上 下
131 / 131
最終章

第四章

しおりを挟む
リュミエール王国との同盟締結により、セリカの王国は強固な支援を得ることができ、セリカもまた女王としての地位を一層安定させることができた。これにより、彼女は待ち望んでいた者たちをついに招集できるようになった。そう、かつての腹心であり、信頼する部下であるドライドとサエである。

セリカは、二人を呼び寄せる手配を整え、彼らが宮殿に到着するのを待っていた。ドライドとサエはかつてディオール領で共に働き、セリカの側近として忠誠を誓っていた者たちであり、セリカにとっては家族同然の存在でもあった。彼らが再び隣に立つことができるのは、セリカにとって大きな支えとなる。

数日後、宮殿の門に二人の姿が現れた。ドライドは変わらず冷静で頼れる雰囲気を醸し出し、サエは以前よりも成長した様子がうかがえた。セリカは笑顔で彼らを迎え、再び共に歩んでいける喜びを感じていた。

「ドライド、サエ、こうしてまたあなたたちと一緒に働けるなんて、これほど嬉しいことはありません。」

セリカの言葉に、ドライドは静かに頭を下げ、変わらぬ忠誠の意を示した。

「女王陛下、こうして再びお仕えできることを光栄に思います。私どもも、女王陛下のために力を尽くす覚悟でまいりました。」

サエもまた、セリカに向かって深く一礼し、その瞳には決意が宿っていた。

「セリカ様、お会いできて本当に嬉しいです。これからはまた、私たちが全力でサポートいたします!」

セリカは彼らの言葉に感謝し、共に王国の未来を築き上げていく覚悟を新たにした。彼らがいることで、これからの困難も乗り越えられると強く感じた。

セリカは早速、ドライドとサエに現在の情勢や政策についての説明を行い、彼らの知恵と意見を求めた。ドライドは冷静な分析力を発揮し、セリカの政策をさらに効果的に進めるための提案を次々と行った。サエもまた、彼女の機転と行動力を活かし、セリカが目指す改革に向けて具体的なサポート策を示した。

「女王陛下、このようにして進めれば、民衆の生活もさらに安定することでしょう。また、貴族間の調整も適切に行えば、皆が陛下の政策を支持する形となるはずです。」

ドライドの冷静な助言に、セリカは大きく頷いた。

「そうね、貴族たちの協力も必要不可欠だわ。彼らが協力してくれることで、国全体が一つにまとまり、安定するでしょう。」

サエもまた、民衆の声を丁寧に拾い上げる役割を引き受け、改革が実際に民衆にどのような影響を与えるのかを詳しく報告した。

「セリカ様、民衆は陛下の改革に期待しています。ですが、中には不安を感じている者もいます。その声をしっかりと聞き、対応することで、皆が安心して生活できるようにしていきましょう。」

セリカは、サエの言葉に耳を傾けながら、民衆の声を大切にする重要性を改めて実感した。王国の安定は民衆の支持によって成り立つものであり、その声を無視することはできない。こうして彼女は、ドライドとサエの力を得て、王国をさらに発展させるための具体的な行動に移る準備を整えた。

そして、彼女のもとには次々と支持者が集まり、彼女の施策が王国内で徐々に浸透していった。貴族たちは彼女の強力なリーダーシップに敬意を抱き、彼女のもとで協力する姿勢を見せるようになった。さらに、リュミエール王国との同盟により、国際的な立場も安定し、外敵からの脅威にも備えることができるようになった。

ある日、セリカは王宮の広間に部下や貴族たちを集め、これからの王国の未来について力強く演説を行った。

「この国は私たち皆のものです。私一人の力では何も成し遂げられませんが、皆の協力があれば、必ずこの国をより良い方向へと導くことができると信じています。」

彼女の力強い言葉に、広間の人々は拍手を送り、彼女のリーダーシップを改めて実感した。セリカはこの場で、王国をより豊かで安全な国にするための決意を新たにし、皆と共に歩んでいく意志を示した。


---

こうしてセリカは、信頼するドライドとサエと共に、新たな時代を築くための第一歩を踏み出した。彼女が掲げる理想は、もはや一人の願望ではなく、国全体が共有する未来のビジョンとなっていた。

エリシオン王子との婚約も公表され、国内外の信頼も厚く、彼女の統治は盤石なものとなりつつあった。セリカのリーダーシップの下、王国はかつてない安定と繁栄を享受し、民衆は彼女を心から信頼し、未来を託すようになっていった。

そしてセリカは、バルコニーから広がる国土を眺めながら、心の中で新たな誓いを立てた。

「私はこの国を、皆と共に守り、発展させていきます。そして、エリシオン王子との同盟を基盤に、共に未来を築き上げていくことを誓います。」

セリカの決意と信念は揺るぎなく、彼女はまさに新たな時代の象徴として、王国に光をもたらし続ける存在となっていった。

これが、セリカが女王として確立し、信頼する腹心たちと共に歩み始めた未来への第一歩であった。



エピローグ

新たな時代の朝を迎えたリュミエール王国とレクサス王国の同盟は、周辺諸国にも大きな影響を与え、平和と繁栄の象徴として歴史に刻まれていった。セリカは女王としての役割を果たし、誠実でありながらも毅然とした態度で統治に臨み、彼女を支えるドライドとサエは忠実にその手腕を発揮して国の発展を支え続けた。

エリシオン王子とは公の場での顔合わせが続き、彼が時折見せる穏やかな微笑みに、セリカもどこか安心感を覚えるようになっていた。二人はまだ正式な婚約者としての関係ではあったが、お互いに尊重し合い、未来を見据えた絆が少しずつ深まっていくのを感じていた。

そんなある日、セリカは宮殿のバルコニーから広がる国土を眺めていた。目の前には広大な大地が広がり、遠くには彼女のもとで安定を取り戻した領地と、そこで暮らす民たちの暮らしの様子が見え隠れしている。

「私は、この国を守り抜く。民たちの笑顔を絶やさず、平和と繁栄を築き上げる…それが、私の使命だわ。」

心の中でそう誓うと、セリカは深く息を吸い込み、どこか清々しい気持ちで視線を遠くに向けた。


---

セリカの統治は着実に国に安定をもたらし、彼女の元には近隣諸国からも信頼と尊敬が寄せられるようになっていた。各国の使節がリュミエール王国を訪れ、セリカとの会談を望む声が後を絶たず、彼女の意志と理想は少しずつ広がっていった。

ある夜、セリカは宮殿の一角で、ドライドとサエと共に過去を振り返りながら語り合っていた。

「思えば、ここまで来る道のりは決して平坦ではありませんでしたね、女王陛下。」

ドライドが穏やかな笑みを浮かべて言うと、セリカもまた微笑みを浮かべた。

「ええ、たくさんの試練がありました。でも、それを乗り越えられたのは、あなたたちがいてくれたから。私は決して一人ではなかったのよ。」

セリカの言葉に、サエも感極まったように微笑んだ。

「私たちはこれからも陛下のそばでお支えします。陛下の信念に従い、共に未来を築いていきます。」

三人は静かな夜の中で言葉を交わし、それぞれが胸の中に新たな決意を刻み込んだ。


---

その後もセリカは、国を守り、民の幸福を守り抜くための努力を惜しまなかった。エリシオン王子との絆も、時と共にさらに深まり、いつしか二人は真の信頼と尊敬を基盤とした関係へと成長していった。

そして、女王セリカの名は歴史に刻まれ、彼女がもたらした平和と繁栄の時代は「セリカの黄金時代」として後世に語り継がれていくこととなる。

未来を照らす光のもと、セリカは今もなお、民たちと共に歩み続けている。

しおりを挟む

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

【完結】野蛮な辺境の令嬢ですので。

❄️冬は つとめて
恋愛
その日は国王主催の舞踏会で、アルテミスは兄のエスコートで会場入りをした。兄が離れたその隙に、とんでもない事が起こるとは彼女は思いもよらなかった。 それは、婚約破棄&女の戦い?

【完結】ずっと、ずっとあなたを愛していました 〜後悔も、懺悔も今更いりません〜

高瀬船
恋愛
リスティアナ・メイブルムには二歳年上の婚約者が居る。 婚約者は、国の王太子で穏やかで優しく、婚約は王命ではあったが仲睦まじく関係を築けていた。 それなのに、突然ある日婚約者である王太子からは土下座をされ、婚約を解消して欲しいと願われる。 何故、そんな事に。 優しく微笑むその笑顔を向ける先は確かに自分に向けられていたのに。 婚約者として確かに大切にされていたのに何故こうなってしまったのか。 リスティアナの思いとは裏腹に、ある時期からリスティアナに悪い噂が立ち始める。 悪い噂が立つ事など何もしていないのにも関わらず、リスティアナは次第に学園で、夜会で、孤立していく。

[完]本好き元地味令嬢〜婚約破棄に浮かれていたら王太子妃になりました〜

桐生桜月姫
恋愛
 シャーロット侯爵令嬢は地味で大人しいが、勉強・魔法がパーフェクトでいつも1番、それが婚約破棄されるまでの彼女の周りからの評価だった。  だが、婚約破棄されて現れた本来の彼女は輝かんばかりの銀髪にアメジストの瞳を持つ超絶美人な行動過激派だった⁉︎  本が大好きな彼女は婚約破棄後に国立図書館の司書になるがそこで待っていたのは幼馴染である王太子からの溺愛⁉︎ 〜これはシャーロットの婚約破棄から始まる波瀾万丈の人生を綴った物語である〜 夕方6時に毎日予約更新です。 1話あたり超短いです。 毎日ちょこちょこ読みたい人向けです。

婚約破棄をされた悪役令嬢は、すべてを見捨てることにした

アルト
ファンタジー
今から七年前。 婚約者である王太子の都合により、ありもしない罪を着せられ、国外追放に処された一人の令嬢がいた。偽りの悪業の経歴を押し付けられ、人里に彼女の居場所はどこにもなかった。 そして彼女は、『魔の森』と呼ばれる魔窟へと足を踏み入れる。 そして現在。 『魔の森』に住まうとある女性を訪ねてとある集団が彼女の勧誘にと向かっていた。 彼らの正体は女神からの神託を受け、結成された魔王討伐パーティー。神託により指名された最後の一人の勧誘にと足を運んでいたのだが——。

一体だれが悪いのか?それはわたしと言いました

LIN
恋愛
ある日、国民を苦しめて来たという悪女が処刑された。身分を笠に着て、好き勝手にしてきた第一王子の婚約者だった。理不尽に虐げられることもなくなり、ようやく平和が戻ったのだと、人々は喜んだ。 その後、第一王子は自分を支えてくれる優しい聖女と呼ばれる女性と結ばれ、国王になった。二人の優秀な側近に支えられて、三人の子供達にも恵まれ、幸せしか無いはずだった。 しかし、息子である第一王子が嘗ての悪女のように不正に金を使って豪遊していると報告を受けた国王は、王族からの追放を決めた。命を取らない事が温情だった。 追放されて何もかもを失った元第一王子は、王都から離れた。そして、その時の出会いが、彼の人生を大きく変えていくことになる… ※いきなり処刑から始まりますのでご注意ください。

転生した元悪役令嬢は地味な人生を望んでいる

花見 有
恋愛
前世、悪役令嬢だったカーラはその罪を償う為、処刑され人生を終えた。転生して中流貴族家の令嬢として生まれ変わったカーラは、今度は地味で穏やかな人生を過ごそうと思っているのに、そんなカーラの元に自国の王子、アーロンのお妃候補の話が来てしまった。

痛みは教えてくれない

河原巽
恋愛
王立警護団に勤めるエレノアは四ヶ月前に異動してきたマグラに冷たく当たられている。顔を合わせれば舌打ちされたり、「邪魔」だと罵られたり。嫌われていることを自覚しているが、好きな職場での仲間とは仲良くしたかった。そんなある日の出来事。 マグラ視点の「触れても伝わらない」というお話も公開中です。 別サイトにも掲載しております。

【 完結 】「平民上がりの庶子」と言っただなんて誰が言ったんですか?悪い冗談はやめて下さい!

しずもり
恋愛
 ここはチェン王国の貴族子息子女が通う王立学園の食堂だ。確かにこの時期は夜会や学園行事など無い。でもだからってこの国の第二王子が側近候補たちと男爵令嬢を右腕にぶら下げていきなり婚約破棄を宣言しちゃいますか。そうですか。 お昼休憩って案外と短いのですけど、私、まだお昼食べていませんのよ?  突然、婚約破棄を宣言されたのはチェン王国第二王子ヴィンセントの婚約者マリア・べルージュ公爵令嬢だ。彼女はいつも一緒に行動をしているカミラ・ワトソン伯爵令嬢、グレイシー・テネート子爵令嬢、エリザベス・トルーヤ伯爵令嬢たちと昼食を取る為食堂の席に座った所だった。 そこへ現れたのが側近候補と男爵令嬢を連れた第二王子ヴィンセントでマリアを見つけるなり書類のような物をテーブルに叩きつけたのだった。 よくある婚約破棄モノになりますが「ざまぁ」は微ざまぁ程度です。 *なんちゃって異世界モノの緩い設定です。 *登場人物の言葉遣い等(特に心の中での言葉)は現代風になっている事が多いです。 *ざまぁ、は微ざまぁ、になるかなぁ?ぐらいの要素しかありません。

処理中です...