41 / 44
領地復興編 転章-緑の巫女-
29 第七皇女は動き出す
しおりを挟む
「――ティーゼ。ほら、危ないぞ」
往来が激しい大通りの中で人の波に呑まれて流されそうになった私の身体を引き寄せ、麗しい笑みを浮かべた公爵が手を伸ばしてくる。
その身にまとっているのは見慣れた黒い軍服ではなく、小洒落た平民向けの服。白いシャツにラフめのスラックス、紺のクラヴァットをつけ、ジャケットを羽織った出で立ちのイーゼルベルト公爵は違和感なく街に溶け込み、完璧な身のこなしだ。
将軍としての姿ではなく、庶民の姿になった公爵はなかなかお目にかかれるものではない。街中で身分がバレないよう名前を呼び捨てにし、(公爵は私のもうひとつの愛称で呼んでいるけれど)言葉遣いも崩した感じは普段と違って新鮮である。
……新鮮ではある。確かに。
しかし、だ。
「なんでレイヴンはそんなに楽しそうなの……?」
「そりゃあ、麗しい婚約者と街でデートなのだから嬉しいに決まってる。それよりもここで立ち止まっていたら往来の邪魔になるから、早くこちらにおいで」
「あ、……はい」
差し伸べられた公爵の手を素直に受け取り、私は大通りの道の端に歩いていく。すると不意に一陣の風が吹き帽子が飛びかけ、慌てて手で押さえた。その拍子にサラリと肩口にゆるくまとめていた栗色の髪が流れ落ちる。
「いつもの白い髪も素敵ですが、その色もなかなか似合っています。……可愛らしいですよ」
零れ落ちた栗色の髪のひと房をすくい上げた公爵が耳元で甘く囁いてきた言葉に、私の頬は赤くなってしまった。
「そういう事を今言わないで! もう!」
「それは失礼した」
往来のど真ん中という公衆の面前で憚らずにそんな甘い言葉をかけてくる公爵。憤慨する私にくつくつと実に愉快そうに笑ってこちらの手を引くレイヴンには反省の意がちっとも感じられない。
大体デートをしているわけではないのに、恋人のように扱われるといやでも意識してしまうではないか。
……別に恋人扱いが嫌なわけではないけれど。寧ろ嬉しかったりするんだけど。仮にも婚約者同士なんだし?
って、ああもう! そんなことを言ってる場合ではないわ!
ともすればお花畑になりそうな思考を無理矢理頭から追い出して、私は賑やかな大通りに目を向ける。
精霊達と協力して造り上げた大通りには今日も沢山の人が集い、急設の市場もなかなかの繁盛を見せていた。
公爵がまた変なことを言い出す前に本題を済ませよう。今は何よりも問題を解決する方が先だ。公爵から目を逸らした私は深呼吸してまず気持ちを落ち着かせる。
次に目を閉じると、魔力を薄く引き伸ばし全体に波紋のように展開していく。そのまま集中すると大通りの喧騒が意識から遠のいていき、気配を敏感に察知できるようになる。
そのまま限界まで探査範囲を引き伸ばし、大通り全体を確認する。
むむむ、としばらく唸りながら作業を続け何も異常がないことを確認すると、私は魔力を解き目を開けた。
「うん、大丈夫。ここら一帯は私の魔力の残滓がまだ残っているから『魔』は近づけない。暫くは影響は来ないと思います。問題があるとしたら……」
「エイルゼン山脈……それに鉱山地帯の方、ということか」
「そうです。グウェンダルクは地の精霊。力の影響を濃く受けるのは土壌やそれを取り巻く自然地帯。だとすると山脈の方は何かしら問題が起きているかもしれない……」
地の精霊であるグウェンダルクはまず間違いなく『魔』に完全に取り込まれたと断言できる。今朝方グウェンダルクの愛し子であるナスターシャに呼びかけてもらったのだが、グウェンダルクは彼女の声に応えなかった。
精霊にとって己が選び、加護した愛し子は何よりも優先すべき大事なものである。その愛し子の声に応えないということは、何らかの不測の事態に巻き込まれたか、精霊自体が死滅した以外に有り得ない。
古くより強大な力を誇り、この地一体を守護する力を持つかの精霊が容易く滅ぼされることは無いと思いたい。けれど相手は何せ災厄の象徴とされる魔である。その最悪の可能性も考慮に入れなければならないだろう。
グウェンダルクがどんな状態にあるのか、又その所在も掴めない今まずすべきことはかの精霊の守護下にあったこの地への影響の有無。
元々ミッドヴェルン領を含むエイルゼン山脈一帯は帝国が誕生する以前より古来からグウェンダルクの加護を受けていた。
地属性の精霊の主な特徴は大地との親和性が高いこと。中でも頂点にある高位精霊ならば河川や地脈の底にまで加護の範囲は及ぶ。グウェンダルクに異常があればまず影響が出るのは土地そのもの。精霊の力を取り込んだ魔が既に行動を起こしているならば自然に異変が起きていてもおかしくない。
そう考えた私と公爵はミッドヴェルン領全体の地質が汚染されていないか確認することにしたのだ。
大通りはミッドヴェルン領の中心地。ここを起点として円状に魔力の波動を広げて地質の状態を確認したが、何も異常はなかった。
ということはまだ領地自体に影響は及んでいないということ。
「でもこれは想定内。領地全体に影響を及ぼしたいと考えるなら……」
「山脈全体を汚染した方が効率はいいですからね」
私の呟いた言葉を公爵が続ける。
その言葉に私は同意を込めて頷いた。
「生活する上で土地と人間は切り離せないもの。山脈から流れる川で人は飲み水を得、山の獣を狩り、自生する花や草は食料や薬草となる。山脈の恵みは生活において重要だから」
古くからこの地と共に暮らしてきた領民にとってこの地の恵みは無くてはならないもの。人間に災厄と混沌をもたらすとされる魔が狙うならば間違いなく山脈の汚染。
あまり時間がないわ。早く何とかしなければ。そのためには――。
強く手を握りしめ、解決策を思案していたその時。
『――レス、聞こえる? セイルだよ! メルが山脈の方の調査終わったってさ。今からそっちに合流するねー!』
「分かったわ」
突如聞こえてきたセイルの声に私は思考をやめ、公爵に再度視線を向ける。
「セイルから連絡がありました。メルランシアお姉様とライオットの方も調査が終わったそうです。今から合流するので転移しますね」
「分かりました」
公爵が頷くのを確認して、共に大通りをそれて人目につかない路地裏に場所に移動すると私は転移魔術を行使した。
――白い燐光を残して音もなく私と公爵が消えた路地裏で、山のように積まれ、倒れた木箱のひとつに潜んでいた黒蛇がチロチロと舌を出し入れしながらこちらの様子を伺っていた事を、既に合流場所に転移した私には知る由もなかった。
往来が激しい大通りの中で人の波に呑まれて流されそうになった私の身体を引き寄せ、麗しい笑みを浮かべた公爵が手を伸ばしてくる。
その身にまとっているのは見慣れた黒い軍服ではなく、小洒落た平民向けの服。白いシャツにラフめのスラックス、紺のクラヴァットをつけ、ジャケットを羽織った出で立ちのイーゼルベルト公爵は違和感なく街に溶け込み、完璧な身のこなしだ。
将軍としての姿ではなく、庶民の姿になった公爵はなかなかお目にかかれるものではない。街中で身分がバレないよう名前を呼び捨てにし、(公爵は私のもうひとつの愛称で呼んでいるけれど)言葉遣いも崩した感じは普段と違って新鮮である。
……新鮮ではある。確かに。
しかし、だ。
「なんでレイヴンはそんなに楽しそうなの……?」
「そりゃあ、麗しい婚約者と街でデートなのだから嬉しいに決まってる。それよりもここで立ち止まっていたら往来の邪魔になるから、早くこちらにおいで」
「あ、……はい」
差し伸べられた公爵の手を素直に受け取り、私は大通りの道の端に歩いていく。すると不意に一陣の風が吹き帽子が飛びかけ、慌てて手で押さえた。その拍子にサラリと肩口にゆるくまとめていた栗色の髪が流れ落ちる。
「いつもの白い髪も素敵ですが、その色もなかなか似合っています。……可愛らしいですよ」
零れ落ちた栗色の髪のひと房をすくい上げた公爵が耳元で甘く囁いてきた言葉に、私の頬は赤くなってしまった。
「そういう事を今言わないで! もう!」
「それは失礼した」
往来のど真ん中という公衆の面前で憚らずにそんな甘い言葉をかけてくる公爵。憤慨する私にくつくつと実に愉快そうに笑ってこちらの手を引くレイヴンには反省の意がちっとも感じられない。
大体デートをしているわけではないのに、恋人のように扱われるといやでも意識してしまうではないか。
……別に恋人扱いが嫌なわけではないけれど。寧ろ嬉しかったりするんだけど。仮にも婚約者同士なんだし?
って、ああもう! そんなことを言ってる場合ではないわ!
ともすればお花畑になりそうな思考を無理矢理頭から追い出して、私は賑やかな大通りに目を向ける。
精霊達と協力して造り上げた大通りには今日も沢山の人が集い、急設の市場もなかなかの繁盛を見せていた。
公爵がまた変なことを言い出す前に本題を済ませよう。今は何よりも問題を解決する方が先だ。公爵から目を逸らした私は深呼吸してまず気持ちを落ち着かせる。
次に目を閉じると、魔力を薄く引き伸ばし全体に波紋のように展開していく。そのまま集中すると大通りの喧騒が意識から遠のいていき、気配を敏感に察知できるようになる。
そのまま限界まで探査範囲を引き伸ばし、大通り全体を確認する。
むむむ、としばらく唸りながら作業を続け何も異常がないことを確認すると、私は魔力を解き目を開けた。
「うん、大丈夫。ここら一帯は私の魔力の残滓がまだ残っているから『魔』は近づけない。暫くは影響は来ないと思います。問題があるとしたら……」
「エイルゼン山脈……それに鉱山地帯の方、ということか」
「そうです。グウェンダルクは地の精霊。力の影響を濃く受けるのは土壌やそれを取り巻く自然地帯。だとすると山脈の方は何かしら問題が起きているかもしれない……」
地の精霊であるグウェンダルクはまず間違いなく『魔』に完全に取り込まれたと断言できる。今朝方グウェンダルクの愛し子であるナスターシャに呼びかけてもらったのだが、グウェンダルクは彼女の声に応えなかった。
精霊にとって己が選び、加護した愛し子は何よりも優先すべき大事なものである。その愛し子の声に応えないということは、何らかの不測の事態に巻き込まれたか、精霊自体が死滅した以外に有り得ない。
古くより強大な力を誇り、この地一体を守護する力を持つかの精霊が容易く滅ぼされることは無いと思いたい。けれど相手は何せ災厄の象徴とされる魔である。その最悪の可能性も考慮に入れなければならないだろう。
グウェンダルクがどんな状態にあるのか、又その所在も掴めない今まずすべきことはかの精霊の守護下にあったこの地への影響の有無。
元々ミッドヴェルン領を含むエイルゼン山脈一帯は帝国が誕生する以前より古来からグウェンダルクの加護を受けていた。
地属性の精霊の主な特徴は大地との親和性が高いこと。中でも頂点にある高位精霊ならば河川や地脈の底にまで加護の範囲は及ぶ。グウェンダルクに異常があればまず影響が出るのは土地そのもの。精霊の力を取り込んだ魔が既に行動を起こしているならば自然に異変が起きていてもおかしくない。
そう考えた私と公爵はミッドヴェルン領全体の地質が汚染されていないか確認することにしたのだ。
大通りはミッドヴェルン領の中心地。ここを起点として円状に魔力の波動を広げて地質の状態を確認したが、何も異常はなかった。
ということはまだ領地自体に影響は及んでいないということ。
「でもこれは想定内。領地全体に影響を及ぼしたいと考えるなら……」
「山脈全体を汚染した方が効率はいいですからね」
私の呟いた言葉を公爵が続ける。
その言葉に私は同意を込めて頷いた。
「生活する上で土地と人間は切り離せないもの。山脈から流れる川で人は飲み水を得、山の獣を狩り、自生する花や草は食料や薬草となる。山脈の恵みは生活において重要だから」
古くからこの地と共に暮らしてきた領民にとってこの地の恵みは無くてはならないもの。人間に災厄と混沌をもたらすとされる魔が狙うならば間違いなく山脈の汚染。
あまり時間がないわ。早く何とかしなければ。そのためには――。
強く手を握りしめ、解決策を思案していたその時。
『――レス、聞こえる? セイルだよ! メルが山脈の方の調査終わったってさ。今からそっちに合流するねー!』
「分かったわ」
突如聞こえてきたセイルの声に私は思考をやめ、公爵に再度視線を向ける。
「セイルから連絡がありました。メルランシアお姉様とライオットの方も調査が終わったそうです。今から合流するので転移しますね」
「分かりました」
公爵が頷くのを確認して、共に大通りをそれて人目につかない路地裏に場所に移動すると私は転移魔術を行使した。
――白い燐光を残して音もなく私と公爵が消えた路地裏で、山のように積まれ、倒れた木箱のひとつに潜んでいた黒蛇がチロチロと舌を出し入れしながらこちらの様子を伺っていた事を、既に合流場所に転移した私には知る由もなかった。
0
お気に入りに追加
4,177
あなたにおすすめの小説
【二部開始】所詮脇役の悪役令嬢は華麗に舞台から去るとしましょう
蓮実 アラタ
恋愛
アルメニア国王子の婚約者だった私は学園の創立記念パーティで突然王子から婚約破棄を告げられる。
王子の隣には銀髪の綺麗な女の子、周りには取り巻き。かのイベント、断罪シーン。
味方はおらず圧倒的不利、絶体絶命。
しかしそんな場面でも私は余裕の笑みで返す。
「承知しました殿下。その話、謹んでお受け致しますわ!」
あくまで笑みを崩さずにそのまま華麗に断罪の舞台から去る私に、唖然とする王子たち。
ここは前世で私がハマっていた乙女ゲームの世界。その中で私は悪役令嬢。
だからなんだ!?婚約破棄?追放?喜んでお受け致しますとも!!
私は王妃なんていう狭苦しいだけの脇役、真っ平御免です!
さっさとこんなやられ役の舞台退場して自分だけの快適な生活を送るんだ!
って張り切って追放されたのに何故か前世の私の推しキャラがお供に着いてきて……!?
※本作は小説家になろうにも掲載しています
二部更新開始しました。不定期更新です
王子妃教育に疲れたので幼馴染の王子との婚約解消をしました
さこの
恋愛
新年のパーティーで婚約破棄?の話が出る。
王子妃教育にも疲れてきていたので、婚約の解消を望むミレイユ
頑張っていても落第令嬢と呼ばれるのにも疲れた。
ゆるい設定です
1度だけだ。これ以上、閨をともにするつもりは無いと旦那さまに告げられました。
尾道小町
恋愛
登場人物紹介
ヴィヴィアン・ジュード伯爵令嬢
17歳、長女で爵位はシェーンより低が、ジュード伯爵家には莫大な資産があった。
ドン・ジュード伯爵令息15歳姉であるヴィヴィアンが大好きだ。
シェーン・ロングベルク公爵 25歳
結婚しろと回りは五月蝿いので大富豪、伯爵令嬢と結婚した。
ユリシリーズ・グレープ補佐官23歳
優秀でシェーンに、こき使われている。
コクロイ・ルビーブル伯爵令息18歳
ヴィヴィアンの幼馴染み。
アンジェイ・ドルバン伯爵令息18歳
シェーンの元婚約者。
ルーク・ダルシュール侯爵25歳
嫁の父親が行方不明でシェーン公爵に相談する。
ミランダ・ダルシュール侯爵夫人20歳、父親が行方不明。
ダン・ドリンク侯爵37歳行方不明。
この国のデビット王太子殿下23歳、婚約者ジュリアン・スチール公爵令嬢が居るのにヴィヴィアンの従妹に興味があるようだ。
ジュリアン・スチール公爵令嬢18歳デビット王太子殿下の婚約者。
ヴィヴィアンの従兄弟ヨシアン・スプラット伯爵令息19歳
私と旦那様は婚約前1度お会いしただけで、結婚式は私と旦那様と出席者は無しで式は10分程で終わり今は2人の寝室?のベッドに座っております、旦那様が仰いました。
一度だけだ其れ以上閨を共にするつもりは無いと旦那様に宣言されました。
正直まだ愛情とか、ありませんが旦那様である、この方の言い分は最低ですよね?
お飾り公爵夫人の憂鬱
初瀬 叶
恋愛
空は澄み渡った雲1つない快晴。まるで今の私の心のようだわ。空を見上げた私はそう思った。
私の名前はステラ。ステラ・オーネット。夫の名前はディーン・オーネット……いえ、夫だった?と言った方が良いのかしら?だって、その夫だった人はたった今、私の足元に埋葬されようとしているのだから。
やっと!やっと私は自由よ!叫び出したい気分をグッと堪え、私は沈痛な面持ちで、黒い棺を見つめた。
そう自由……自由になるはずだったのに……
※ 中世ヨーロッパ風ですが、私の頭の中の架空の異世界のお話です
※相変わらずのゆるふわ設定です。細かい事は気にしないよ!という読者の方向けかもしれません
※直接的な描写はありませんが、性的な表現が出てくる可能性があります
【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?
冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。
オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・
「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」
「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」
最初から勘違いだった~愛人管理か離縁のはずが、なぜか公爵に溺愛されまして~
猪本夜
恋愛
前世で兄のストーカーに殺されてしまったアリス。
現世でも兄のいいように扱われ、兄の指示で愛人がいるという公爵に嫁ぐことに。
現世で死にかけたことで、前世の記憶を思い出したアリスは、
嫁ぎ先の公爵家で、美味しいものを食し、モフモフを愛で、
足技を磨きながら、意外と幸せな日々を楽しむ。
愛人のいる公爵とは、いずれは愛人管理、もしくは離縁が待っている。
できれば離縁は免れたいために、公爵とは友達夫婦を目指していたのだが、
ある日から愛人がいるはずの公爵がなぜか甘くなっていき――。
この公爵の溺愛は止まりません。
最初から勘違いばかりだった、こじれた夫婦が、本当の夫婦になるまで。
誰からも愛されない悪役令嬢に転生したので、自由気ままに生きていきたいと思います。
木山楽斗
恋愛
乙女ゲームの悪役令嬢であるエルファリナに転生した私は、彼女のその境遇に対して深い悲しみを覚えていた。
彼女は、家族からも婚約者からも愛されていない。それどころか、その存在を疎まれているのだ。
こんな環境なら歪んでも仕方ない。そう思う程に、彼女の境遇は悲惨だったのである。
だが、彼女のように歪んでしまえば、ゲームと同じように罪を暴かれて牢屋に行くだけだ。
そのため、私は心を強く持つしかなかった。悲惨な結末を迎えないためにも、どんなに不当な扱いをされても、耐え抜くしかなかったのである。
そんな私に、解放される日がやって来た。
それは、ゲームの始まりである魔法学園入学の日だ。
全寮制の学園には、歪な家族は存在しない。
私は、自由を得たのである。
その自由を謳歌しながら、私は思っていた。
悲惨な境遇から必ず抜け出し、自由気ままに生きるのだと。
幼妻は、白い結婚を解消して国王陛下に溺愛される。
秋月乃衣
恋愛
旧題:幼妻の白い結婚
13歳のエリーゼは、侯爵家嫡男のアランの元へ嫁ぐが、幼いエリーゼに夫は見向きもせずに初夜すら愛人と過ごす。
歩み寄りは一切なく月日が流れ、夫婦仲は冷え切ったまま、相変わらず夫は愛人に夢中だった。
そしてエリーゼは大人へと成長していく。
※近いうちに婚約期間の様子や、結婚後の事も書く予定です。
小説家になろう様にも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる