婚約破棄された悪役令嬢、真実の愛でざまあします！

第2章：「再起と策略、そして復讐の始まり」

婚約破棄が公にされた翌日から、シエンタは計画を着々と進め始めた。

まずは、王国中で噂されている「悪役令嬢」というイメージを逆手に取り、貴族社会と民衆に新たな印象を植え付けるための活動に乗り出す。彼女の狙いは、エドワードとリリアナが信じ込んでいる「冷酷で自分勝手な悪役令嬢」というレッテルを打ち破り、彼らに「ざまあ」と言わせる機会を作り上げることだった。

シエンタはまず、彼女の持つ広大な領地の改革に着手した。領民の生活環境を改善し、農業や商業の発展に貢献するための取り組みを始めたのだ。公爵家の財力と知識を惜しみなく投入し、専門家を呼び寄せ、農作物の品質向上や、より効率的な栽培方法の導入を推進した。また、領地内の学校を整備し、子どもたちに教育を提供する場も設けた。教育を受けた若者が増えれば、労働力としても王国全体の発展に寄与することができる。

シエンタの改革は瞬く間に成果を上げ、領地の人々からは感謝と尊敬の声が上がるようになった。彼女は表向きには冷静で無表情なままだが、民衆が「公爵令嬢様は私たちのために尽くしてくださっている」という評価を得るにつれ、次第に貴族たちの中でも彼女を見る目が変わり始める。

そんなある日、シエンタは慈善事業の一環として開かれたチャリティイベントに出席する。会場には貴族や商人だけでなく、多くの市民も参加しており、彼女の改革と慈善活動が確実に人々の信頼を得ていることを実感する。

そこでシエンタは、彼女を敵視している貴族の一人である伯爵夫人と出会った。伯爵夫人はシエンタに皮肉めいた微笑を浮かべ、「あら、お優しい公爵令嬢様。婚約破棄されてから慈善活動に熱心になられたのね」と嫌味を言った。しかし、シエンタは冷静に微笑みを返し、毅然とした声で答えた。

「ええ、おかげさまで人々のために尽くせる機会を得られましたから。私はこれからも皆様の役に立つために最善を尽くしますわ。」

伯爵夫人はその落ち着いた返答に驚き、何も言えなくなった。シエンタは内心で勝利を確信しつつ、周囲の貴族たちが小声で称賛の言葉を漏らすのを感じた。彼らもまた、婚約破棄を経て一層輝きを増すシエンタに注目し始めたのだ。


---

リリアナの裏の顔を暴く

エドワードが平民娘リリアナに夢中になっていることは、すでに王国中に広まっていた。リリアナは「純粋で無垢な少女」として王子からも庇護され、貴族社会でも評判が高まりつつあったが、シエンタは彼女の「純粋さ」に疑念を抱いていた。リリアナが王子の地位や名声を利用し、陰で利益を得ているのではないかと推測していたからだ。

シエンタは自らの疑念を確かめるため、密かに探偵を雇い、リリアナの行動を調査させた。調査の結果、彼女の予想は的中した。リリアナはエドワードの影響力を利用して、貴族や商人たちに便宜を図り、裏で報酬を得ていたのだ。しかも、エドワードが知らないところで、彼の名前を利用して商売をしている証拠も次々と発見された。

「なるほど、これで王子の『純粋な愛』も台無しですね。」

シエンタは冷静にその証拠を整理し、リリアナの裏の顔を暴く準備を整えた。王族の名を利用して私腹を肥やす行為が露見すれば、リリアナの評判は地に落ちる。さらに、エドワードも愚かで純情な王子として民衆から失笑を買うことだろう。


---

次の一手

シエンタは、貴族の集まる夜会の場で、慎重に証拠を提示する機会を伺った。彼女は派手に暴露するのではなく、あくまで冷静かつ効果的な手段でリリアナを追い詰め、彼女の純粋さが幻想でしかないことを貴族たちに気づかせるつもりだった。

そして、ついにその機会が訪れる。ある夜、王宮で開かれた舞踏会にシエンタは優雅に現れた。彼女は一際美しいドレスに身を包み、冷静な微笑みを浮かべて周囲の注目を集めていた。そこにはエドワードとリリアナも同席しており、彼らが愛し合う「純粋な」カップルであることを周囲に見せつけようと腕を組んでいた。

シエンタは微笑みながら彼らの方へ歩み寄り、声をかけた。「エドワード殿下、リリアナさん。お二人の仲睦まじいご様子、微笑ましいですわ。」

リリアナは表面上はにっこりと笑いながらも、その瞳には不快な感情が一瞬浮かんだ。エドワードも少し顔をしかめるが、シエンタは構わず続けた。

「ところで、最近お二人の噂が私の耳にも届いております。純粋な愛で結ばれたお二人には、ぜひとも幸せな未来が待っていますように。ですが、私もいくつか興味深い話を耳にしておりまして、ぜひ皆様にもご覧いただきたいものがございます。」

シエンタは冷静に、用意した証拠の一部を提示し始めた。それはリリアナがエドワードの名前を利用して利益を得ている証拠であり、その場にいる貴族たちは次々と目を見開いた。周囲がざわめき始め、リリアナの顔は青ざめていく。

「まさか……これは誤解ですわ！私がそんなことをするはずが……！」

リリアナは必死に弁解しようとしたが、証拠は揺るぎなく、貴族たちの信頼を失い始めていた。エドワードも戸惑い、リリアナの手を握りしめながら「本当にそんなことをしたのか？」と問いかける。

シエンタはその光景を冷静に見つめ、心の中でほくそ笑んだ。彼女の策略は着実に成果を上げ、エドワードとリリアナは公衆の面前で信頼を失い始めたのだ。

「ざまあ見なさい、エドワード殿下。そしてリリアナさん。」

シエンタの胸の中には、次なる計画への決意が燃え上がっていた。