裏切りの代償と新たなる誓い

第三章：罠を仕掛ける

ミランダとアゼルの同盟が結ばれて数日が経過した。ガーランドに復讐するための計画は、徐々に進行していた。アゼルはガーランドの動向を探り続け、その野望が次第に明らかになりつつあった。ミランダもまた、冷静に次の一手を考えていた。

「まず、ガーランドが私を完全に抹殺しようとしているという情報がある以上、私たちは彼を追い詰めるための決定的な証拠を掴む必要があります」とミランダはアゼルに話しかけた。

彼女は、自分が単なる感情に任せて復讐しようとしているのではないことを示すためにも、冷静かつ知的に戦略を練っていた。ガーランドが築こうとしている新たな勢力の証拠を集め、それを使って彼を社会的に破滅させる。それが最も効果的な手段であるとミランダは理解していた。

「君の言う通りだ、ミランダ。だが、ガーランドは非常に慎重な男だ。彼の裏工作を暴くためには、我々も相応の策を練らなければならない。幸い、私は彼の側近の中に協力者を見つけた。彼を使って内部から情報を引き出すことができるだろう」とアゼルは冷静に答えた。

「側近に協力者が？」ミランダは驚いたが、同時に期待も膨らんだ。「誰ですか？ その者が本当に信頼できるのですか？」

「彼の名はレオン。彼はガーランドの忠実な部下だったが、ガーランドの行いに不満を抱き始めている。彼は貴族の誇りを重んじる者であり、ガーランドが利益のために手段を選ばない姿勢に耐えられなくなったのだ。レオンは、君がガーランドに売り渡されたことにも激怒している。」

ミランダはしばし考え込んだ。レオンという名前は聞いたことがあった。彼は確かに、ガーランドの側近として長年仕えてきた有能な男だ。彼が協力してくれるなら、ガーランドを内部から崩壊させるチャンスがあるかもしれない。

「分かりました。レオンに会わせてください。彼と話をして、信頼できるかどうか見極めます。」ミランダは決意を固めた表情でアゼルに告げた。


---

その夜、アゼルの屋敷の一室で、ミランダはレオンと対面した。彼は若く、落ち着いた表情をしていたが、その瞳には確かな怒りと決意が宿っていた。

「あなたがミランダ様ですね。お会いできて光栄です。」レオンは深く礼をし、丁寧に挨拶をした。

「こちらこそ、お会いできて嬉しいです、レオン。あなたがガーランドに不満を抱いていると聞きましたが、本当ですか？」ミランダは率直に尋ねた。

レオンは少しの間沈黙した後、ゆっくりと頷いた。「はい、私はもう彼に従うことができません。ガーランド公爵はかつて、誇り高い貴族であり、私も彼を尊敬していました。しかし、彼は変わってしまいました。力と権力に取り憑かれ、周囲の人々を犠牲にしてまで自分の利益を追求するようになったのです。」

「私を魔族に売り渡したことも、その一環だというわけですね。」ミランダは冷静に言ったが、その声には怒りが込められていた。

レオンは苦々しげに頷いた。「その通りです。私はあなたが魔族に引き渡されると聞いたとき、心から憤りました。ガーランドがどれほどあなたに冷酷だったか、私は知っています。彼はあなたを利用し、捨てたのです。そして、彼の野望はさらに拡大している。」

ミランダはレオンの話を聞きながら、ガーランドへの復讐心をさらに強くした。彼の裏切りと野心の深さが、ますます明らかになっていく。

「レオン、あなたは私たちに協力してくれますか？ 私はガーランドを追い詰め、彼が築こうとしているすべてを崩壊させたい。そして、それにはあなたの力が必要です。」ミランダは真剣な眼差しで彼に頼んだ。

レオンは一瞬考え込んだが、やがて決意を固めた表情で頷いた。「もちろんです。私も彼を止めたい。彼の野望はこの国を危険にさらすものです。そして、あなたに対する仕打ちには心底腹が立っている。私はあなたとアゼル公爵に協力します。」

「ありがとう、レオン。あなたの協力があれば、私たちはガーランドを倒すことができるでしょう。」ミランダは心から感謝し、彼に微笑んだ。


---

数日後、アゼルとミランダはガーランドを罠に嵌めるための計画を立て始めた。レオンの協力によって、ガーランドの野望の詳細が次第に明らかになっていった。彼は、魔族と人間の間に新たな勢力を築き、両者を統治する立場に立とうとしていた。そして、そのために彼は多くの不正な手段を用い、さらには反対勢力を抹殺しようと画策していた。

「彼の弱点は、自身の権力欲だ。そして、彼の手段がいかに汚いものであるかを公に暴露すれば、彼は貴族社会から完全に追放されるだろう。」アゼルは計画を説明しながら、冷静な声で言った。

「そして、そのためには私が彼を公に告発する役割を果たすべきです。彼が私を魔族に売り渡した事実を明らかにし、彼の陰謀を暴く。」ミランダはその計画に賛同し、復讐の機会が近づいていることを感じていた。

「だが、そのためには証拠が必要だ。レオンの提供した情報だけでは十分ではない。もっと決定的な証拠を掴まなければならない。」アゼルは慎重に言葉を選びながら提案した。

「わかっています。私がその証拠を掴むために動きます。彼の弱みを握り、すべてを終わらせる。」ミランダは強い意志を持って答えた。


---

その後、ミランダはガーランドの元に潜入し、決定的な証拠を掴むための準備を進めた。彼女の計画は順調に進み、ガーランドの隠された取引や陰謀が次第に明らかになっていった。彼がどれほど冷酷で、どれほど危険な男であるかを証明するための証拠が揃いつつあった。

そして、ミランダはついに彼を公に告発するための場を設ける準備が整った。ガーランドは、自らの手で築き上げた虚構の権力と共に、崩壊の一途をたどる運命にあった。

ミランダの復讐は、ついに最終段階に突入しようとしていた。