6 / 17
第6章: 隠された秘密と奇妙な出会い
しおりを挟む楓は猫の姿で、部屋の隅にある小さな扉に目をつけていた。その扉は普段は隠されており、誰も気にしない場所にあったが、猫の姿になってからはその存在が気になって仕方なかった。彼女は小さな前足でその扉を引っ掻いたり、鼻で押したりしながら、開ける方法を模索していた。
「どうやって開けるんだろう?」
そのとき、楓は不意に部屋の隅に何か光るものを見つけた。それは小さな金属の鍵で、埃をかぶっているようだった。興奮してその鍵を前足でつかみ、扉の鍵穴に合わせてみると、うまくはまった。楓はその鍵を回すと、扉がゆっくりと開き、隠された階段が現れた。
「これが…?」
楓は小さな体を使って階段を下りることに決めた。階段はかなり急で、初めての暗い通路に一歩一歩進むのは慎重を要した。階段を降り終わると、そこには小さな扉があり、鍵穴がついていた。楓は鍵を使ってその扉を開けると、古びた書斎のような部屋が現れた。壁には古い本や巻物が並べられ、中心には大きな机が置かれていた。
「ここは一体…?」
楓は部屋の中を探検し始めた。古い本や巻物の中には、彼女が理解できない古代の言葉やシンボルが刻まれていた。その中で、目を引いたのは一冊の大きな本で、表紙には金色の装飾が施されていた。楓はその本を前足でめくり始めると、古びたページの間に挟まれていた手紙を見つけた。
「これ、何だろう?」
楓は手紙を引っ張り出し、小さな体を使って内容を読もうとした。手紙には、古代の呪いとその解除方法についての詳細な説明が書かれていた。どうやら、楓がかけられた呪いは、特定の条件を満たすことで解かれる可能性があるとのことだった。
「呪いを解くためには…?」
手紙には、呪いを解くためには「月の光の下で、特定の儀式を行う必要がある」と書かれていた。しかし、その儀式がどのように行われるのか、具体的な手順については詳細に記されていなかった。楓はその情報を頭に叩き込み、もう一度書斎を見渡してみた。
部屋の奥には古びた棚があり、その中にいくつかの魔法のアイテムが置かれていた。その中には、一見普通のアイテムに見えるが、何か特別な力を持っていそうなものがいくつかあった。楓はそれらのアイテムを調べながら、どれが儀式に必要なのかを考え始めた。
「これが…私の呪いを解く手助けになるのか?」
楓は猫の姿ながらも、心の中で強い決意を抱いた。彼女はこの部屋に隠された秘密を解き明かし、呪いを解くための手順を見つける決意を固めた。月の光が差し込む夜の中、彼女は冒険の始まりを感じながら、再び階段を登り始めた。
部屋を出ると、外は静かな夜のままで、月の光が庭を照らしていた。楓はその光の中に、解決への手がかりが隠されていると信じ、次のステップを踏む決意を固めた。猫の姿のまま、彼女は運命に立ち向かうための準備を整え始めたのだった。
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説
「あなたのことはもう忘れることにします。 探さないでください」〜 お飾りの妻だなんてまっぴらごめんです!
友坂 悠
恋愛
あなたのことはもう忘れることにします。
探さないでください。
そう置き手紙を残して妻セリーヌは姿を消した。
政略結婚で結ばれた公爵令嬢セリーヌと、公爵であるパトリック。
しかし婚姻の初夜で語られたのは「私は君を愛することができない」という夫パトリックの言葉。
それでも、いつかは穏やかな夫婦になれるとそう信じてきたのに。
よりにもよって妹マリアンネとの浮気現場を目撃してしまったセリーヌは。
泣き崩れ寝て転生前の記憶を夢に見た拍子に自分が生前日本人であったという意識が蘇り。
もう何もかも捨てて家出をする決意をするのです。
全てを捨てて家を出て、まったり自由に生きようと頑張るセリーヌ。
そんな彼女が新しい恋を見つけて幸せになるまでの物語。
【完結】王太子妃の初恋
ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
カテリーナは王太子妃。しかし、政略のための結婚でアレクサンドル王太子からは嫌われている。
王太子が側妃を娶ったため、カテリーナはお役御免とばかりに王宮の外れにある森の中の宮殿に追いやられてしまう。
しかし、カテリーナはちょうど良かったと思っていた。婚約者時代からの激務で目が悪くなっていて、これ以上は公務も社交も難しいと考えていたからだ。
そんなカテリーナが湖畔で一人の男に出会い、恋をするまでとその後。
★ざまぁはありません。
全話予約投稿済。
携帯投稿のため誤字脱字多くて申し訳ありません。
報告ありがとうございます。
愛想を尽かした女と尽かされた男
火野村志紀
恋愛
※全16話となります。
「そうですか。今まであなたに尽くしていた私は側妃扱いで、急に湧いて出てきた彼女が正妃だと? どうぞ、お好きになさって。その代わり私も好きにしますので」
寵愛のいる旦那様との結婚生活が終わる。もし、次があるのなら緩やかに、優しい人と恋がしたい。
にのまえ
恋愛
リルガルド国。公爵令嬢リイーヤ・ロイアルは令嬢ながら、剣に明け暮れていた。
父に頼まれて参加をした王女のデビュタントの舞踏会で、伯爵家コール・デトロイトと知り合い恋に落ちる。
恋に浮かれて、剣を捨た。
コールと結婚をして初夜を迎えた。
リイーヤはナイトドレスを身に付け、鼓動を高鳴らせて旦那様を待っていた。しかし寝室に訪れた旦那から出た言葉は「私は君を抱くことはない」「私には心から愛する人がいる」だった。
ショックを受けて、旦那には愛してもられないと知る。しかし離縁したくてもリルガルド国では離縁は許されない。しかしリイーヤは二年待ち子供がいなければ離縁できると知る。
結婚二周年の食事の席で、旦那は義理両親にリイーヤに子供ができたと言い出した。それに反論して自分は生娘だと医師の診断書を見せる。
混乱した食堂を後にして、リイーヤは馬に乗り伯爵家から出て行き国境を越え違う国へと向かう。
もし、次があるのなら優しい人と恋がしたいと……
お読みいただき、ありがとうございます。
エブリスタで四月に『完結』した話に差し替えいたいと思っております。内容はさほど、変わっておりません。
それにあたり、栞を挟んでいただいている方、すみません。
貧乏男爵家の末っ子が眠り姫になるまでとその後
空月
恋愛
貧乏男爵家の末っ子・アルティアの婚約者は、何故か公爵家嫡男で非の打ち所のない男・キースである。
魔術学院の二年生に進学して少し経った頃、「君と俺とでは釣り合わないと思わないか」と言われる。
そのときは曖昧な笑みで流したアルティアだったが、その数日後、倒れて眠ったままの状態になってしまう。
すると、キースの態度が豹変して……?
お馬鹿な聖女に「だから?」と言ってみた
リオール
恋愛
だから?
それは最強の言葉
~~~~~~~~~
※全6話。短いです
※ダークです!ダークな終わりしてます!
筆者がたまに書きたくなるダークなお話なんです。
スカッと爽快ハッピーエンドをお求めの方はごめんなさい。
※勢いで書いたので支離滅裂です。生ぬるい目でスルーして下さい(^-^;
悪役令嬢にざまぁされた王子のその後
柚木崎 史乃
ファンタジー
王子アルフレッドは、婚約者である侯爵令嬢レティシアに窃盗の濡れ衣を着せ陥れようとした罪で父王から廃嫡を言い渡され、国外に追放された。
その後、炭鉱の町で鉱夫として働くアルフレッドは反省するどころかレティシアや彼女の味方をした弟への恨みを募らせていく。
そんなある日、アルフレッドは行く当てのない訳ありの少女マリエルを拾う。
マリエルを養子として迎え、共に生活するうちにアルフレッドはやがて自身の過去の過ちを猛省するようになり改心していった。
人生がいい方向に変わったように見えたが……平穏な生活は長く続かず、事態は思わぬ方向へ動き出したのだった。
マイナー18禁乙女ゲームのヒロインになりました
東 万里央(あずま まりお)
恋愛
十六歳になったその日の朝、私は鏡の前で思い出した。この世界はなんちゃってルネサンス時代を舞台とした、18禁乙女ゲーム「愛欲のボルジア」だと言うことに……。私はそのヒロイン・ルクレツィアに転生していたのだ。
攻略対象のイケメンは五人。ヤンデレ鬼畜兄貴のチェーザレに男の娘のジョバンニ。フェロモン侍従のペドロに影の薄いアルフォンソ。大穴の変人両刀のレオナルド……。ハハッ、ロクなヤツがいやしねえ! こうなれば修道女ルートを目指してやる!
そんな感じで涙目で爆走するルクレツィアたんのお話し。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる