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エピローグ: 新たな旅立ち

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午前零時の鐘が鳴り終わると同時に、姫雪は元の姿に戻っていた。目の前に立つ東 京一は、驚きと混乱の表情を隠せずに彼女を見つめていた。まさか、あの美少女が普段の姫雪だったとは夢にも思わなかったのだ。

「なんだよ、それ…」  
東はようやく口を開いたが、その言葉はどこか狼狽していた。

しかし、その後の東の反応は、姫雪の予想を超えていた。

「そんな子供より、俺と付き合おうぜ」

その言葉が出た瞬間、ファイサルが一歩前に出て、東を遮るように冷静に言い放った。

「おい、庶民。僕の女に手を出したら、外交問題になるぞ」

ファイサルはさらに、右手をポケットから取り出し、指輪を見せながら続けた。

「僕が彼女に送ったこの指輪は、1000万ドルだ。それ以上のものを君は彼女に送れるのか?」

「1000万ドル…?14億円?」

その言葉に、東は一瞬計算して言葉を失った。さすがエリート大学生、計算は早かった。しかし、その金額が現実だと理解した瞬間、東は半ば強引に姫雪に再度迫った。

「でも、あの時は、今の姿じゃなかったからさ。見た目がこんなに綺麗なら、話は別だろ?」

その言葉を聞いた瞬間、姫雪は心の中で深くため息をついた。東の本音が露呈したことで、彼に対する未練は完全に冷めていた。

ファイサルは東の言葉に動じることなく、姫雪に向かって優しく微笑んだ。

「僕は、あっちの姿も好きだよ」

その一言が、姫雪の胸に温かく響いた。すると、東の後ろから現れた彼女—鏡野有沙が冷静な声で告げた。

「私と付き合ってるのに、他の女に告白するなんて、最低…」

その言葉が東の耳に届いた瞬間、彼は完全に固まってしまった。鏡野は彼に背を向け、その場を去っていった。東は何も言えず、ただその場に立ち尽くしていた。

場の緊張が解けたかのように、ファイサルは姫雪に向き直り、真剣な眼差しで言った。

「僕、そろそろ帰国しなければならないんだ。一緒に来てくれるか?」

姫雪は一瞬驚いたが、すぐに冷静に考え始めた。

「でも、引っ越しの用意とかあるし…」

ファイサルはにっこりと笑いながら答えた。

「そんなものは置いていけばいい。必要なものはドバイで全部買えばいいんだよ。それに、別荘がドバイにあるから、何も心配しなくていい」

その言葉に、姫雪はもう一度考えた。これまでの平凡な生活と、これからの未知なる新しい生活。その天秤がゆっくりと傾き、彼女はついに決断した。

「店長、退職します」

その一言で、姫雪の新たな人生が決まった。ファイサルは嬉しそうに微笑み、彼女の手をしっかりと握りしめた。そして二人は、未来へと続くリムジンへと歩みを進めた。

リムジンのドアが静かに閉まり、エンジンが優しく唸りを上げる。二人は空港へと向かい、新たな旅立ちの準備を整えた。

リムジンが静かに夜の街を進む中、ファイサルはふと隣に座る姫雪に視線を向けた。彼の表情には、ほんの少しの不安が浮かんでいるように見える。

「姫雪?」

「なに?」  
姫雪は軽く返事をしながら、窓の外に目を向けた。

ファイサルは少し迷いながらも、意を決して尋ねた。

「一つ心配なんだが…」

「なに?」  
姫雪は彼の真剣な表情に気づき、少し顔を近づけて尋ねた。

「ドバイって、日本よりずっと暑いんだけど…溶けない?」

その言葉に、姫雪は一瞬、理解が追いつかなかった。しかし、すぐにファイサルの言葉の意味が分かり、彼女の表情は驚きから呆れに変わった。

「溶けねーよ!ばか!」  
姫雪は思わず笑いながらツッコんだ。
**エピローグ: 新たな旅立ち (さらに追加シーン)**

---

リムジンの中、二人の笑い声が収まった後、ファイサルが再び口を開いた。

「実は、もう一つ心配なことがあって…」

「今度はなんだよ!」  
姫雪は少し呆れたように言い返しながら、ファイサルの方を見た。

ファイサルは一瞬真剣な表情を浮かべ、少し間を置いてから静かに言った。

「実はね…妻が3人いるんだ」

その言葉に、姫雪の顔が一瞬で凍りついた。確かに中東の国では一夫多妻が認められていることがある。まさか…そういうことなのか?

姫雪の心の中で様々な思いが交錯する。彼女は言葉を失い、何を言えばいいのか分からなかった。しかし、次の瞬間、ファイサルが声をあげて笑い出した。

「冗談だよ。姫、一人だけだよ」

その言葉に、姫雪は一瞬驚き、そして怒りがこみ上げてきた。

「私をからかって遊ぶなー!…え?姫?」

ハッと気がついて、姫雪は自分がファイサルの呼び方に気づいた瞬間、顔が真っ赤になった。ドサクサに紛れて「姫」と呼ばれていたことに今さら気づいたのだ。

ファイサルは姫雪の反応を見て、優しく微笑んだ。姫雪はその表情にますます恥ずかしくなり、照れ隠しに一言。

「ばかぁ…」

その言葉には、どこか照れた感情が混ざっていた。

ファイサルは彼女の手を優しく握りしめ、二人は新たな旅立ちへと向かうリムジンの中で、ほんの少し大人びた、しかし変わらない二人の関係を再確認した。

end
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