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私は夢でも見ているのだろうか。
起きているつもりだったのにおかしいなぁ。
目の前にいるイケメンが私のことを好きだとか言っている。
おかしいなぁ。ついに私の期待が大きすぎて妄想に取り憑かれてしまったのか。ここは現実ではないのだろうか。
そうか、現実ではないんだな。
だとしたらこれは夢か。

大牙が私のことを好きだと言ってくれる夢なんて、幸せすぎやしないだろうか。
ああ夢か。そうだ、こんなことが現実であるはずがない。

何も考えられなくなって、頭がぼぉっとする。
夢魔として目覚めた私の力が、こんな夢を見せているのかもしれない。

それにしてもやけにリアルな夢だなぁ。
私は大牙に向かって手を伸ばし、彼の頬に触れる。
彼は少し頬をぴくりとさせたものの、拒絶することはなかった。

ああ、やっぱりこれは夢なんだな。
だっていつもあんなに私を見ては不機嫌そうだった大牙が、こんなに優しい目をして私を見るわけが無いもの。
こんなに愛おしそうに私を見てくれるはずがないもの。

目の前には大好きな彼の整った綺麗な顔。
眩いばかりの光を放って、作り物ではないのかと疑うくらいに整った容貌を照らしている。

夢でもやっぱりカッコイイな。
夢ならもうちょっと触っても許されるよね?

頬を触っていた手をすっと動かして彼の口元へ。
薄いながらも綺麗な形の唇は、指の腹でそっと押すと僅かな弾力を伴ってその柔らかさを伝えてくる。
うわー、感触までリアルだ。

これが覚醒した夢魔の力なのか。
なるほど、夢とは思えない。
現実との区別がつかないくらいの素晴らしい出来だ。
私は夢中になって大牙に触れる。

毎晩自慰をしてしまうほど求めた大牙が夢の中とはいえこんなに近くにいる。
こんなにリアルな感触もある。彼のいい匂いもそのままだ。
なんて素晴らしいのだろう。

不意に体が疼き始めた。
下腹部がキュンと締まり、私の秘部から淫らな蜜が溢れじめる。
すぐに下着が濡れていくのが分かった。
大牙がこんなにも近くにいる。彼の匂いが、その全てが、私を興奮させる。

私は陶然として微笑み、そのまま大牙の肩を掴むとベッドへと押し倒した。
大牙はされるがままに押し倒されて、ベッドに仰向けの形で寝転がる。
その大柄な体躯を挟むようにして私は彼の上に馬乗りになった。

体が熱い。疼いて止まらない。
大牙が欲しくてたまらない。
着ている服が邪魔だ。
私は大牙を股の間に挟んだまま、ブレザーの上着を脱ぎ捨てた。
リボンを毟るように取り、シャツのボタンを全て外した。


「ちょっ、未桜!?」


大牙の焦ったような声が響く。
服を脱いでいく私を見て驚いたようだ。
へー、こんな反応の仕方までリアルなんだ。
声も聞けるし、夢魔の力ってお得だなぁ。

そんなことをぼんやりと考えながら、今度はスカートに手を当ててそのまま一気に下ろそうとした。


「ま、待て未桜!お前夢魔の本能に引きずられてるぞ!しっかりしろ、これは現実だ!」
「……へ?」


え?現実?夢じゃないの?
大牙の言葉に呆然とする。途端に夢から覚めたようにぼんやりとしていた意識が覚醒した。

辺りを見渡すと先程と変わらない大牙の部屋。
私の真下には顔を真っ赤にして目を逸らしている大牙。


「とりあえず、その服をどうにかしろ!」


その言葉に釣られて、自分の姿を見下ろした。
ブレザーはベッドの端に脱ぎ捨てられ、シャツはボタンが全開。
ブラが丸見えで、おまけに脱ぎかけたスカートは半分ほどずり落ちている。
下着は愛液でびしょびしょだった。

大牙は自分の目を手で覆い隠して、私を見ないようにしていた。
どうしよう。状況についていけない。


「……え?」


だんだんと自分が何をしようとしていたのかを思い出して、冷や汗が流れる。

私は、今、何をしていた?
状況を見れば丸わかりだが自問自答せずにはいられない。
よし、では一旦落ち着くためにもそうしようではないか。

Q,自分は今何をしようとしていたのか。簡潔に答えよ。

A,大牙の上に馬乗りになって服を脱いで襲おうとしていた。


「あ、ああああああ……」


ぼっ、と音を立てそうなほど顔と言わず耳と言わず、全身が真っ赤になった。
恥ずかしくてたまらない。いくら夢魔だとしてもここまで淫乱になってしまったのか私は!?


「ご、ごごごごめんなさい大牙!!」


軽くパニックになりながら素早くスカートをはきなおしてシャツのボタンを閉める。
光の速さで股に挟んでいた彼の体から離れた。
服を直すとようやく大牙が目から手を離した。


「本当にごめんなさい……」


心の底から土下座する。
もう綺麗な土下座だ。土下座の見本にしたいくらい。


「いや大丈夫だから謝んな。何も起きてねぇし……それよりなんでいきなり暴走したんだ?」
「それは……大牙が私を好き、とかいきなり言うから……」
「は?」


答えるなり大牙が不機嫌になった。私の返答に納得していない様子。


「それがなんなんだよ」
「だって大牙が私を好きとか……信じられないもん」
「どこが信じられないんだよ」


さらに彼の不機嫌ゲージが悪化したようだ。
だからそれなんだってば。
なんで分からないかな。


「最近私を見る時不機嫌だし、なんか怖いし、それに小さい時私の事『化け物』って言ったじゃん……」


自分で言っていて悲しくなってきた。


「あー」


私の不満を並べ立てた返答に今度は大牙がバツが悪そうに頭をポリポリとかいた。
彼はしばらく迷うような仕草をした後、私に向かっていきなり頭を下げた。


「すまん。それは俺が悪かった。不機嫌になってたのはお前のせいじゃない。俺も人狼の成長期に入って、今ちょうど発情期の途中なんだ……だから、未桜を襲わないように我慢してたんだよ……」
「へっ?」
「お前俺の変化に気づいてなかったから隠そうとしたんだけど。さすがに発情してるとかどんな反応されるかわかんねえだろ、だからわざと冷たくしてたんだ」


お前に拒絶されたら嫌だし……と小さく呟く大牙。

え、なんですと。
発情期?
じゃあつまり。


「大牙も私に発情してたってこと……?」
「そりゃ好きな女なんだからするに決まってんだろ。あと、あの化け物とか言った件だがな。あれは、恥ずかしかったんだ……」


大牙の思わぬ言葉に私は首をかしげる。
恥ずかしい?
困ったように眉を伏せたまま、大牙が言葉を続ける。


「ほら、あの日お前新しい服着て髪の毛結んでただろ?あれでほかの男共が可愛い可愛いって群がってて焦ったんだ。お前地味にモテてたし、これ以上ライバルが増えたら困ると思って。それに、面と向かって可愛いとか照れくさくて言えなくて、だからついあんなことを……」
「……」
「その後お前メガネで目を隠すようになっただろ?地味になったし。もしかして傷つけたかなって思ったけど、お前が注目されなくなるならそれで良かったって思ってな……最低だよな、俺」


大牙の思ってもみなかった告白に脳の処理が追いつかない。
つまり?

私は大牙の誰にも渡したくないという独占欲の裏返しと照れくささであんな悪口をはかれて傷つき、自信をなくして悩んでいたというのか?
別に視力が悪い訳でもないのにメガネをして、前髪で隠して。
ひたすら目立たないように地味に生きて。
本当はオシャレだってしたかったし、友達と話してみたかった。
それを全て諦めて我慢したのに?


「私のこれまでの努力はなんだったんだろう……」
「本当にごめん!好きな子いじめたくなるっていえか……いや、ごめん!」


微かに怒りが湧き上がってきた。
ふむ、大牙は悪いと思っているわけか。
これは私は仕返ししても許されるよな?
許されるよな。
その権利はあるよね?


「大牙。私メガネかけるのやめる。前髪も切るから。制服も校則通りに着るの辞めるし、アレンジしてオシャレにして、化粧もする。やってみたかったこと、やりたいことも我慢しない」


私は今までかけていた瓶底メガネを取った。
度は入っていないから、別に取っても問題は無い。
散々笑われて隠していた大きな目を隠すように覆っていた前髪も左右に分けてピンで止めた。

それだけで、長年卑屈になっていた心が解きほぐされるようだった。

きっかけは大牙の何気ない言葉だったかもしれない。
私はそれに深く傷ついて、目を隠すことで自分を守ろうとした。
地味に生きて周りを拒絶することで自分を守ろうとした。
きっかけは確かに大牙だった。
だけど、拒絶して関わらなくなったのは私だ。
大牙の言葉を間に受けて、どうせ私なんてと自分を貶めていた。
もう辞めよう。誰がなんと言おうと私は私だ。
メガネはいらない。前髪で隠す必要は無い。

私が悪かった部分もあるから、大牙を全面的には責められない。でも腹は立つ。

だから、これからうんと可愛くなってやるのだ。
たとえ母の美貌を受け継いでいなくとも。
化粧して、可愛い服を着て、友達もつくって。
大牙が焦るくらいに可愛くなって見返してやるのだ。
ニヤリと大牙に向かって笑ってみせる。


「私、地味っ子やめる。オシャレするし、化粧だってするから。これからうんと可愛くなってやるからせいぜい私がほかの男に浮気しないように焦ってるんだな!」
「!!」


大牙が一気に青ざめた。
ふふん。いい気味だ。
私はこれまでさんざん大牙に振り回されてきたのだ。
今度は私に振り回されて私が抱いた気持ちを理解するといいのだ。

大牙の顔色があまり良くないが、気にしない。

実際のところ私はずっと大牙一筋なのだから今更誰かに惹かれることなどありえないのだが、そんなことは教えてやらない。
少しは焦ればいいと思うのだ。

さて、お仕置きはこれくらいにして。
私はパンと手を叩いた。
とりあえず、無駄に遠回りしたけど話を戻そう。


「まぁ色々あったけど、結局私たち両思いってことだよね?」


まだ悶々としていた大牙だが、私の言葉に何度も力強く頷いた。
少しは先程の仕返しが効いたようだ。しめしめ。


「ああ!俺は未桜が好きだ」


今度はその言葉を素直に信じることができた。


「うん、私も大牙が好き!」


にっこり笑顔で答える。
心が今までにないくらい軽かった。
大牙に大好きと伝えられるのがこの上ないくらいの幸せ。
彼も私を真剣に見つめ返してくれる。
相変わらず私の脳内フィルターは10倍増しで彼をイケメンに見せてくれるけれど、それすらも気にならない。

好きと伝えあった瞬間、お互いの空気が変わった。
ああ、私たちは幼馴染じゃなくなったんだ。

やっと恋人になれたんだ。
嬉しいような悲しいような。
なんとも言い難い思いが溢れて。

気づけば私と大牙は互いの息がかかりそうな程顔を寄せあっていた。
私は反射的に目を閉じた。
大牙が少し笑う気配がして、唇に柔らかいものが押し付けられる。

私は初めて、自分の恋人とキスをした。

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