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記念SS
メルとノア 1
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「今行っているのは将来有用になる研究でして、是非メルランシア殿下に意見をお聞きしたいと思っていたのです。今日は良い機会に恵まれました!それでですね……」
「はぁ……」
お父様の命令で仕方なく参加したけれど、やっぱりお見合いは退屈だ。
部屋にこもって魔具の研究をしている方がよっぽどマシではないか。
私は皇城の一角、魔術塔の応接間でお見合いをさせられていた。
侍女に捕まり淡い色のドレスに着替えさせられ、髪は結い上げられて百合の花を模した髪飾りがつけられた。
化粧も薄く施されて一国の皇女に相応しい出で立ちとなってはいたが、私には窮屈すぎる格好だ。
第一コルセットを締められすぎて微妙に気分が悪くなってきている。
吐き気を覚えながらも話の途中で席を立つ訳にもいかず、私はまたため息をついた。
私がこの国でメルランシア・セス・ヘルゼナイツ--つまりヘルゼンブール帝国の第二皇女と呼ばれる存在に生まれたのは今から20年以上前のことだ。
それより前、私は前世で日本人として生きていた。
前世での名前は高木芽留。
偶然かメルランシアという名を与えられ、愛称がメルだったために名前にさほどの違和感はなかった。
白銀の髪に青みがかった銀の瞳という容貌もいかにも異世界転生っぽくて気に入っている。顔立ちもお人形のように整っていて美人なのも嬉しい。
実家が皇族で超お金持ちだし自分で家事をしなくて良いというところも気に入っていた。
そして何より、この世界には魔術がある。
それによって私は素晴らしいものに出会うことが出来た。
それが「魔具」だ。
日本では技術系の会社に就職し、商品開発を担当していた私は仕事にハマり、数年で開発責任者にまで上り詰めた。バリバリの研究者だった私にとって魔具の開発と研究は天職であり、この世界においての生きる糧だった。
だと言うのに、20を超えた辺りからお父様は口を開けば「いい加減結婚しろ!」とばかり。
この国では別に女性は結婚していなくても生きていける。
貴族でも女性が爵位を受け継ぐのがそう珍しくないくらいだ。
それなのに口酸っぱく結婚しろと言われるのはひとえに私が「前世持ち」だからだ。
前世の記憶を持つほど魔力が強い者。その者の子どもは高確率でその高い魔力を受け継ぐのだとか。
それだけでなく、私が皇女だからというのも関係があるだろう。
お父様は前世持ちの私を国外に嫁がせたくないのだろう。
けれどいつまでも結婚せずにいれば他国からいずれ私との婚約が打診されかねない。
いやもうあったのかもしれない。私を欲しがる国が。だからあんなにうるさいのだ。
皇族に生まれた者の義務として結婚しなければならない側面もあるのは分かる。理解もしている。
けれどよく知りもしない相手と結婚するのは御免だ。
どうしたものか。私は息をつくと、改めて目の前のお見合い相手を見つめた。
相手は私の視線に気づくとすぐにニコリと微笑み返してくる。
今日の相手はどこかの有名貴族の子息。確か侯爵辺りだったと記憶している。
個人的に魔術の研究をしているとかで先程から自分の研究がいかに素晴らしいかを語っていた。
正直興味もないし、それならまだ開発中の記録魔具の試作機製作に時間を使った方がよっぽど時間の有効活用と言える。
折角設計図が完成していざ製作、と意気込んだ所にお父様が見合い話を持ちかけてきたのだ。
皇帝の命令ではさすがの私も逆らうことはできない。
「はぁ……」
今日何回目か知れないため息を着いたところで私は窓から空を見上げた。
晴れている空には気持ちよさそうに風に流れる雲が見え、私は雲が羨ましくなった。
(いいねぇ、雲は自由でさぁ。私も結婚相手くらい自由に選びたいわ。自分で相手を連れてこれたらいいのになぁ……)
……ん?自由に選ぶ?
そこでピーンと閃いた。
「そうだ」
自分から結婚相手を探しにいけばいいのではないか。
そうすれば私に都合の良い相手を選べるし、私の理想の相手を探せる。
お父様も私が自分で選んだ人物になら文句は言えまい。いや、言わせない。
前世のばあちゃんも「行動は思いついたら即実行!それがミソだよ!」とよく言っていた。
そうだねばあちゃん。思い立ったが吉日っていうものね。
そうと決まれば行動あるのみ。こんな無駄な時間を過ごしている暇はない!
私は今から結婚相手を探しに行かなければならないんだ。お前の自慢話になんて付き合っていられないわ。さようなら。
私は一刻も早く結婚相手を探して自由にやりたいことをするのよ!
そう決意すると私は先程空を見上げていた窓からひょいと飛び降りた。
「はぁ……」
お父様の命令で仕方なく参加したけれど、やっぱりお見合いは退屈だ。
部屋にこもって魔具の研究をしている方がよっぽどマシではないか。
私は皇城の一角、魔術塔の応接間でお見合いをさせられていた。
侍女に捕まり淡い色のドレスに着替えさせられ、髪は結い上げられて百合の花を模した髪飾りがつけられた。
化粧も薄く施されて一国の皇女に相応しい出で立ちとなってはいたが、私には窮屈すぎる格好だ。
第一コルセットを締められすぎて微妙に気分が悪くなってきている。
吐き気を覚えながらも話の途中で席を立つ訳にもいかず、私はまたため息をついた。
私がこの国でメルランシア・セス・ヘルゼナイツ--つまりヘルゼンブール帝国の第二皇女と呼ばれる存在に生まれたのは今から20年以上前のことだ。
それより前、私は前世で日本人として生きていた。
前世での名前は高木芽留。
偶然かメルランシアという名を与えられ、愛称がメルだったために名前にさほどの違和感はなかった。
白銀の髪に青みがかった銀の瞳という容貌もいかにも異世界転生っぽくて気に入っている。顔立ちもお人形のように整っていて美人なのも嬉しい。
実家が皇族で超お金持ちだし自分で家事をしなくて良いというところも気に入っていた。
そして何より、この世界には魔術がある。
それによって私は素晴らしいものに出会うことが出来た。
それが「魔具」だ。
日本では技術系の会社に就職し、商品開発を担当していた私は仕事にハマり、数年で開発責任者にまで上り詰めた。バリバリの研究者だった私にとって魔具の開発と研究は天職であり、この世界においての生きる糧だった。
だと言うのに、20を超えた辺りからお父様は口を開けば「いい加減結婚しろ!」とばかり。
この国では別に女性は結婚していなくても生きていける。
貴族でも女性が爵位を受け継ぐのがそう珍しくないくらいだ。
それなのに口酸っぱく結婚しろと言われるのはひとえに私が「前世持ち」だからだ。
前世の記憶を持つほど魔力が強い者。その者の子どもは高確率でその高い魔力を受け継ぐのだとか。
それだけでなく、私が皇女だからというのも関係があるだろう。
お父様は前世持ちの私を国外に嫁がせたくないのだろう。
けれどいつまでも結婚せずにいれば他国からいずれ私との婚約が打診されかねない。
いやもうあったのかもしれない。私を欲しがる国が。だからあんなにうるさいのだ。
皇族に生まれた者の義務として結婚しなければならない側面もあるのは分かる。理解もしている。
けれどよく知りもしない相手と結婚するのは御免だ。
どうしたものか。私は息をつくと、改めて目の前のお見合い相手を見つめた。
相手は私の視線に気づくとすぐにニコリと微笑み返してくる。
今日の相手はどこかの有名貴族の子息。確か侯爵辺りだったと記憶している。
個人的に魔術の研究をしているとかで先程から自分の研究がいかに素晴らしいかを語っていた。
正直興味もないし、それならまだ開発中の記録魔具の試作機製作に時間を使った方がよっぽど時間の有効活用と言える。
折角設計図が完成していざ製作、と意気込んだ所にお父様が見合い話を持ちかけてきたのだ。
皇帝の命令ではさすがの私も逆らうことはできない。
「はぁ……」
今日何回目か知れないため息を着いたところで私は窓から空を見上げた。
晴れている空には気持ちよさそうに風に流れる雲が見え、私は雲が羨ましくなった。
(いいねぇ、雲は自由でさぁ。私も結婚相手くらい自由に選びたいわ。自分で相手を連れてこれたらいいのになぁ……)
……ん?自由に選ぶ?
そこでピーンと閃いた。
「そうだ」
自分から結婚相手を探しにいけばいいのではないか。
そうすれば私に都合の良い相手を選べるし、私の理想の相手を探せる。
お父様も私が自分で選んだ人物になら文句は言えまい。いや、言わせない。
前世のばあちゃんも「行動は思いついたら即実行!それがミソだよ!」とよく言っていた。
そうだねばあちゃん。思い立ったが吉日っていうものね。
そうと決まれば行動あるのみ。こんな無駄な時間を過ごしている暇はない!
私は今から結婚相手を探しに行かなければならないんだ。お前の自慢話になんて付き合っていられないわ。さようなら。
私は一刻も早く結婚相手を探して自由にやりたいことをするのよ!
そう決意すると私は先程空を見上げていた窓からひょいと飛び降りた。
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