魔法少女ありす(ひらかな)

 (笑)

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ありすの日常

ありすの日常

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「おはよう。ありすちゃん」 
 ありすが席に着くと隣の席の工藤由美が挨拶をしてきた。
ショートヘアーのボーイッシュな女の子だ。 
「おはよう、由美ちゃん」 
「宮の森さんと同伴登校だったみたいだったけど。いつの間に親しくなったの?」 
「同伴って由美ちゃん……。今朝、登校途中でちょっといろいろあって」 
 由美は自分の席を立ち上がりありすの耳元でささやく。 
「察するに今朝のとあるシティバンクとある市支店の銀行強盗事件でしょ?」 
「相変わらず。情報早いね。まだ報道もされてないでしょ?」 
「そりゃ、5分前に犯人が逮捕されたばかりだもん。今頃、銀行にジャーナリストが到着したころでしょね」 
「私たちが銀行をはなれたのは20分前だよ。非常ベルからは30分立ってる。警察さん、遅い」 
「面目ない」
由美は恥ずかしそうに頭をかく。 
「何で由美ちゃんが謝るの?」 
「なんとなく」 
「で?」 
「ん?」 
「本題は別にあるんでしょ?」 
「さすがにかんがいいね」 
 由美は携帯を取り出すと画像を出してありすに見せる。
そこには長い髪の金髪の妖艶な美女が映し出されていた。
「このお姉さんは?」 
「カミーラ・ドルベーク」 
「きれいな人だね」 
「御年157歳」 
「え? それって……」 
「そう魔法使い」 
「でこの人がなにか?」 
「CIAのブラックリストのトップに名を連ねてる」 
「え?こんなきれいなお姉さんが?」 
「黒魔術にのめり込んでそうとうやばいことやらかしたらしい」 
「やらかした?」 
「母国では指名手配中で国外逃亡」 
「で日本に?」 
「そう……」 
「で所在は?」 
「わかっていたら逮捕してるよ」 
「だよね」 
「面目ない」 
「由美ちゃんのせいじゃないでしょ」 
「相手は魔法使い。いちおありすちゃんの耳にも入れておいたほうがいいかなと思って」 
「ありがとう。もしなんかわかったらこっちで対処しちゃっていい?」 
「できれば連絡頂戴。国際指名手配で協力要請が来てるの。消息不明とかなると外交問題になりかねないから」 
「ところでそんな重そうな銃下げていて足パンパンにならない?」 
「これはいつものと違がくて軽めだから」 
由美は、スカートで見えないが、太ももの内側にコルトパイソン357をガンベルトに納め下げていたのだ。
「そおう?漫画で見たことあるけど、それってコルトパイソン357っていうんでしょ?漫画の中のヒロインは重いっていってたけど」 
「……どうしてコルトパイソンってわかったの?」 
「だから漫画で見たの」 
「じゃあなくてどうしてわたしの銃が漫画の銃と同じってわかったの?」 
「あーーーーーーーーーーーーーっ。見たわね!ひどーーーーーい、ありすちゃんのえっちーーーーーーーーーー!」
そこまでのひそひそ話が一転、教室中にひびく大声に 
「ずいぶん、楽しそうね。私もお話に混ぜてくださる。なんのお話をしていらしたの?」
里美が二人に近づいてきた。 
「宮の森さん、聞いて聞いて。ありすちゃんったらひどいのよ。私のパンツ見たー!」 
「えええええーーーーーーーーー?」里美が不審の目で凝視しありすはひっくり返りそうになる。 
「なんでそうなるの?」 
「透視したでしょ?」 
 ありすは由美の耳元でささやく 
「見たのは銃だよ」 
「いずれにせよ。透視したのは間違いないでしょ」 
「銃を見たー。では私の正体がばれるじゃない。それは困る」 

「だからってひどいよー」 
「透視は酷くないの?穏便に収拾をつけてくれないとばらす」 
「卑怯もの~。わたしのことずっと尾行して監視してるのは酷くなの?」 
「それは私が直接やってるわけじゃない。同僚がやってるだけそれに任務だもん…… わかったわよ。でも、もうしないででね」 
「わかったよ」 
「なにを、こそこそしてるのかしら?」 
「いやー 誤解をといてたの」 
「そうなの誤解だったの」 
「誤解?」 
「そう私が魔法を使うと魔方陣が発光するじゃない」 
「そう。そう魔方陣が発動しなかったから」 
「魔法を使ってないって証明できたの」 
「そうよね。ありすちゃんがそんなことするはずがないですもんね。誤解がとけってよかったですね」 
「そうそう。だいいち私達、仲良しだから、由美ちゃんそんなことするはずない」 
「当然よね~。親しき仲にも礼儀あり~だもん」
『このうそつきーめ~』
『いやみな~』
などとありすと由美の間でみえない火花が飛びあってるなどと思いもよらない里美 
「そうだわ。ありすちゃん工藤さん、今週の土曜日に家でハロウィンパーティーを開くのよかったらぜひ招待したいのですがご都合はいかがから? もしありすちゃんの都合が悪いようなら日程を変更します」 
「ほえ?」 
「えっ?私もですか?」 
「ありすちゃんのお友達ならぜひ来ていただきたいわ。私の知らないありすちゃんのお話をきけそうだし」 
「そうね。まあいろいろ知ってます」 
「ハロウィンって仮装していろんな、おうちをまわって、お菓子をもらうんでしょ?」 
「本来はそうですけどハロウィンの風習はクリスマスほど定着してないのでよその家を回るのは迷惑になる場合いもあるから私の家で仮装パーティーをするだけでよその家を訪問したりはしません」 
「海外でも仮装じゃなくて、武装してフリーズなんってこともあるしね」 
「由美ちゃん……」 
「工藤さん……」 
「お菓子をもらうときはあれだよね。なんだっけ……えっと、ぎぶみーちょこれーと?」 
「ちゃう!ちがうー!トリック・オア・トリートだよ!」 
「でも意味はちょこちょーだい。だから、だいたいあってる」 
「それはそうなんですけど……」 
「意味はあってるようで歴史的意味合いが激しく違う」 
 ありすは、
きょとんとするばかりで一方の由美と里美は困惑するばかりだ。 
 そうこうするうちに始業ベルがなり由美も里美も自分の席へと戻る。
 下校時最初ありすは里美と由美と途中まで一緒だったがそれぞれ途中で別れて今は一人で歩いていた。 
「ありすちゃん」 
ありすは背後から声をかけられた。 
「加藤さん」 
中年のいかにもサラリーマン風の男だ。 
「なにか?」 
「ちよっといいかな?お茶でも飲みながら」 
加藤とありすは近くの喫茶に入った。 
「何でも好きなものを頼んでください
」 
加藤はメニューをありすに差し出す。 
「じゃあギガチョコパフェをお願いします」 
「コーヒーとギガチョコパフェを」 
加藤はウエイトレスを呼び止め注文をする 
「加藤さん、スポンサー契約の追加事項かなんかですか?」 
加藤はありすの魔法少女としての活動を支援するスポンサー企業の社員だった。 
「実は社の会議でそのー呪文が、もっと、分かりやすい、覚えやすい呪文にならないかとの 意見が出てるんだ。そう簡単に変えられる物でもないってのはわかるんだけどそこをなんとか、お願いできないかと、ほら子供受けしないと 」 
「うん。いいよ」 
「えっ、大丈夫なのか?」 
ぽかんとする加藤。 
そこへウエイトレスがオーダーされたコーヒーとギガチョコパフェを運んできた。 
ウエイトレスがオーダーされた品を置いてテーブルを離れるまで。二人の会話は中断された。 
「実は私の場合、魔法を使うのに呪文なんて必要ないんです」 
ウエイトレスが離れるとありすは、パフェを食べながら話を続けた。 
「じゃあ、あの呪文は?」 
「はったりと言うか、それらしくみせるためのポーズです。実際あれデタラメだし」 
「じゃあ、呪文はなんでもOKなんだ」 

「はい。呪文もそうだし魔方陣もいちいち出さなくてもいいんです。あれもビジュアル上のはったりです。」 
「何か覚えやすい呪文を考えて。設定上は強力な敵が現われたので対抗するために特訓し新しく身につけた新魔法の呪文という設定にしましょう。」 
「……呪文ね」 
ありすは、少し考えて 
「リーテ・ラトバリタ・ウルス アリアロス・バル・ネトリールってのは?」 
「覚えにくいし、なんか、聞いたことあります。」 
「じゃあ、バルス」 
「○ピュタかい!盗作は、困ります!」 
「……次までの宿題ってことで」 
「はい社のほうでも候補をいくつか、検討して提案させていただきます」 
その後チョコパフェを食べきるまで加藤と雑談をし帰宅する。 

ありすの家は表向き花屋をしてる。 
1階が花屋の店舗で2階に巨居住スペースがある。 
敷地内には離れの小さな温室と小屋があり温室寒さに弱い草花が栽培されている。
小さい小屋にはたくさんのポプリが飾られており、そのほかにはいくつものガラスのビンが飾られてる。 
そのびんには薬草とおぼしき植物が乾燥されて保存されていた。 
ありすはいつも帰宅すると1番最初にこの小屋による。 
「ただい。おばあちゃん。」 
小屋にはロッキングチェアにすわり、編み物をしてる老婆がいた。 
「おや、おかえり。今日は少し遅かったね」 
「帰りに加藤さんにお茶をご馳走になってきたの」 
「ああ、あの加藤さんかい?何か注文されたのかい?」 
「ん?覚えやすい呪文にして欲しいって」 
「そうだね。そのほうがいいね。」 
「おかえりありす。お母さん。そろそろ、母屋のほうに戻ってください。」 
そこへありすの母親が呼びに来た。 
「パンプルピンプルパムポップン  ピンプルパンプルパムポップンってどう?」 
二人の話を聞いたらしく、呪文を提案してきた。 
「そんな変身しか能のない第2世代の魔法はだめよ。」 
「戦闘に特化しすぎた第3世代よりましですわ。お母さん。」 
「あの連中が魔法使いであるものですか! しいて言うなら戦士!魔法少女なんてJAROがよく黙認してるものだわ!」 
「そのとおりですわ!お母さん。」 
母は力説する祖母に賛同し手を取り合い盛り上がってる。 
「ママ。おばあちゃん。おちついて~」 
ありすは母と祖母と3代にわたる由緒正しい魔法少女の家系だったが母も祖母とも昨今の魔法少女の風潮には
「近頃の魔法少女(若いやつは……」みたいな意見があるらしい。 
「呪文はやはりマハリクマハリタヤンバラヤンヤンヤンがいいわね。」 
「ピピルマピピルマプリリンパ パパレホパパレホドリミンパは?」 
「ママもおばあちゃんも盗作は、だめだってば」 
「ほら、おばあちゃんもおうちに戻るんでしょ」 
魔法少女の講釈が始まりそうの勢いの祖母の背中を押し母屋に戻り、自室で制服から私服に着替えてダイニングに来るとすでに夕食の準備が始まっていた。 
ありすは母を手伝い料理や食器を運び始める。 
「ママ、今週の土曜日にお友達のハロウィンパーティーに招待されたんだけど、行ってもいいな?」 
「まあ、楽しそうね。」 
母は料理しながら答える。 
「お菓子をもらったらママにも分けてね」 
「じゃあ、いってもいいの?」 
「もちろんよ。楽しんでらっしゃい」 
「ありがとう、ママ」 
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