サマージャンボドリーム

プロフェッショナルとの共演

第4章 3

### 第4章: 追加シーン ― 映画配給会社の横槍

直樹のプロジェクトが順調に進む中、その噂は業界内で次第に広まりつつあった。クオリティを最優先する姿勢と、好きなスタッフを集めた制作体制は、多くの業界関係者の関心を引き、特に映画配給会社の目に留まった。

ある日、直樹の元に映画配給会社の代表が訪れた。彼は高級スーツに身を包み、いかにもビジネスに精通した雰囲気を漂わせていた。

「高山さん、お話を伺っております。今回のプロジェクトは非常に興味深いですね。そこで、我々としてもぜひこの作品に関わりたいと考えています」

代表は笑顔で話し始め、早速本題に入った。「私たちは、この作品の上映権を獲得したいと思っています。そして、そのために資金援助を提供する用意があります。制作資金が潤沢になれば、さらに素晴らしい作品が出来上がるでしょう」

直樹はその提案に一瞬耳を傾けたものの、すぐに違和感を覚えた。確かに資金援助はありがたいかもしれない。しかし、それには何か裏があると感じた。

「しかし、資金援助には条件がついてくるのではないでしょうか？」直樹は代表に問いかけた。

「もちろん、私たちはビジネスですからね」と、代表は軽く頷きながら続けた。「上映権を獲得するためには、ある程度の納期が必要になります。市場に合わせたタイミングで公開することで、最大の利益を得ることができますから」

直樹はその言葉に、内心で不快感を抱いた。彼の目指しているのは、最高のクオリティの作品を作ること。そのためには、急かされることなく、制作に十分な時間をかける必要がある。納期が設定され、急かされることで、クオリティが犠牲になるのは避けたかった。

「申し訳ありませんが、その提案はお断りさせていただきます」と直樹は毅然と答えた。

代表は驚いた表情を浮かべた。「どうしてですか？資金があれば、制作がもっとスムーズに進むのでは？」

直樹は首を横に振り、はっきりと伝えた。「資金はすでに十分にあります。私が最も重要視しているのは、クオリティです。納期に縛られて、クオリティを落とすようなことは絶対にしたくありません」

その直球な言葉に、代表はしばらく沈黙したが、やがて理解したように頷いた。「なるほど…高山さんの考えは分かりました。それでは、この話はここで終わりにしましょう」

代表が立ち去った後、直樹は深い息を吐いた。彼は、自分の選択が正しかったことを確信していた。どんなに魅力的な提案でも、自分の信念を曲げることはできない。それが、直樹の制作に対する姿勢だった。

この一件を通じて、直樹のプロジェクトに対する熱意と覚悟は、さらに固まった。彼は、クオリティを最優先に考え、決して妥協しないという決意を新たにしたのだった。