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第4章:「逆転と痛快なるざまあ」

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ついにその日が訪れた。シエンタとレオンハルトは準備を整え、王宮での晩餐会に出席することにした。この晩餐会には王族や高位貴族が一堂に会するため、彼らがエドワードとリリアナの真実を知るのに最適な場であった。

晩餐会の会場は豪華に装飾され、多くの貴族たちが華やかな衣装で談笑している。シエンタも美しい真紅のドレスに身を包み、堂々とした態度で会場に現れた。その隣には、彼女を優しくエスコートするレオンハルトがいる。二人は並んで歩く姿がまるで物語の中の王子と姫のように絵になるものであり、会場中の視線が彼らに集まった。

シエンタはそんな視線を受け流しつつも、内心で冷静に計画の実行を考えていた。エドワードとリリアナもこの場に出席していることを確認し、彼らが自分たちの醜態を晒す瞬間が刻一刻と近づいていることに胸が高鳴る。


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公の場での暴露

晩餐会の終盤、王が貴族たちに向けて挨拶を始め、会場内が静まり返る。シエンタはそのタイミングを見計らい、勇気を持って王に進み出た。

「王陛下、恐縮ですが、今晩餐会の場をお借りして、皆様にお伝えしたいことがございます。」

シエンタが堂々とした声で発言すると、会場の人々は驚きの表情で彼女に注目した。王もまた、少し眉をひそめながらも、シエンタに話を続けるよう促した。

「エドワード殿下とリリアナ様に関することでございます。私は、彼らが王族としての立場を利用し、私利私欲を追求している証拠を持っております。この場をお借りして、その詳細をご覧に入れたいと存じます。」

エドワードはシエンタの言葉に驚愕し、怒りの表情を浮かべた。「シエンタ、お前は何を言っているんだ! 王家を侮辱するつもりか?」

シエンタは冷静な表情を崩さず、用意していた証拠の一部を取り出し、会場の全員に見えるように広げた。それは、リリアナがエドワードの名前を利用して私腹を肥やしていた詳細な取引記録や、エドワードがそれに加担していた証拠だった。

「これは、エドワード殿下とリリアナ様が民衆を欺き、王族の名を利用して私腹を肥やしている証拠です。王族としての責任を果たすべき立場にあるお二人が、このような行いをしていることは王国にとって大変な損失であり、私たち貴族社会にも深刻な影響を及ぼします。」

その証拠に基づく説明を聞いた貴族たちや王族は、次第に騒然とし始めた。多くの人がエドワードとリリアナに向けて冷ややかな視線を送り、失望や怒りの声が漏れ始めた。


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リリアナの崩壊

エドワードが声を上げて抗議しようとする前に、リリアナが突然その場で叫び出した。「そんなの嘘よ! シエンタが作り上げた偽りの証拠に違いないわ! 私はただ、エドワード様と愛し合っていただけ!」

しかし、その言葉が彼女の焦りをますます露わにし、貴族たちから冷ややかな視線が向けられるばかりだった。シエンタは微笑みを浮かべながら、冷静に彼女の言い訳を聞き流していた。

「リリアナ様、私もかつてはあなたが純粋で美しい心を持つ方だと信じていました。しかし、現実は異なりました。あなたが真実を隠し続けてきたことを、私は見過ごすことができませんでした。」

リリアナはその言葉に絶望的な表情を浮かべ、周囲の貴族たちが自分を信じてくれないことに恐怖を感じ始めた。彼女はエドワードの腕を掴み、助けを求めるように見つめたが、エドワードもまた戸惑いと怒りに満ちた表情で彼女を見返していた。


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エドワードの破滅

ついにエドワードも追い詰められ、王の厳しい視線を受けて狼狽するしかなかった。彼は必死に「これは誤解だ」と弁解しようとしたが、証拠が揃っている以上、その言い訳が通用するはずもない。王は深い溜息をつき、冷淡な口調で告げた。

「エドワード、私はお前を信じていた。しかし、このような行為は王族の名に泥を塗るものであり、到底許すことはできない。リリアナとの婚約は破棄し、今後は王位継承権を剥奪するものとする。」

その瞬間、会場内はさらに騒然となり、エドワードは顔を真っ青にして王の言葉を受け止めた。彼はようやく自分の行いがどれほど愚かであったかを理解したが、後悔しても遅すぎた。

シエンタは内心で満足感を味わいながらも、冷静な態度を崩さなかった。エドワードとリリアナが公衆の面前で崩れ落ちていく姿を見届け、これまでの苦しみが報われる瞬間を噛み締めた。


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シエンタとレオンハルトの新たな未来

晩餐会が終わった後、シエンタとレオンハルトは王のもとに招かれ、二人の未来について話し合うことになった。王はシエンタのこれまでの行いに敬意を表し、レオンハルトとの婚約を認め、隣国との友好関係をさらに深めることを約束した。

シエンタは満面の笑みで王に感謝の意を伝え、レオンハルトと手を取り合った。彼女はエドワードとの偽りの愛ではなく、レオンハルトとの真実の愛を手に入れたことに幸福を感じていた。

「シエンタ、これからも君と共に歩んでいく。僕たちは、どんな困難があっても乗り越えていける。」

レオンハルトは優しく彼女に微笑み、二人は固く結ばれた絆を感じながら未来に向けて歩み出した。


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物語の結末

こうして、シエンタの復讐は完了し、彼女は新たな人生を歩み始めることができた。彼女が貴族社会に与えた影響は大きく、悪役令嬢とされていた彼女の名誉は完全に回復された。王国中の人々から尊敬と称賛を受ける存在となり、シエンタは自らの力で「悪役令嬢」の汚名を払拭したのだった。

エドワードとリリアナは王宮から追放され、民衆の冷たい目に晒されながらひっそりと暮らすことを余儀なくされた。彼らがかつてシエンタに押し付けた悪役のレッテルが、今度は彼ら自身に跳ね返ってきたのだ。

シエンタは自らの運命を切り開き、真実の愛と共に新しい未来を築き上げた。その

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