シン雪女伝説

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座敷わらし

座敷わらし

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## 座敷わらしの遭遇

しばし枕投げ合戦が続いた後、三人は布団を敷き直し、場所を広縁に移して静かな夜の時間を楽しむことにした。
月明かりの下でお茶を飲みながら、真魚は先ほどのムササビの話を雪姉とお雪に伝えた。

「本当に可愛かったんですよ。ムササビがあんなに近くで見られるなんて、信じられませんでした」

「それは良かったのう」

雪姉が笑顔で答える。

「でも、今夜はもう少しゆっくり過ごすとしよう。明日もあるからの」

すると突然、部屋の隅からかすかな音が聞こえてきた。    
三人は驚いて音の方向に目を向けると、そこには小さな影があった。
その影は、小さな子供の姿をしていた。
その子は、こちらのことなどまるで気にしている様子もなく、その場でビー玉で遊び始める。

「あれが噂の座敷わらしじゃな」

「本当にこの宿にいたのね」

お雪が静かに見守る。

そのうち、1個のビー玉が手元から転がり、真魚の足元にまで来た。
真魚はビー玉を拾い上げる。
ビー玉は、宝石のようにキラキラと透き通っていた。

「きれい。はい、これ」
と真魚は、ごく普通に差し出す。

「え?」
妙な間が空いて、その子供は突然叫び出した。

「うわーっ!人間!?見えちゃった!?」
叫び声をあげて、はしりだす。

「逃げないと、逃げないと」

部屋のドアをすり抜けて部屋の外に飛び出して行った。

「どうしよう、座敷わらしを驚かせちゃった」

 真魚が心配そうに言う。

「大丈夫、私たちがきちんと説明するから」

お雪達三人は座敷わらしを追いかけた。
お雪と雪姉は、浮遊して高速移動するという能力がある。

廊下を走ってる座敷わらしに雪姉とお雪あっという間に追いついていた。

「落ち着くのじゃ、我らは何もせぬ。どうじゃ、一緒に格ゲーをして気持ちを落ち着けるのだ」

とコントローラーを差し出して見せる。

ふと足元をみると、雪姉は空中に浮いている。浮遊して高速で追いかけていたのだ。

「ぎゃあー!」

得体のしれない相手に悲鳴をあげてさらに走りだす座敷わらしを浮遊しながら追いかける雪姉。

「格ゲー、楽しいぞ、楽しいのじゃ」
コントローラー握りしめながら追い掛ける。

「ぎやあー」

雪姉の後ろから追いかけてたお雪は軽くこめかみをを抑え、雪姉の頭をポンと叩く。

「逆効果でしょ!」

お雪は座敷わらしに追いつくと浮遊をやめて後ろから優しく抱きしめる。

「大丈夫よ。何も怖いことはないのよ」

座敷わらしはびっくりしていたが、お雪の優しさに少しずつ落ち着きを取り戻した。

「本当に?」  

座敷わらしが不安そうに聞くと、お雪は微笑んで頷いた。

「本当よ。私たちはただのお客さんだけど、あなたに会えて嬉しいわ」

「うむ、怖がらなくても大丈夫じゃ。私たちも妖怪なんじゃよ」

雪姉が優しく言った。

「え、本当?」

座敷わらしが目を丸くする。

「うむ、だから安心して良いのじや。だから、一緒に格ゲーするのじゃ、ビー玉より楽しいぞよ」

雪姉は座敷わらしにゲームを教え始める。

座敷わらしは飲み込みが早く、しばらくしたら雪姉が一方的にボコられるようになっていた。

「これ楽しい!」

「ぐぬぬぬ。楽しめて何よりじゃ…くぬぬぬ」
 
悔しそうな雪姉の顔を見て、真魚とお雪は微笑んだ。

「座敷わらしちゃん、これからもこの宿を守ってくれる?」

真魚が尋ねると、座敷わらしは元気よく頷いた。

「うん、もちろん!」

こうして三人は、新たな友達を得たことを喜びながら、静かな夜を楽しんだ。


三人が宿を発つ日がやってきた。楽しい時間はあっという間に過ぎてしまうものだ。チェックアウトの前に、三人は座敷わらしと最後の挨拶をすることにした。

「座敷わらしちゃん、私たちもう帰らなきゃならないの」

真魚が少し寂しそうに言った。

「でも、君に会えて本当に楽しかったわ。またいつか会えるといいね」とお雪も微笑みかける。

雪姉はバッグからゲーム機とコントローラー、そしていくつかのゲームソフトを取り出して座敷わらしに差し出した。

「これをお前にやろう。友達の証じゃ。これからもこの宿を守っておくれ」

雪姉が真剣な表情で言った。

座敷わらしは驚きと感動が入り混じった表情でゲーム機を受け取った。

「本当にありがとう!私、ずっとこれで遊んで、みんなのことを思い出すね。宿もちゃんと守るよ!」

「うむ、それでこそ頼りになる座敷わらしじゃ。今度来るときは、もっと強くなっていることを期待しておるぞ」

雪姉が笑顔で言った。

三人は最後に座敷わらしと記念写真を撮り、心温まる別れの言葉を交わした。そして、名残惜しさを胸に、宿を後にした。

「また来ようね、いつか」
真魚が言うと、お雪と雪姉も頷いた。

「うむ、次に来るときはまた楽しい思い出を作ろうぞ」 
雪姉達は笑顔で旅館を後にし、我が家への帰途につく。
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