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第十三章:新たな試練と婚約者たちの反応

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ヴィクターとの再会を終えたミコは、彼が抱える謎に対する興味がますます強くなっていた。しかし、日常に戻った彼女のもとに、予期せぬ知らせが届くこととなった。

ある日、エリスがミコのもとに急ぎ足でやってきた。

「お嬢様、少々お耳に入れたいことがございます。」

ミコはエリスの真剣な表情に何か重大なことが起こったと感じ、エリスの言葉を待った。

「お嬢様の婚約者たちに関して、外部からの圧力がかかり始めています。どうやら、一部の貴族たちが、この婚約を破談に持ち込もうと画策しているようです。」

ミコは驚きとともに、胸の奥がざわめいた。婚約者たちに対する攻撃が始まったというのだ。

「どうしてそんなことが……?」

エリスはため息をつき、冷静に説明を続けた。

「お嬢様のご両親が進めた政略結婚に対し、反発する勢力が動き出したようです。特に、レオン様やオリヴァー様が持つ秘密が、彼らの弱みとして利用されようとしています。」

ミコはその言葉に愕然とし、彼らを守りたいという強い思いが沸き上がった。レオンの呪い、オリヴァーの変身能力、そしてヴィクターの謎めいた過去。それぞれが抱える問題が、今や彼らを脅かすものとなっていた。

「そんなこと、絶対に許せないわ。彼らを守るために、私ができることはないの?」

ミコの決意に満ちた言葉に、エリスは頷いた。

「お嬢様、まずは各婚約者様にこの事態を伝え、共に対策を考えるべきでしょう。彼らもまた、お嬢様を守るために動くことを望んでいるはずです。」

ミコはエリスの助言を受け入れ、すぐに各婚約者に連絡を取ることにした。まず最初にレオンに手紙を書き、次にオリヴァーとヴィクターにもそれぞれの言葉をしたためた。ミコは彼らとの協力を通じて、この困難な状況を乗り越えようと心に決めた。

---

数日後、ミコの屋敷にレオン、オリヴァー、そしてヴィクターが集まった。三人が一堂に会するのは初めてであり、それぞれが緊張した面持ちを見せていた。

ミコは彼らに向かって深々と頭を下げた。

「みなさん、突然の呼びかけに応じてくださってありがとうございます。今回お伝えしたいことは、私たちの婚約に対する外部からの圧力についてです。」

レオンが口を開いた。

「確かに、最近私の周囲でも不穏な動きがあることを感じていました。ですが、ミコ嬢のためなら、私は何があってもこの婚約を守り抜く覚悟です。」

オリヴァーも小さな拳を握りしめながら言った。

「僕もミコお姉様のために戦うよ!僕たちが一緒なら、きっとどんなことでも乗り越えられる!」

ヴィクターは軽く肩をすくめながらも、鋭い目で状況を見据えていた。

「まったく、面倒なことに巻き込まれたもんだ。でも、俺たちが協力すれば、どうにかなるんじゃないか?ま、やれるだけのことはやってみるさ。」

ミコは三人の言葉に心強さを感じ、改めて彼らとの絆を確信した。

「ありがとう、皆さん。本当に感謝しています。これからも、私たちは共に歩んでいきましょう。」

三人の婚約者たちはそれぞれ頷き、ミコの言葉に応えた。彼らの間には新たな連帯感が生まれ、この困難な状況を乗り越えるための力が結集された。

しかし、ミコはこれまで彼らに会うたびに、無理をして服装を整え、きちんとした姿勢で対応していた。今回の件で、心労が重なっていたこともあり、ついにその負担が限界に達してしまった。

ミコがふと、目の前が霞んだと思った瞬間、体がふらりと揺れた。レオン、オリヴァー、そしてヴィクターが驚いた表情で駆け寄る中、ミコはその場に倒れ込んでしまった。

「ミコ嬢!」「ミコお姉様!」「ミコ嬢、大丈夫か!?」

三人が一斉に声を上げ、ミコの元に駆け寄った。ミコは意識が遠のく中で、彼らの声が遠く聞こえるのを感じた。彼女の身体がついに限界を迎え、無理をし続けたことが原因で倒れてしまったのだ。

「すぐに医師を呼んでくれ!」ヴィクターが鋭く命じると、エリスが慌てて駆け出していった。

レオンとオリヴァーは心配そうにミコの顔を覗き込んだ。彼女が目を閉じたまま静かに横たわっている姿に、三人の心は一層固く結びつくのを感じた。
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