シン雪女伝説

真魚

文化祭

### 文化祭の説明

「文化祭じゃと？」  
真魚の知らせに反応する雪姉。

「はい、これから準備で忙しくなります。文化祭って何ですか？」

「文化祭といえば、祭りじゃな。神輿が出たり、露店が出るのじゃ」  
いい加減な説明をする雪姉。

「神輿は出ないわよ。露店じゃなくて模擬店は出るわ」

「なんじゃと、祭りで神輿が出んと？ねぶたじゃろか？まさかサンバか？」

お雪は雪姉のボケに戸惑いながらも説明を続けた。「文化祭は、学校で行われるイベントよ。クラスごとに展示や出し物をしたり、演劇やダンスを披露したりするの。」

「なるほど、でお雪はサンバを踊るのか？」

「踊らない！お神輿やねぶたやサンバはない」

真魚は少しがっかりした様子でうなずいた。

「雪姉、真魚ちゃんにデタラメを吹き込むのはやめて！」

「楽しいければよいじゃろ」

### クラスの企画会議

「何をやるか考えよう。案がある人は手を挙げて。」お雪が提案すると、クラスメイトたちが次々と手を挙げた。

「お化け屋敷はどう？」

「カフェをやりたい！」

「演劇もいいんじゃない？」

真魚も手を挙げた。「雪姉様が文化祭といえばメイドカフェ一択じゃと言ってました。メイドカフェってなんですか？」

クラスメイトたちは一瞬驚いた顔をしてから、笑い始めた。「メイドカフェ？それも面白いかも！」

「雪姉め！つまらん入れ知恵を…」お雪が呟いた。

「メイドカフェっていうのは、メイドの格好をした店員さんがお客様をもてなすカフェのことよ。お茶やお菓子を運んでくれたり、お話ししてくれたりするの。」

お雪が説明すると、真魚は興味津々で頷いた。「それは楽しそうですね！やってみましょう！」

クラスメイトたちもメイドカフェのアイデアに賛成し始めた。「メイドカフェにしよう！それに決まり！」

「はぁ、決まりね。みんなで頑張って準備しよう！」

お雪は、ため息をつきながらもまとめた。メイドカフェの準備メイドカフェの準備が始まり、クラス全員が協力して装飾やメニュー作りに取り掛かった。真魚は特にメイド服を着ることに興味津々だった。「お雪さん、メイド服ってどんな感じですか？」
真魚が尋ねると、お雪は微笑んで答えた。「可愛いエプロンドレスよ。真魚ちゃんにもきっと似合うわ。」真魚は楽しみながら、他のクラスメイトたちと一緒にメイドカフェの準備を進めた。しかし、そんな中、お雪はメイド服を着ることに対して断固拒否の姿勢を貫いていた。「やらないって言ったらやらないわよ！」
衣装作りには協力的だったお雪がメイド服を着るのは拒否していた。「裏方ならいくらでも協力するけど、着るのはいやよ！」クラスメイトたちは、お雪の頑なな態度に少し驚きながらも、彼女の意見を尊重することにした。「わかったよ、お雪。無理に着させるのはやめるよ。でも、裏方としての協力、ありがとうね！」お雪は頷いて、再び準備に戻った。真魚はメイド服を楽しみにしながら、他のクラスメイトたちと一緒にカフェの装飾やメニュー作りに精を出した。文化祭当日が近づくにつれ、クラスのメイドカフェは徐々に形になっていった。皆の努力が実を結び、素敵なカフェが完成する予感が漂っていた。
### 文化祭当日

教室は賑やかで準備が最高潮に達していた。しかし、その騒がしさの中で、急な知らせが入った。

「お雪！大変！」

クラスメイトが慌ててお雪に駆け寄る。

「どうしたの？」お雪は心配そうに尋ねる。

「たか子が熱を出して休んだの」

クラスメイトは息を切らしながら答える。

「具合が悪いなら、仕方ないわ」お雪は落ち着いた様子で返す。

「でも、あの子、今日、すごく楽しみにしてたのに…。それで、メイドが一人足りなくなったのよ」

クラスメイトたちが一斉にお雪をじっと見つめる。視線が一斉に集まるそのプレッシャーに、お雪は観念したように溜息をついた。

「…わかったわよ。やればいいんでしょ！」

「よっしゃー！」クラスに歓声があがる。異様に盛り上がる雰囲気に、お雪は疑念を抱いた。

「…ねえ？本当にたか子休みなの？」

クラスメイトたちは目をそらしつつも、にやりと笑う。お雪は彼らの策に気づいたが、もう後には引けなかった。

「まったく、騙された気がするわ…。でも、仕方ないわね。」

そして、お雪は意を決してメイド服を手に取り、着替え始めた。真魚や他のクラスメイトたちが楽しみにしている文化祭を成功させるため、お雪も全力で協力することを決めた。

メイドカフェの扉が開かれ、お客様たちを迎える準備が整った。お雪も可愛いエプロンドレスに身を包み、少し照れくさそうに微笑んだ。

「いらっしゃいませ、ご主人様、お嬢様。」

「ほほう、よく似合うでないか」

一番乗りで雪姉が現れた。

「うるさい！ご注文は？」

「おい、このメイド接客がなっとらんぞ！」

顔を真っ赤にしてぷるぷる震えだすお雪。

「ご注文は、いかがなさいますか？ご、ご、ご主人様」

「やればできるではないか」

と雪姉は、突然スマホを取り出してお雪を激写し始める。

「や、やめてください、ご主人様」

撮り続ける雪姉、

「やめろー！でございます！ご主人様！！」

怒気を含んだ声に変わるお雪。

「おおう、真魚もかわいいではないか、ほれ、来るのだ写真を撮ってやろうぞ」

「はーい。撮ってください」

雪姉は、真魚も激写する。

「…だから、メイド服なんて嫌だったのに」

はぐらかされた格好になったお雪。

「ほれほれ、皆も集まるのじゃ集合写真を撮ってやろうぞ」

「はーい」

この子達…いつの間に雪姉と仲良くなったの？

「メイドさん、美味しくなる呪文を頼むのじゃ」

真っ赤な顔をしたお雪

「お、美味しくなれ、美味しくなれ、萌え萌えキュン」

ニヤニヤしてる雪姉。

「だから、メイドカフェなんか嫌だったのに…」

メイドカフェを満喫した雪姉は

「さて、ほかも見て回るのじや、お雪、真魚、がんばるのじや」

「ありがとうございます」

雪姉の激励に感謝する真魚。

お雪は、ふと、テーブルに雪姉のハンカチが忘れられているのに気がついた。

「雪姉、忘れ物…」

お雪は、ハンカチを取り慌てて雪姉を追いかける。

教室の扉をあけると雪姉が一人の生徒と親しげに話していた。

「たか子！あなた熱を出して休んだのじゃ…」

「そうじゃ、今も97度の熱があるのにクラスのことが心配で熱を押してまで様子を見に来たそうじゃ」

お雪は、全て悟った。

「そう。全て雪姉の入れ知恵か！」

「たか子、お主も早く帰らないと、体に障るぞ。そこまで送ろうぞ」

「はい」

雪姉とたか子は、小走りに駆け出す。

「97度の熱がある人間が、いるかーっ！」

廊下にお雪の声が鳴り響く。

憮然として教室に戻ると、当然お雪の声は教室に聞こえていた。クラスメイトは気まずそうだ。

「お雪さん、ごめんなさい、私が、雪姉に相談したんです」

「真魚ちゃん？」

「せっかくの文化祭だから、お雪さんと一緒に楽しみたかったんです」

「わかったよ。もういいわ」

昇降口、
昇降口でたか子と雪姉が話していた。
「せっかくの文化祭に、すまんのう」
と雪姉が言うと、たか子は笑顔で答えた。
「いえいえ、お雪さんのメイド姿を見れたのです、本望です」
「お雪のメイド姿の画像は、メールで送った。萌え萌えキュンの音声ファイル付きじゃ」
と雪姉が得意げに言うと、　たか子は嬉しそうに
「うふふふ、うれしいです」
と笑った。　「しかし、97度の熱は、オーバーどころの話ではないぞ。40度くらいにしておくほうがよいぞ」
と雪姉が続ける。
「いえ。97度でいいんです。実際97度ありますし」
とたか子が冷静に返す。
「実際にある？人間はそんな熱が出るまい」　
と雪姉が不思議そうに尋ねると、「あるんです、華氏97度です」
とたか子が説明する。
「華氏じゃと？」
と雪姉が驚くと、
「はい、華氏です」
とたか子が頷いた。
「ちなみに摂氏だと何度じゃ？」と雪姉が尋ねる
「36度ぐらいでしょうか」
とたか子が答える。
「平熱じゃの」
と雪姉が納得するように言うと、「平熱ですね」
とたか子も頷いた。
「たか子、お主も悪よのう」
と雪姉が笑うと、
「いえいえ、雪姉様にはかないません」とたか子が返す。
「うふふふ、ほほほほ」と高らかに笑う二人の声が昇降口に響いた。


なんやかんやあったがお雪たちのクラスのメイドカフェは、盛況のまま終了の時を迎えた。クラスメイトたちは達成感に満ち、みんなで笑顔を交わしながら片付けを始めた。「本当にお疲れ様でした、みんな！」お雪が声をかけると、クラスメイトたちも拍手を送った。「楽しかったね！また来年も頑張ろう！」真魚も嬉しそうに笑顔を見せた。「でも、もうメイド服はこりごりだわ…」お雪は、最後にそう呟きながらも、達成感に満ちた表情でみんなと一緒に教室を後にした。みんなで一緒に過ごした文化祭は、お雪たちにとってかけがえのない思い出となった。