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第3章 - 謎のイケメン魔導士との出会い
3-2: レオナードとの対話
しおりを挟むレオナードの言葉に、エリザは驚きを隠せなかった。彼が古代の魔法について知っているだけでなく、彼女の中にその力を感じ取ることができるとは想像もしていなかった。エリザはレオナードに対して警戒心を抱きながらも、同時に彼が何者であるのかを知りたいという強い興味が湧き上がっていた。
「どうしてあなたが私の力のことを知っているの?」エリザは慎重に問いかけた。彼女は自分の力が特殊であることは理解していたが、それを他者が察知できることは予想外だった。
レオナードはしばらく黙り込んだ後、静かに答えた。「君の力がどれほどのものかは、僕にはすぐにわかったよ。僕もまた、普通の人間ではないからね。」
その言葉にエリザは驚きを隠せなかった。「あなたも……魔法使いなの?」
レオナードは穏やかに頷いた。「ああ、そうだ。僕も古代の魔法を研究している者の一人だ。だが、僕が君に興味を持ったのは、単に君が魔法を使えるからではない。君が抱えている何かが、僕を惹きつけたんだ。」
エリザは眉をひそめた。「私が抱えているもの……?」
レオナードは彼女の目をじっと見つめた。その瞳には、彼女の心の奥底まで見透かすような鋭さがあった。「君は深い孤独と、強い復讐心を抱えている。君は過去に傷つけられ、今ではその傷を癒すどころか、力を得て復讐を果たそうとしている。だが、君の本当の望みは、それだけではないだろう?」
エリザはその言葉に動揺した。彼の言葉は的を射ていた。確かに、彼女は王子や家族に対して復讐心を抱いていた。しかし、その背後には、もっと深い感情が渦巻いていた。それは、自分が真に認められたい、愛されたいという強い願望だった。彼女が力を手に入れたのも、自分を見下した者たちに「ざまぁ」を見せつけたいだけではなく、自分自身が自由で強くありたいという思いが根底にあった。
「私が何を望んでいるかなんて……わからないわ」エリザは反論するように言ったが、心の中ではレオナードの言葉に共鳴している自分を感じていた。
レオナードは微笑んだ。「君の心は君自身が一番わかっているはずだ。だが、君がその力をどのように使うかは君次第だ。復讐に使うこともできるし、もっと別の道を選ぶこともできる。重要なのは、君がその選択をどうするかということだ。」
エリザは黙り込んだ。彼の言うことには一理あると感じていた。彼女は力を得たばかりで、それをどう使うかをまだ決めかねていた。復讐は一つの手段であり、彼女が選びやすい道ではあったが、それが最善の道なのかはわからなかった。
「私には……どうすればいいのかわからないわ」エリザはため息をついた。「ただ、この力をどう使うべきか、まだ自信がないの。」
レオナードは静かに頷いた。「それでいいんだ。誰だって最初は迷うものだよ。だが、君が本当に何を望んでいるのか、時間をかけて見つければいい。そして、その答えを見つけた時に、その力をどう使うかを決めればいい。」
彼の言葉は、エリザの心に少しずつ落ち着きをもたらしていった。彼は彼女を急かすことなく、時間をかけて考えることを勧めている。それが彼女にとってどれほど大切なことかを、エリザは今になって感じ始めた。
「君は一人で抱え込む必要はない」レオナードは続けた。「僕も君の力を制御する手助けができるかもしれない。もし君が望むなら、一緒に旅をして、君がその力をどう使うべきかを見つける手助けをしたいと思う。」
その申し出にエリザは戸惑いを隠せなかった。今までずっと一人で旅をしてきた彼女にとって、誰かと一緒に旅をするという考えは新鮮であり、少し不安もあった。しかし、彼の言葉には真実味があり、彼女はどこか彼を信頼できると感じていた。
「一緒に……旅をする?」エリザは少し戸惑いながら尋ねた。
レオナードは優しく微笑んだ。「ああ、君が望むならね。君の決断を尊重するが、もし君が一人でいるのが辛いと思うなら、僕が力になれるかもしれない。」
エリザはしばらく考え込んだ。レオナードと共に旅をすることで、彼女の力をさらに深く理解し、制御することができるかもしれない。そして、彼との旅が彼女の新たな運命を切り開くきっかけになるかもしれないと感じた。
「わかったわ、レオナード。あなたと一緒に旅をすることにするわ。」
彼女の言葉に、レオナードは満足そうに微笑んだ。「よし、それではこれからは二人で新しい道を探そう。君が本当に望む未来を見つけるために。」
こうして、エリザはレオナードという謎の魔導士と共に、新たな旅路へと踏み出した。彼女の未来はまだ見えないが、この出会いが彼女の運命にどんな影響を与えるのか、エリザは期待と不安を胸に抱きながら歩みを進めていった。
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******
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