上 下
6 / 8

第六章: 「世界を変える存在」

しおりを挟む

---

ミコは婚約者たちとの関係を深めながらも、それぞれが抱える呪いと困難を目の当たりにしていた。レオンは満月の夜だけ本来の姿を取り戻し、普段は呪いで顔を傷つけられている。オリバーは無理やり男としての役割を演じ続けながらも、時折少女に変わってしまう呪いに苦しんでいた。そしてビクターは、自分を馬鹿と見せかけることで貴族社会の陰謀を操る一流の策略家でありながら、その裏で孤独と戦っていた。

彼らとの絆を深める中で、ミコは自分自身の役割に気づき始めた。彼らの苦しみを見過ごすことはできない――そう強く思うようになった。そして、自分に与えられた「他者の能力を倍増させる力」が、彼らのために役立つのではないかという考えが浮かび始めた。


---

ある晩、ミコは自室で考え事をしていた。彼女は今までずっと、自分の力を隠し通してきた。しかし、婚約者たちの呪いを解くには、もう自分の力を隠すことはできない。何か行動を起こさなければならない。そう思った矢先、彼女の部屋にひっそりとビクターが現れた。

「ミコ様、何か悩んでいますか?」

ビクターはいつもの軽い口調でそう問いかけてきたが、その目には鋭い光が宿っていた。彼はミコが何かを抱えていることに気づいているようだった。

「ビクター様……私は、自分の力をどう使うべきか悩んでいます。」

ミコは正直に彼に告白した。自分が他者の能力を倍増させる力を持っていること、そしてその力を使って婚約者たちを救う方法を模索していることを話した。ビクターは少し驚いた表情を見せたが、すぐに彼女の手を優しく取った。

「あなたの力があれば、きっと彼らを救うことができるでしょう。ただし、その力を使うことで、あなた自身に何かしらの影響が及ぶかもしれない。それでも、あなたはそれを望んでいるんですか?」

ビクターの問いに、ミコは一瞬ためらった。しかし、彼女は決意を固めて頷いた。

「はい。私は彼らを助けたい。それが私にできることなら、私は喜んでその力を使います。」

ビクターは静かに頷き、ミコの決意を受け入れた。


---

翌日、ミコはレオン、オリバー、そしてビクターを招いて、彼らと話し合うことにした。彼らに自分の力を打ち明け、その力を使って彼らの呪いを解くために協力してほしいと伝えたのだ。ミコの言葉に対して、彼らは驚きながらも、彼女の真剣さに心を動かされていた。

レオンが最初に口を開いた。

「ミコ様、あなたがそんな力を持っているとは思いませんでした。しかし、もし本当に私たちを助けてくれるなら……私はあなたに全てを託します。」

次に、オリバーがゆっくりと口を開いた。

「ミコ様、私は自分の呪いにずっと苦しんでいました。でも、あなたが助けてくれるなら、きっとそれを乗り越えられると思います。」

そして、ビクターは軽い口調でこう言った。

「まあ、俺は信じてましたけどね、ミコ様の力が特別だってことを。でも、無理はしないでくださいよ。俺たちも一緒に戦いますから。」

彼らの協力を得て、ミコはついに彼らの呪いを解くための行動に移ることを決意した。


---

まず最初に、レオンの呪いを解くために動き出した。レオンの家に伝わる古い書物に、彼の呪いに関する手がかりが記されているという情報を得たミコたちは、リカルド家の図書室に向かった。そこには、代々受け継がれてきた膨大な量の書物が眠っていた。

「ここに、私の呪いを解くための情報があるかもしれません。」

レオンはそう言って、彼女を案内した。図書室には古びた本が無数に並んでおり、彼の呪いに関する記録を見つけるのは容易ではなかった。だが、彼らは諦めず、何時間もかけて書物を調べ続けた。

そして、ついにミコは一冊の古い本の中に、呪いを解くための方法が記されている一節を発見した。それは「月光の祝福」という儀式で、満月の夜に特定の条件を満たせば、呪いが解けるというものだった。

「これだ……!」

ミコは興奮してそのページを指さした。レオンも驚いた表情でそれを見つめていた。

「本当に……そんな方法があったのか。」

その儀式を成功させるためには、ミコの持つ力が必要不可欠であることが記されていた。彼女の力がレオンの能力を倍増させ、呪いを打ち破る助けになるというのだ。

「私が……あなたを助けます、レオン様。」

ミコの決意に、レオンは深く感謝の気持ちを抱いた。


---

そして、満月の夜。ミコとレオンは月光の下に立ち、儀式を行う準備を整えた。ミコは心を落ち着かせ、レオンに手を差し伸べた。

「大丈夫です。私たちは一緒にこれを乗り越えます。」

レオンはミコの手をしっかりと握り返し、深く息を吐いた。彼の顔には緊張と期待が混じっていたが、その目には強い決意が宿っていた。

「ミコ様、ありがとう。あなたがいてくれるおかげで、私はこの呪いを乗り越えられる気がします。」

そして、二人は月光の中で儀式を始めた。ミコは自分の力を最大限に引き出し、レオンの力を倍増させた。すると、彼の体が光に包まれ、まるで呪いが解かれる瞬間を待っていたかのように、その姿が変わり始めた。

「レオン様……!」

ミコは驚きと感動の中で、その瞬間を見守った。そして、ついにレオンの呪いが解け、本来の美しい姿を完全に取り戻したのだった。

「ミコ様……本当にありがとう。私はもう、呪いに縛られることはない。」

レオンは微笑み、ミコに感謝の言葉を捧げた。その瞬間、二人の間に強い絆が生まれ、彼らはこれからも共に歩んでいくことを誓った。


---

ミコはレオンの呪いを解いたことで、自分の力が確かに役に立つことを実感した。次はオリバー、そしてビクターの助けを必要としている人々を救うために、彼女はさらなる試練に挑む覚悟を固めていた。彼らとの絆が深まる中で、ミコは自分が「世界を変える存在」になれることを信じ始めたのだった。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

悪役令嬢に転生しましたがモブが好き放題やっていたので私の仕事はありませんでした

蔵崎とら
恋愛
権力と知識を持ったモブは、たちが悪い。そんなお話。

宮廷外交官の天才令嬢、王子に愛想をつかれて婚約破棄されたあげく、実家まで追放されてケダモノ男爵に読み書きを教えることになりました

悠木真帆
恋愛
子爵令嬢のシャルティナ・ルーリックは宮廷外交官として日々忙しくはたらく毎日。 クールな見た目と頭の回転の速さからついたあだ名は氷の令嬢。 婚約者である王子カイル・ドルトラードを長らくほったらかしてしまうほど仕事に没頭していた。 そんなある日の夜会でシャルティナは王子から婚約破棄を宣言されてしまう。 そしてそのとなりには見知らぬ令嬢が⋯⋯ 王子の婚約者ではなくなった途端、シャルティナは宮廷外交官の立場まで失い、見かねた父の強引な勧めで冒険者あがりの男爵のところへ行くことになる。 シャルティナは宮廷外交官の実績を活かして辣腕を振るおうと張り切るが、男爵から命じられた任務は男爵に文字の読み書きを教えることだった⋯⋯

【完結】お見合いに現れたのは、昨日一緒に食事をした上司でした

楠結衣
恋愛
王立医務局の調剤師として働くローズ。自分の仕事にやりがいを持っているが、行き遅れになることを家族から心配されて休日はお見合いする日々を過ごしている。 仕事量が多い連休明けは、なぜか上司のレオナルド様と二人きりで仕事をすることを不思議に思ったローズはレオナルドに質問しようとするとはぐらかされてしまう。さらに夕食を一緒にしようと誘われて……。 ◇表紙のイラストは、ありま氷炎さまに描いていただきました♪ ◇全三話予約投稿済みです

王女殿下の秘密の恋人である騎士と結婚することになりました

鳴哉
恋愛
王女殿下の侍女と 王女殿下の騎士  の話 短いので、サクッと読んでもらえると思います。 読みやすいように、3話に分けました。 毎日1回、予約投稿します。

婚約破棄されたおっとり令嬢は「実験成功」とほくそ笑む

柴野
恋愛
 おっとりしている――つまり気の利かない頭の鈍い奴と有名な令嬢イダイア。  周囲からどれだけ罵られようとも笑顔でいる様を皆が怖がり、誰も寄り付かなくなっていたところ、彼女は婚約者であった王太子に「真実の愛を見つけたから気味の悪いお前のような女はもういらん!」と言われて婚約破棄されてしまう。  しかしそれを受けた彼女は悲しむでも困惑するでもなく、一人ほくそ笑んだ。 「実験成功、ですわねぇ」  イダイアは静かに呟き、そして哀れなる王太子に真実を教え始めるのだった。 ※こちらの作品は小説家になろうにも重複投稿しています。

猛禽令嬢は王太子の溺愛を知らない

高遠すばる
恋愛
幼い頃、婚約者を庇って負った怪我のせいで目つきの悪い猛禽令嬢こと侯爵令嬢アリアナ・カレンデュラは、ある日、この世界は前世の自分がプレイしていた乙女ゲーム「マジカル・愛ラブユー」の世界で、自分はそのゲームの悪役令嬢だと気が付いた。 王太子であり婚約者でもあるフリードリヒ・ヴァン・アレンドロを心から愛しているアリアナは、それが破滅を呼ぶと分かっていてもヒロインをいじめることをやめられなかった。 最近ではフリードリヒとの仲もギクシャクして、目すら合わせてもらえない。 あとは断罪を待つばかりのアリアナに、フリードリヒが告げた言葉とはーー……! 積み重なった誤解が織りなす、溺愛・激重感情ラブコメディ! ※王太子の愛が重いです。

私と黄金竜の国

すみれ
恋愛
異世界で真理子は竜王ギルバートに出会う。 ハッピーエンドと喜んだのもつかの間、ギルバートには後宮があったのだ。 問題外と相手にしない真理子と、真理子にすがるギルバート。 どんどんギルバートは思いつめていく。 小説家になろうサイトにも投稿しております。

伝える前に振られてしまった私の恋

メカ喜楽直人
恋愛
母に連れられて行った王妃様とのお茶会の席を、ひとり抜け出したアーリーンは、幼馴染みと友人たちが歓談する場に出くわす。 そこで、ひとりの令息が婚約をしたのだと話し出した。

処理中です...