上 下
23 / 29

第23章: 遺跡の激闘

しおりを挟む


セレナたちは、北部の遺跡で闇の同胞団と対峙することになった。目の前には、闇の力を利用した奇妙な装置があり、それを囲むように集まった同胞団のメンバーたちが儀式を進めている。彼らの行動は、明らかに何かを解放しようとしているものだった。

**◇**

「ここで奴らの計画を止めなければ、王国全体が危険に晒される……」

セレナは装置の動作を見つめながら、冷静に状況を把握しようとしていた。エリザベスは魔法を使って周囲の魔力を感じ取り、ライアンは剣を握りしめ、いつでも戦える態勢を整えていた。

「どうやら、彼らはこの装置を使って古代の力を解放しようとしているようね」

エリザベスは魔力の流れを分析しながらそう言った。装置が持つ魔力は、かつてセレナたちが封印した古代の力に匹敵するものだった。

「ここで止めるしかない……」

セレナはそう決意し、仲間たちに合図を送った。彼らは一斉に動き出し、装置を操作している同胞団のメンバーに向かって突撃した。

「何者だ!」

同胞団のリーダーらしき男が叫び、メンバーたちが一斉に防御態勢を取った。だが、セレナたちの動きは素早く、エリザベスが放った魔法の光が一瞬で周囲を照らし出した。

「ここで止まれ!」

ライアンが叫びながら前線に立ち、同胞団のメンバーたちと激突した。彼の剣は相手の防御を打ち破り、次々と敵を倒していった。

「私たちは、王国を守るためにここに来た。あなたたちの野望を阻止する!」

セレナは叫びながら装置に向かって突進し、魔法で装置の機能を封じ込めようと試みた。しかし、装置から放たれる闇の力がそれを阻んだ。

「この装置は、古代の力を封印するためのものではない……むしろ、力を引き出すためのものだ!」

エリザベスが驚愕しながら叫んだ。装置が発する魔力は、どんどん強くなり、その中心からは闇の霧が立ち上がっていった。

「何としても、これを止めなければ……!」

セレナは全力で魔法を使い、装置の制御を試みたが、同胞団のリーダーがそれを阻止しようと迫ってきた。

「あなたたちは遅かった……我々はこの力を手に入れるために、長い年月をかけて準備を進めてきた。この力が解放されれば、王国は我々のものとなるのだ!」

リーダーは狂気じみた笑みを浮かべ、セレナたちに向かって攻撃を繰り出した。彼の手から放たれる闇のエネルギーは、圧倒的な威力を持っていた。

「絶対に止める……!」

セレナはその攻撃をかわし、エリザベスと共に装置を無力化するための作戦を練った。彼女たちは力を合わせ、リーダーと対決しながら、装置にかかる魔力の流れを断とうとした。

**◇**

戦いは激しさを増し、遺跡全体が揺れ動くような感覚に包まれた。ライアンはリーダーと一対一の激戦を繰り広げ、エリザベスは周囲のメンバーたちを魔法で牽制していた。

「セレナ、私はここで敵を引きつける! あなたは装置を止める方法を見つけて!」

ライアンがそう叫び、リーダーの注意を引くために前に出た。セレナはその隙に装置の制御部分に近づき、全力で魔力を注ぎ込んだ。

「これで……止まってくれ!」

セレナが最後の力を振り絞って魔法を発動すると、装置から放たれていた闇のエネルギーが一瞬静まり、装置の動作が止まった。

「やった……?」

セレナが息を切らせながら装置を見つめると、リーダーが狂乱の声を上げた。

「貴様ら、何をした!」

リーダーは怒りに満ちた目でセレナを睨みつけ、再び攻撃を仕掛けようとした。しかし、ライアンがその攻撃を剣で受け止め、エリザベスが援護の魔法を放った。

「あなたの野望は、ここで終わりです!」

セレナは決意を込めた言葉でリーダーに宣告した。装置の動作が止まったことで、遺跡全体に漂っていた闇の霧も次第に薄れていった。

「ぐぅ……これで終わったと思うな……!」

リーダーはそう叫んで逃げ出そうとしたが、セレナたちはそれを許さなかった。彼らはリーダーを追い詰め、ついにその動きを封じ込めた。

「もうお前の思い通りにはさせない……!」

ライアンがリーダーに剣を突きつけ、その場で完全に動きを封じた。リーダーは無念の表情を浮かべながらも、セレナたちを見つめ続けた。

「貴様らの勝利は一時的なものだ……闇の同胞団は、必ず復活する……」

リーダーはそう言い残し、気を失った。同胞団のメンバーたちも次々と力を失い、その場に倒れ込んだ。

**◇**

戦いが終わり、遺跡には静寂が戻った。セレナたちは重い息をつきながら、周囲を見渡した。

「これで、彼らの計画は阻止できたわ」

エリザベスが疲れた声で言い、セレナもそれに頷いた。しかし、彼女たちの心にはまだ不安が残っていた。

「でも、これが全てではないはず……闇の同胞団はまだ他の場所で力を蓄えているかもしれない」

セレナはそう言いながら、再び王国の平和を守るためにさらなる行動が必要だと感じていた。

「私たちはこの場所を調査し、さらに詳しい情報を得るべきです。そして、闇の同胞団の真の目的を明らかにしなければならない」

ライアンもまた、その意見に同意し、遺跡の探索を続けることにした。

**◇**

セレナたちは、遺跡内に隠されていた書物や古代の文献を調べ、闇の同胞団が何を狙っていたのかを突き止めようとした。その中で、彼らは驚くべき真実にたどり着いた。

「これは……」

エリザベスが震える声で言葉を漏らした。彼女の手に握られていたのは、古代の預言書であり、そこには王国の未来に関する記述があった。

「闇の同胞団が追い求めていたのは、ただの力ではない……彼らはこの世界の均衡を崩し、新たな秩序を築こうとしている……」

セレナもその預言書を見つめ、言葉を失った。彼らが直面しているのは、単なる戦いではなく、王国全体を揺るがす大きな陰謀だったのだ。

「私たちは、この預言の意味を解き明かし、彼らの次なる動きを阻止しなければならない」
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

蝋燭

悠十
恋愛
教会の鐘が鳴る。 それは、祝福の鐘だ。 今日、世界を救った勇者と、この国の姫が結婚したのだ。 カレンは幸せそうな二人を見て、悲し気に目を伏せた。 彼女は勇者の恋人だった。 あの日、勇者が記憶を失うまでは……

王太子エンドを迎えたはずのヒロインが今更私の婚約者を攻略しようとしているけどさせません

黒木メイ
恋愛
日本人だった頃の記憶があるクロエ。 でも、この世界が乙女ゲームに似た世界だとは知らなかった。 知ったのはヒロインらしき人物が落とした『攻略ノート』のおかげ。 学園も卒業して、ヒロインは王太子エンドを無事に迎えたはずなんだけど……何故か今になってヒロインが私の婚約者に近づいてきた。 いったい、何を考えているの?! 仕方ない。現実を見せてあげましょう。 と、いうわけでクロエは婚約者であるダニエルに告げた。 「しばらくの間、実家に帰らせていただきます」 突然告げられたクロエ至上主義なダニエルは顔面蒼白。 普段使わない頭を使ってクロエに戻ってきてもらう為に奮闘する。 ※わりと見切り発車です。すみません。 ※小説家になろう様にも掲載。(7/21異世界転生恋愛日間1位)

モブに転生したはずですが?

佐倉穂波
恋愛
 乙女ゲームっぽい世界のモブに転生したラズベルトは、悪役令嬢レティシアの断罪イベントを「可哀想だけど、自分には関係がないこと」と傍観していた。 しかし、断罪イベントから数日後、ラズベルトがレティシアの婚約者になることが決まり──!?

選ばれたのは美人の親友

杉本凪咲
恋愛
侯爵令息ルドガーの妻となったエルは、良き妻になろうと奮闘していた。しかし突然にルドガーはエルに離婚を宣言し、あろうことかエルの親友であるレベッカと関係を持った。悔しさと怒りで泣き叫ぶエルだが、最後には離婚を決意して縁を切る。程なくして、そんな彼女に新しい縁談が舞い込んできたが、縁を切ったはずのレベッカが現れる。

【完結】仕事のための結婚だと聞きましたが?~貧乏令嬢は次期宰相候補に求められる

仙桜可律
恋愛
「もったいないわね……」それがフローラ・ホトレイク伯爵令嬢の口癖だった。社交界では皆が華やかさを競うなかで、彼女の考え方は異端だった。嘲笑されることも多い。 清貧、質素、堅実なんていうのはまだ良いほうで、陰では貧乏くさい、地味だと言われていることもある。 でも、違う見方をすれば合理的で革新的。 彼女の経済観念に興味を示したのは次期宰相候補として名高いラルフ・バリーヤ侯爵令息。王太子の側近でもある。 「まるで雷に打たれたような」と彼は後に語る。 「フローラ嬢と話すとグラッ(価値観)ときてビーン!ときて(閃き)ゾクゾク湧くんです(政策が)」 「当代随一の頭脳を誇るラルフ様、どうなさったのですか(語彙力どうされたのかしら)もったいない……」 仕事のことしか頭にない冷徹眼鏡と無駄使いをすると体調が悪くなる病気(メイド談)にかかった令嬢の話。

王女殿下の秘密の恋人である騎士と結婚することになりました

鳴哉
恋愛
王女殿下の侍女と 王女殿下の騎士  の話 短いので、サクッと読んでもらえると思います。 読みやすいように、3話に分けました。 毎日1回、予約投稿します。

好きな人に『その気持ちが迷惑だ』と言われたので、姿を消します【完結済み】

皇 翼
恋愛
「正直、貴女のその気持ちは迷惑なのですよ……この場だから言いますが、既に想い人が居るんです。諦めて頂けませんか?」 「っ――――!!」 「賢い貴女の事だ。地位も身分も財力も何もかもが貴女にとっては高嶺の花だと元々分かっていたのでしょう?そんな感情を持っているだけ時間が無駄だと思いませんか?」 クロエの気持ちなどお構いなしに、言葉は続けられる。既に想い人がいる。気持ちが迷惑。諦めろ。時間の無駄。彼は止まらず話し続ける。彼が口を開く度に、まるで弾丸のように心を抉っていった。 ****** ・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。

五歳の時から、側にいた

田尾風香
恋愛
五歳。グレースは初めて国王の長男のグリフィンと出会った。 それからというもの、お互いにいがみ合いながらもグレースはグリフィンの側にいた。十六歳に婚約し、十九歳で結婚した。 グリフィンは、初めてグレースと会ってからずっとその姿を追い続けた。十九歳で結婚し、三十二歳で亡くして初めて、グリフィンはグレースへの想いに気付く。 前編グレース視点、後編グリフィン視点です。全二話。後編は来週木曜31日に投稿します。

処理中です...