35 / 36
第7部
第5章:「運命の決戦」
しおりを挟む---
アリア、フィリップ、エリスの三人は、レナードとの最終決戦に臨む覚悟を固めていた。彼らの前に立つレナードは、背後に現れた巨大な魔法陣から暗黒の力を引き出し、玉座の間全体を覆うほどの凄まじい魔力を纏っていた。その力は、これまでに見たどんな魔物や敵とも比べものにならないほど恐ろしいものだった。
「これが……レナードの本当の力……?」フィリップはその圧倒的な魔力に息を呑んだが、すぐに剣を構えて気を引き締めた。「俺たちはここで立ち止まるわけにはいかない!」
「そうよ、私たちはこの戦いを終わらせるためにここまで来たんだから!」アリアも、再び力を解き放ち、全身に魔力をまとわせた。
「今こそ、すべてを決着させる時……!」エリスも覚悟を決め、杖を握りしめた。彼女の周りに漂う魔力が揺らめき、精霊の力が応えているのが感じられる。
レナードは冷ややかな笑みを浮かべながら、彼らを見下ろした。「お前たちの決意は美しい……だが、力の差は絶対だ。私の前では何をしようとも無駄だということを、思い知るがいい。」
レナードが手をかざすと、闇の力が一気に収束し、巨大な暗黒の光弾が形成された。それは玉座の間全体を揺るがすほどの圧力を放ち、まるで彼らを一瞬で消し去ろうとするかのようだった。
「気をつけて!来るわよ!」アリアは仲間たちに叫びながら、すぐに防御の魔法を展開した。「バリア・シールド!」
彼女の張った魔法の盾が、闇の光弾を迎え撃った。だが、その力は強大で、アリアの防御を打ち砕かんばかりの勢いで押し寄せてきた。
「くっ……こんなに強いなんて……!」アリアは苦しみながらも、必死に盾を維持しようとした。
フィリップも剣を抜いて前へと飛び出し、光弾に斬りかかろうとしたが、闇の力は彼の攻撃をも簡単に弾き返した。「くそっ、これじゃ歯が立たない……!」
「まだよ、私たちはここで諦めない!」エリスが杖を掲げ、強力な魔法を発動させた。「ライトニング・ストライク!」
彼女の放った雷の魔法が空中に走り、光弾に向かって直撃した。その衝撃で一瞬、光弾が揺らぎ、力が弱まった。
「今だ!」フィリップが再び剣を振りかざし、全力で斬り込んだ。
光弾はついに力を失い、爆発音を立てて消滅した。三人は息をつきながら、再びレナードに向かい合った。
「よく防いだな。しかし、まだ私の力は底を見せていない……」レナードは冷静なまま、さらなる魔力を引き出し始めた。「これが、真の力だ!」
その瞬間、玉座の間全体が揺れ、周囲の空間が歪み始めた。まるで現実世界そのものが崩壊していくかのように、レナードの力が空間に干渉し、次元そのものをねじ曲げていった。
「なんて力だ……」フィリップは驚愕の表情で呟いた。「このままでは世界そのものが破壊されてしまう……!」
アリアは冷静に状況を見つめ、考えを巡らせていた。「レナードの力は確かに強大だけど、彼が次元を歪めるほどの魔力を引き出すには限界があるはず。何か、彼の力の源を断ち切る方法があるはずよ!」
「その通りだ、アリア。彼の力を支えるものが何か、探さなければならない。」フィリップは剣を握りしめ、レナードを睨みつけた。「俺たちは、彼の力を根こそぎ断ち切る!」
エリスも周囲の魔力の流れを感じ取りながら、「レナードが使っている力は、玉座の間全体に張り巡らされた魔法陣から引き出している……その魔法陣を破壊すれば、彼の力は一気に弱まるはずよ。」
「なるほど、その魔法陣を破壊すればいいのね……」アリアはフィリップとエリスに頷き、すぐに行動に移した。「私たち三人で力を合わせて魔法陣を攻撃するわ!」
三人はそれぞれの力を結集し、玉座の間の四隅に描かれた魔法陣に向かって一斉に攻撃を仕掛けた。アリアの魔法、フィリップの剣、そしてエリスの精霊魔法が融合し、魔法陣を包む強力な力を撃ち抜いた。
「これでどうだ!」フィリップは叫びながら、全力で剣を振り下ろした。
その瞬間、魔法陣が崩れ、レナードを支えていた力が一気に揺らぎ始めた。彼の背後にあった巨大な魔法陣が消え、空間の歪みも徐々に収まっていった。
「やった……!」エリスが息を切らしながら言った。「これでレナードの力が弱まったはずよ!」
「今がチャンスだ!」アリアはフィリップとエリスに呼びかけ、再びレナードに向かって攻撃を仕掛けた。
レナードは苦しげに呻きながらも、依然として闇の力を纏っていた。「お前たち……ここまでやるとは……だが、まだ終わりではない……!」
レナードは最後の力を振り絞り、闇の刃を作り出して彼らに襲いかかった。だが、アリアたち三人はすでに覚醒した力を完全に使いこなしていた。彼らは互いに連携し、レナードの攻撃を見事にかわしながら、一斉に反撃に出た。
「これで終わりよ!」アリアは強力な魔法を解き放ち、フィリップとエリスもそれに続いて攻撃を加えた。
三人の力が合わさり、ついにレナードは力を失い、膝をついて崩れ落ちた。闇の力は完全に消え、彼の体からはもう何の魔力も感じられなかった。
「終わった……」フィリップが息を整えながら呟いた。
「やったわね……」アリアも深く息を吐き、緊張の糸が切れたように力を抜いた。
エリスは静かに微笑みながら言った。「これで、王国は守られたわ……」
レナードとの決戦は、ついに終焉を迎えた。王国を脅かしていた闇の力は消え去り、彼らは新たな未来に向けて一歩を踏み出すことができるようになった。
だが、彼らの冒険はまだ終わりではなかった。新たな試練が、彼らを待っているかもしれない――それでも、今の彼らならどんな困難も乗り越えられると信じていた。
「さあ、帰ろう。」アリアはフィリップとエリスに微笑みかけ、三人は仲間として、そして友人として、共
0
お気に入りに追加
21
あなたにおすすめの小説
婚約破棄とか言って早々に私の荷物をまとめて実家に送りつけているけど、その中にあなたが明日国王に謁見する時に必要な書類も混じっているのですが
マリー
恋愛
寝食を忘れるほど研究にのめり込む婚約者に惹かれてかいがいしく食事の準備や仕事の手伝いをしていたのに、ある日帰ったら「母親みたいに世話を焼いてくるお前にはうんざりだ!荷物をまとめておいてやったから明日の朝一番で出て行け!」ですって?
まあ、癇癪を起こすのはいいですけれど(よくはない)あなたがまとめてうちの実家に郵送したっていうその荷物の中、送っちゃいけないもの入ってましたよ?
※またも小説の練習で書いてみました。よろしくお願いします。
※すみません、婚約破棄タグを使っていましたが、書いてるうちに内容にそぐわないことに気づいたのでちょっと変えました。果たして婚約破棄するのかしないのか?を楽しんでいただく話になりそうです。正当派の婚約破棄ものにはならないと思います。期待して読んでくださった方申し訳ございません。
【完結】愛も信頼も壊れて消えた
miniko
恋愛
「悪女だって噂はどうやら本当だったようね」
王女殿下は私の婚約者の腕にベッタリと絡み付き、嘲笑を浮かべながら私を貶めた。
無表情で吊り目がちな私は、子供の頃から他人に誤解される事が多かった。
だからと言って、悪女呼ばわりされる筋合いなどないのだが・・・。
婚約者は私を庇う事も、王女殿下を振り払うこともせず、困った様な顔をしている。
私は彼の事が好きだった。
優しい人だと思っていた。
だけど───。
彼の態度を見ている内に、私の心の奥で何か大切な物が音を立てて壊れた気がした。
※感想欄はネタバレ配慮しておりません。ご注意下さい。
【完結】名ばかりの妻を押しつけられた公女は、人生のやり直しを求めます。2度目は絶対に飼殺し妃ルートの回避に全力をつくします。
yukiwa (旧PN 雪花)
恋愛
*タイトル変更しました。(旧題 黄金竜の花嫁~飼殺し妃は遡る~)
パウラ・ヘルムダールは、竜の血を継ぐ名門大公家の跡継ぎ公女。
この世を支配する黄金竜オーディに望まれて側室にされるが、その実態は正室の仕事を丸投げされてこなすだけの、名のみの妻だった。
しかもその名のみの妻、側室なのに選抜試験などと御大層なものがあって。生真面目パウラは手を抜くことを知らず、ついつい頑張ってなりたくもなかった側室に見事当選。
もう一人の側室候補エリーヌは、イケメン試験官と恋をしてさっさと選抜試験から引き揚げていた。
「やられた!」と後悔しても、後の祭り。仕方ないからパウラは丸投げされた仕事をこなし、こなして一生を終える。そしてご褒美にやり直しの転生を願った。
「二度と絶対、飼殺しの妃はごめんです」
そうして始まった2度目の人生、なんだか周りが騒がしい。
竜の血を継ぐ4人の青年(後に試験官になる)たちは、なぜだかみんなパウラに甘い。
後半、シリアス風味のハピエン。
3章からルート分岐します。
小説家になろう、カクヨムにも掲載しています。
表紙画像はwaifulabsで作成していただきました。
https://waifulabs.com/
初夜に前世を思い出した悪役令嬢は復讐方法を探します。
豆狸
恋愛
「すまない、間違えたんだ」
「はあ?」
初夜の床で新妻の名前を元カノ、しかも新妻の異母妹、しかも新妻と婚約破棄をする原因となった略奪者の名前と間違えた?
脳に蛆でも湧いてんじゃないですかぁ?
なろう様でも公開中です。
十三回目の人生でようやく自分が悪役令嬢ポジと気づいたので、もう殿下の邪魔はしませんから構わないで下さい!
翠玉 結
恋愛
公爵令嬢である私、エリーザは挙式前夜の式典で命を落とした。
「貴様とは、婚約破棄する」と残酷な事を突きつける婚約者、王太子殿下クラウド様の手によって。
そしてそれが一度ではなく、何度も繰り返していることに気が付いたのは〖十三回目〗の人生。
死んだ理由…それは、毎回悪役令嬢というポジションで立ち振る舞い、殿下の恋路を邪魔していたいたからだった。
どう頑張ろうと、殿下からの愛を受け取ることなく死ぬ。
その結末をが分かっているならもう二度と同じ過ちは繰り返さない!
そして死なない!!
そう思って殿下と関わらないようにしていたのに、
何故か前の記憶とは違って、まさかのご執心で溺愛ルートまっしぐらで?!
「殿下!私、死にたくありません!」
✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼
※他サイトより転載した作品です。
あなたが望んだ、ただそれだけ
cyaru
恋愛
いつものように王城に妃教育に行ったカーメリアは王太子が侯爵令嬢と茶会をしているのを目にする。日に日に大きくなる次の教育が始まらない事に対する焦り。
国王夫妻に呼ばれ両親と共に登城すると婚約の解消を言い渡される。
カーメリアの両親はそれまでの所業が腹に据えかねていた事もあり、領地も売り払い夫人の実家のある隣国へ移住を決めた。
王太子イデオットの悪意なき本音はカーメリアの心を粉々に打ち砕いてしまった。
失意から寝込みがちになったカーメリアに追い打ちをかけるように見舞いに来た王太子イデオットとエンヴィー侯爵令嬢は更に悪意のない本音をカーメリアに浴びせた。
公爵はイデオットの態度に激昂し、処刑を覚悟で2人を叩きだしてしまった。
逃げるように移り住んだリアーノ国で静かに静養をしていたが、そこに1人の男性が現れた。
♡注意事項~この話を読む前に~♡
※胸糞展開ありますが、クールダウンお願いします。
心拍数や血圧の上昇、高血糖、アドレナリンの過剰分泌に責任はおえません。
※外道な作者の妄想で作られたガチなフィクションの上、ご都合主義です。
※架空のお話です。現実世界の話ではありません。イラっとしたら現実に戻ってください。
※リアルで似たようなものが出てくると思いますが気のせいです。
※爵位や言葉使いなど現実世界、他の作者さんの作品とは異なります(似てるモノ、同じものもあります)
※誤字脱字結構多い作者です(ごめんなさい)コメント欄より教えて頂けると非常に助かります。
【完結】王女様がお好きなら、邪魔者のわたしは要らないですか?
曽根原ツタ
恋愛
「クラウス様、あなたのことがお嫌いなんですって」
エルヴィアナと婚約者クラウスの仲はうまくいっていない。
最近、王女が一緒にいるのをよく見かけるようになったと思えば、とあるパーティーで王女から婚約者の本音を告げ口され、別れを決意する。更に、彼女とクラウスは想い合っているとか。
(王女様がお好きなら、邪魔者のわたしは身を引くとしましょう。クラウス様)
しかし。破局寸前で想定外の事件が起き、エルヴィアナのことが嫌いなはずの彼の態度が豹変して……?
小説家になろう様でも更新中
宮廷外交官の天才令嬢、王子に愛想をつかれて婚約破棄されたあげく、実家まで追放されてケダモノ男爵に読み書きを教えることになりました
悠木真帆
恋愛
子爵令嬢のシャルティナ・ルーリックは宮廷外交官として日々忙しくはたらく毎日。
クールな見た目と頭の回転の速さからついたあだ名は氷の令嬢。
婚約者である王子カイル・ドルトラードを長らくほったらかしてしまうほど仕事に没頭していた。
そんなある日の夜会でシャルティナは王子から婚約破棄を宣言されてしまう。
そしてそのとなりには見知らぬ令嬢が⋯⋯
王子の婚約者ではなくなった途端、シャルティナは宮廷外交官の立場まで失い、見かねた父の強引な勧めで冒険者あがりの男爵のところへ行くことになる。
シャルティナは宮廷外交官の実績を活かして辣腕を振るおうと張り切るが、男爵から命じられた任務は男爵に文字の読み書きを教えることだった⋯⋯
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる