シン雪女伝説

ハロウィン

ハロウィンパレード

ハロウィンの夜、街は闇に包まれ、パレードが華やかに始まった。仮装した人々が通りを練り歩き、カラフルなライトが街を照らし出す。まるで異世界に迷い込んだかのような幻想的な雰囲気に、お雪たち三人も友人たちと別れ、しばし立ち止まってその光景に見入っていた。

「おお？ なんぞ、あれは？」と、雪姉が目を細めて前方を指差した。

「ハロウィンパレードよ」
と
お雪が答えると、雪姉は少し考え込んだ後に、
「西洋の百鬼夜行じゃな」と呟いた。

お雪はその言葉に軽く笑い、
「ちょっと違うけど、似たようなもんかもね」
と返す。
彼女たちはパレードを眺めながらゆっくりと歩き出した。
だが、その先には予期せぬ出会いが待っていた。
闇の中、真のハロウィンの主役たちが動き出す、そんな瞬間を迎えようとしていたのだ。

パレードに夢中になる子供たちの姿を見て、雪姉はふと思案にふける。そして、お雪と真魚に声をかけた。

「子供たちも楽しんでおるではないか。お雪、真魚、余っているお菓子をあの子らにやるのじゃ。」

その言葉に従い、お雪と真魚はすぐにお菓子の袋を手に取り、子供たちの元へと歩み寄る。
子供たちは、突然差し出されたお菓子に驚きながらも、満面の笑みでそれを受け取った。彼らの笑顔を見て、雪姉も満足げに微笑む。その温かな光景が、ハロウィンの夜を一層特別なものにしていた。

だが、そんな和やかなひとときも束の間、彼女たちの目に飛び込んできたのは、一際目立つ異様なグループだった。　仮装とは思えないほどの精巧な衣装をまとい、その動きもまるでプロのようだった。

「ほう、あの者たち…ただの素人ではないな。何者じゃろうか？」と、雪姉が興味津々に呟く。

お雪と真魚もそのグループに視線を奪われ、しばし言葉を失う。その集団は、まるで西洋のモンスターが現実に姿を現したかのような迫力で、観客たちを圧倒していた。

「やたらクオリティの高い集団がいるものだな」
とお雪がぽつりと呟くと、真魚も同意して、

「確かに、あれはただのコスプレとは思えないわね」
と続けた。 

その異彩を放つ集団がパレードの盛り上がりをさらに引き立て、見る者すべてに強烈な印象を与えていた。
ところが、突然、その集団の中から低く響く咆哮が聞こえた。
地鳴りのようなその声に、周囲の観客たちは一瞬にして静まり返り、凍りついたかのように目を見開いた。

雪姉は即座にその集団に目を向け、ただならぬ気配を感じ取る。緊張感が漂う中で、小声でお雪と真魚に告げた。

「何かが起きる…」

お雪と真魚もその異様な雰囲気に気づき、互いに不安げな視線を交わす。咆哮に呼応するように、集団の中の一人がゆっくりと前に出てきた。その動きには、人間の常識を超えた何かが宿っているように感じられた。
観客たちは何が起こっているのか理解できないまま、その存在はさらに不気味な気配を放ち始めた。

一体、これは何者なのか？そして、この異変が引き起こすものは何なのか？雪姉たちは次に訪れるであろう事態に備え、緊張感を漂わせながら身構えていた。