしまったのだろう。
結果はゲーム通り。レイン殿下は私を心から憎んでいることだろう。
あの冷たいアイスブルーの瞳が頭に焼き付いて離れない。
「今になって記憶を思い出すなんて……」
何故今思い出したの。もう少し早ければ。
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他人にも迷惑をかけて。そして結果が、誰よりも愛した人に憎まれるというこの結末。
「最低じゃない、私……」
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