上 下
8 / 13
第3章 - 謎のイケメン魔導士との出会い

3-2: レオナードとの対話

しおりを挟む


レオナードの言葉に、エリザは驚きを隠せなかった。彼が古代の魔法について知っているだけでなく、彼女の中にその力を感じ取ることができるとは想像もしていなかった。エリザはレオナードに対して警戒心を抱きながらも、同時に彼が何者であるのかを知りたいという強い興味が湧き上がっていた。

「どうしてあなたが私の力のことを知っているの?」エリザは慎重に問いかけた。彼女は自分の力が特殊であることは理解していたが、それを他者が察知できることは予想外だった。

レオナードはしばらく黙り込んだ後、静かに答えた。「君の力がどれほどのものかは、僕にはすぐにわかったよ。僕もまた、普通の人間ではないからね。」

その言葉にエリザは驚きを隠せなかった。「あなたも……魔法使いなの?」

レオナードは穏やかに頷いた。「ああ、そうだ。僕も古代の魔法を研究している者の一人だ。だが、僕が君に興味を持ったのは、単に君が魔法を使えるからではない。君が抱えている何かが、僕を惹きつけたんだ。」

エリザは眉をひそめた。「私が抱えているもの……?」

レオナードは彼女の目をじっと見つめた。その瞳には、彼女の心の奥底まで見透かすような鋭さがあった。「君は深い孤独と、強い復讐心を抱えている。君は過去に傷つけられ、今ではその傷を癒すどころか、力を得て復讐を果たそうとしている。だが、君の本当の望みは、それだけではないだろう?」

エリザはその言葉に動揺した。彼の言葉は的を射ていた。確かに、彼女は王子や家族に対して復讐心を抱いていた。しかし、その背後には、もっと深い感情が渦巻いていた。それは、自分が真に認められたい、愛されたいという強い願望だった。彼女が力を手に入れたのも、自分を見下した者たちに「ざまぁ」を見せつけたいだけではなく、自分自身が自由で強くありたいという思いが根底にあった。

「私が何を望んでいるかなんて……わからないわ」エリザは反論するように言ったが、心の中ではレオナードの言葉に共鳴している自分を感じていた。

レオナードは微笑んだ。「君の心は君自身が一番わかっているはずだ。だが、君がその力をどのように使うかは君次第だ。復讐に使うこともできるし、もっと別の道を選ぶこともできる。重要なのは、君がその選択をどうするかということだ。」

エリザは黙り込んだ。彼の言うことには一理あると感じていた。彼女は力を得たばかりで、それをどう使うかをまだ決めかねていた。復讐は一つの手段であり、彼女が選びやすい道ではあったが、それが最善の道なのかはわからなかった。

「私には……どうすればいいのかわからないわ」エリザはため息をついた。「ただ、この力をどう使うべきか、まだ自信がないの。」

レオナードは静かに頷いた。「それでいいんだ。誰だって最初は迷うものだよ。だが、君が本当に何を望んでいるのか、時間をかけて見つければいい。そして、その答えを見つけた時に、その力をどう使うかを決めればいい。」

彼の言葉は、エリザの心に少しずつ落ち着きをもたらしていった。彼は彼女を急かすことなく、時間をかけて考えることを勧めている。それが彼女にとってどれほど大切なことかを、エリザは今になって感じ始めた。

「君は一人で抱え込む必要はない」レオナードは続けた。「僕も君の力を制御する手助けができるかもしれない。もし君が望むなら、一緒に旅をして、君がその力をどう使うべきかを見つける手助けをしたいと思う。」

その申し出にエリザは戸惑いを隠せなかった。今までずっと一人で旅をしてきた彼女にとって、誰かと一緒に旅をするという考えは新鮮であり、少し不安もあった。しかし、彼の言葉には真実味があり、彼女はどこか彼を信頼できると感じていた。

「一緒に……旅をする?」エリザは少し戸惑いながら尋ねた。

レオナードは優しく微笑んだ。「ああ、君が望むならね。君の決断を尊重するが、もし君が一人でいるのが辛いと思うなら、僕が力になれるかもしれない。」

エリザはしばらく考え込んだ。レオナードと共に旅をすることで、彼女の力をさらに深く理解し、制御することができるかもしれない。そして、彼との旅が彼女の新たな運命を切り開くきっかけになるかもしれないと感じた。

「わかったわ、レオナード。あなたと一緒に旅をすることにするわ。」

彼女の言葉に、レオナードは満足そうに微笑んだ。「よし、それではこれからは二人で新しい道を探そう。君が本当に望む未来を見つけるために。」

こうして、エリザはレオナードという謎の魔導士と共に、新たな旅路へと踏み出した。彼女の未来はまだ見えないが、この出会いが彼女の運命にどんな影響を与えるのか、エリザは期待と不安を胸に抱きながら歩みを進めていった。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

断罪されて婚約破棄される予定のラスボス公爵令嬢ですけど、先手必勝で目にもの見せて差し上げましょう!

ありあんと
恋愛
ベアトリクスは突然自分が前世は日本人で、もうすぐ婚約破棄されて断罪される予定の悪役令嬢に生まれ変わっていることに気がついた。 気がついてしまったからには、自分の敵になる奴全部酷い目に合わせてやるしか無いでしょう。

辺境伯令嬢ファウスティナと豪商の公爵

桜井正宗
恋愛
 辺境伯令嬢であり、聖女でもあるファウスティナは家族と婚約の問題に直面していた。  父も母もファウスティナの黄金を求めた。妹さえも。  父・ギャレットは半ば強制的に伯爵・エルズワースと婚約させる。しかし、ファウスティナはそれを拒絶。  婚約破棄を言い渡し、屋敷を飛び出して帝国の街中へ消えた。アテもなく彷徨っていると、あるお店の前で躓く。  そのお店の名は『エル・ドラード』だった。  お店の中から青年が現れ、ファウスティナを助けた。これが運命的な出逢いとなり、一緒にお店を経営していくことになるのだが――。

悪役令嬢に転生しましたがモブが好き放題やっていたので私の仕事はありませんでした

蔵崎とら
恋愛
権力と知識を持ったモブは、たちが悪い。そんなお話。

魔法を使える私はかつて婚約者に嫌われ婚約破棄されてしまいましたが、このたびめでたく国を護る聖女に認定されました。

四季
恋愛
「穢れた魔女を妻とする気はない! 婚約は破棄だ!!」 今日、私は、婚約者ケインから大きな声でそう宣言されてしまった。

命を狙われたお飾り妃の最後の願い

幌あきら
恋愛
【異世界恋愛・ざまぁ系・ハピエン】 重要な式典の真っ最中、いきなりシャンデリアが落ちた――。狙われたのは王妃イベリナ。 イベリナ妃の命を狙ったのは、国王の愛人ジャスミンだった。 短め連載・完結まで予約済みです。設定ゆるいです。 『ベビ待ち』の女性の心情がでてきます。『逆マタハラ』などの表現もあります。苦手な方はお控えください、すみません。

逆行転生した侯爵令嬢は、自分を裏切る予定の弱々婚約者を思う存分イジメます

黄札
恋愛
侯爵令嬢のルーチャが目覚めると、死ぬひと月前に戻っていた。 ひと月前、婚約者に近づこうとするぶりっ子を撃退するも……中傷だ!と断罪され、婚約破棄されてしまう。婚約者の公爵令息をぶりっ子に奪われてしまうのだ。くわえて、不貞疑惑まででっち上げられ、暗殺される運命。 目覚めたルーチャは暗殺を回避しようと自分から婚約を解消しようとする。弱々婚約者に無理難題を押しつけるのだが…… つよつよ令嬢ルーチャが冷静沈着、鋼の精神を持つ侍女マルタと運命を変えるために頑張ります。よわよわ婚約者も成長するかも? 短いお話を三話に分割してお届けします。 この小説は「小説家になろう」でも掲載しています。

婚約破棄されたおっとり令嬢は「実験成功」とほくそ笑む

柴野
恋愛
 おっとりしている――つまり気の利かない頭の鈍い奴と有名な令嬢イダイア。  周囲からどれだけ罵られようとも笑顔でいる様を皆が怖がり、誰も寄り付かなくなっていたところ、彼女は婚約者であった王太子に「真実の愛を見つけたから気味の悪いお前のような女はもういらん!」と言われて婚約破棄されてしまう。  しかしそれを受けた彼女は悲しむでも困惑するでもなく、一人ほくそ笑んだ。 「実験成功、ですわねぇ」  イダイアは静かに呟き、そして哀れなる王太子に真実を教え始めるのだった。 ※こちらの作品は小説家になろうにも重複投稿しています。

好きな人に『その気持ちが迷惑だ』と言われたので、姿を消します【完結済み】

皇 翼
恋愛
「正直、貴女のその気持ちは迷惑なのですよ……この場だから言いますが、既に想い人が居るんです。諦めて頂けませんか?」 「っ――――!!」 「賢い貴女の事だ。地位も身分も財力も何もかもが貴女にとっては高嶺の花だと元々分かっていたのでしょう?そんな感情を持っているだけ時間が無駄だと思いませんか?」 クロエの気持ちなどお構いなしに、言葉は続けられる。既に想い人がいる。気持ちが迷惑。諦めろ。時間の無駄。彼は止まらず話し続ける。彼が口を開く度に、まるで弾丸のように心を抉っていった。 ****** ・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。

処理中です...