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異世界征服はじめました
ティアナとヒルデガルド
しおりを挟むアルカジェリカ公王国の首都アルカナ正教会の大聖堂。
第一王女ティアナ姫と市民の女達と子供達が大勢ここにたて込もっていた。
ダクオン帝国軍が宣戦布告と同時に首都アルカナになだれ込んできた。
国王自ら剣を取り防衛にあたり、また多くの市民の男達が自分達の街を守ろうと立ち上がったが、あっという間に壊滅状態となっていた。
それでも一部の女や子供達が大聖堂に逃げ延びる時間は稼いでくれた。
ダクオン兵達はアルカナ市民達を奴隷にするため拉致してダクオン帝国本国へと連行していった。もはや首都アルカナに剣を取って戦える者は残っていない。
大聖堂に逃げ延びた女子供達は絶望にうちひしがれていた。
「皆さん!諦めては行けません!私の部下がフォーランドの兄上に救援要請にいってます。必ず助けに来てくださいます。きっと助かります」
ティアナ姫が決して大きくはないがそれでも凛とした声が人々の心を支えていた。
「そうだクロード王子が我が国最強の獅子王騎士団を率いて助けに来てくれます! 」ティアナの親衛隊ヒルデガルドが市民達の心を鼓舞する
ティアナ姫とヒルデガルドこの二人がいなければ市民達の心は、とうにおれていただろう。
ティアナとヒルデガルド自身もお互いの存在なくしてここまで持ちこたえられなかったろう。
「ヒルダ、ありがとう。あなたがいなければ私はここまで戦えなかった」
「もったいないお言葉ですか、私こそ姫様がいなければ…それにしてもダクオン帝国め、卑怯なまねをしてくれる」
「なにかあったの?」
「あいつら宣戦布告と同時にアルカナに突入してきた。宣戦布告前に我が国に侵入して首都近くに潜伏してたに違いません」
「なんてことでしょう。そのような卑怯な振る舞い神が許したもうはずもありません。かならずや私達に神のご加護があります」
ティアナ姫の祈りを見た市民達も手を合わせ神に祈る。
突然、ガーんという音が響き渡る。
扉に何かが当たる音だ。
ダクオン兵士達が扉を破壊しようして丸太で扉を攻撃してきた。
この大聖堂は緊急時の避難場所として設計されているので一撃ぐらいでは揺らぎもしない。
大聖堂の外側。
ダクオン兵が大聖堂を一重二重に取り囲んで誰一人逃さない構えだ。
「いいか、ティアナ姫だけは無傷で捕らえよ。皇帝陛下がご所望だ。他の女共はお前らの好きにしろ!もう一度、叩け!」
アルカナ攻略部隊の指揮官が叫ぶ。
「うおおおおおおっ!」
兵士達が雄叫びを上げ大きな丸太をのせた荷車を勢いよく押してスピードのせて荷車事扉にぶつける。
丸太が強く扉を叩く。
ドーンと激しい音が響き、ビリビリと扉が振動するが目に見えるダメージは受けてないようだ。
「くそっ!なんて頑丈なんだ」
「いっそう、火を放ちなますか?隊長」
「馬鹿言え。皇帝陛下がティアナ姫にご執心なんだぞ。火傷を負わせてその美貌を損なったら斬首もんだぞ」
「大陸一の美貌との噂は、わかりますが、ダクオン帝国の皇帝ほどのお方がそこまで入れ込むとは…」
「滅多なことを言うと貴様が斬首の憂き目にあうぞ!荷車を引け、もう一度、叩くぞ」
ドーンと激しい音が聖堂内に響く度に女達と子供達が悲鳴を上げる。
「落ち着いて大聖堂の扉は頑丈なうえ神々の祝福が込められている。ダクオン兵ごときには破れない」
ヒルデガルドが市民を励まし鼓舞する。
「神様、どうか 市民達をお救いください」ティアナ姫は心のなかで何度も何度も祈りを捧げる。
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