貧乳シンデレラ 新装版

第二章 舞踏会の知らせ

シンディが孤独な屋根裏部屋で過ごしてから数日後、王国中にある大きな知らせが広がった。それは、王子が妃を選ぶために舞踏会を開催するというもので、貴族の娘たちが一堂に会して王子と踊る機会を得るというものだった。町中がその話題で持ちきりになり、各家庭では娘たちの準備が急ピッチで進められていた。

もちろん、クリスタ家でもその知らせは大きな騒ぎを引き起こしていた。エレナとソフィアは、王子の妃候補に選ばれることを期待し、豪華なドレスを新調し、装飾品やアクセサリーを選ぶのに夢中だった。義母も二人の娘たちが王子の目に留まるよう、あらゆる準備を手伝い、屋敷中が浮き足立っていた。

しかし、シンディにはその騒ぎはまるで別世界の出来事のように感じられた。彼女には舞踏会に出席するという選択肢が最初から与えられていなかったからだ。義母も義姉たちも、シンディが舞踏会に参加することなど、まるで考えていなかった。

「シンディ、あんたは行かないのよね？ドレスなんてないし、王子が見るのは、もっと胸の大きな女よ」
エレナが笑いながら言った。

「そうね、あんたみたいな貧乳じゃ、王子の目に留まるわけがないわ。舞踏会なんて夢見るだけ無駄よ」
ソフィアも続けてシンディを嘲笑した。

シンディは、いつものように言い返すことなく黙っていた。彼女も内心、舞踏会に出たいという気持ちはあった。豪華なドレスを着て、華やかな舞踏会に参加する――それは、どんな娘でも憧れるものだ。だが、自分にはそんな資格がないと、シンディはもう諦めていた。

舞踏会への淡い夢

シンディが一人で屋根裏部屋に戻り、窓から空を見上げた。外では町中の娘たちが舞踏会に向けた準備を進めている光景が見える。彼女たちは、誰もが美しく着飾り、王子との出会いを夢見ているのだろう。シンディはため息をつきながら、自分にはその夢が遠すぎることを痛感した。

「私も、普通の女の子だったら……」
シンディは呟いたが、その声は誰にも届かない。

母親が生きていたら、もっと違う人生があったのだろうか。もし母親がいてくれたら、貧乳のことを気にしないで自分らしく生きる道を見つけられていたのかもしれない――そんな思いが頭をよぎるたびに、シンディは自分の孤独をさらに感じた。

準備が整う義姉たち

一方、エレナとソフィアは、舞踏会に向けて準備を急いで進めていた。二人はそれぞれが王子に選ばれることを確信しており、お互いに競い合うように、より美しい姿を見せようと必死だった。新調されたドレスは、彼女たちの豊満な体をさらに際立たせ、特に胸元を強調するデザインが選ばれていた。

「王子は絶対に私を選ぶに違いないわ」とエレナは自信満々に言った。
「ソフィア、あなたなんて敵じゃないわよ」
「何言ってるの、エレナ。私だって負けるつもりはないわ」

二人は互いにけん制し合いながらも、シンディを貶すことで、二人の間には奇妙な連帯感があった。どちらにせよ、シンディには彼女たちの競争に加わることすら許されないのだから。

舞踏会の準備

その夜、義母と義姉たちは舞踏会に向けた最後の準備に追われていた。豪華な馬車が屋敷の前に待機し、二人は美しいドレスに身を包んで出発する寸前だった。義母は、二人の娘たちを誇らしげに見つめ、彼女たちが王子の妃となる未来を夢見ていた。

「さあ、行くわよ。シンディ、あんたは家でおとなしくしていなさい」と義母は冷たく言い放った。
「こんなに美しい娘たちがいれば、王子もきっと夢中になるに違いないわ」

シンディは、馬車に乗り込む義姉たちを見送ることしかできなかった。彼女たちが去った後、シンディはまた静かな屋根裏部屋に戻った。家の中は急に静けさを取り戻し、シンディは自分が一人ぼっちであることを改めて実感した。

「私も、舞踏会に行きたかった……」
その言葉は、虚しく屋根裏部屋に響くだけだった。

外では、夜の空に輝く星々が静かに瞬いていた。しかし、シンディにはその輝きが、まるで自分とは別世界のもののように思えてならなかった。


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