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第四章:再会と新たな婚約
しおりを挟む隣国での生活が安定し、ポニーの名はすっかり貴族社会に広まっていた。オルランドの支援と、ポニー自身の努力によって、彼女は隣国の貴族社会で華やかな存在となり、社交界では「絶世の美人」として知られるようになっていた。ポニーは舞踏会や宴会に頻繁に出席し、そこで多くの貴族たちと親交を深め、彼女の名声は日に日に高まっていった。
そんなある日、隣国の王宮からポニーに正式な招待状が届いた。隣国の王が主催する大規模な宴に招かれるという知らせだった。この宴には、隣国の名士や貴族が一堂に会するだけでなく、隣国と同盟を結ぶ他国からも多くの要人が集まる予定であった。ポニーは緊張とともにこの招待状を受け取り、同時に自分の成長を感じていた。
「私が王宮に招かれるなんて、少し前の私では考えられなかったわ…」
彼女はそう呟きながら、招待に応じることを決意した。オルランドもまた、「今の君なら堂々と王の前に立てる」と励ましてくれた。そして、彼女は一層美しく装い、心を引き締めて王宮へと向かった。
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豪華なシャンデリアが照らす王宮の大広間には、貴族たちの華やかな装いが映え、音楽と笑い声が響き渡っていた。ポニーが会場に入ると、すでに多くの視線が彼女に集まった。人々は彼女の美しさと優雅さに驚き、貴婦人たちはその容姿に嫉妬と憧れの混じった目を向け、男性たちは魅了され、彼女に近づこうとする者も少なくなかった。
しかし、ポニーは周囲に惑わされず、落ち着いた振る舞いで礼儀正しく人々と接した。彼女が微笑みを浮かべて会話を交わすたびに、周囲の人々の評価がますます高まっていった。
そんな中、ポニーがふと視線を感じて振り向くと、そこにはかつての婚約者、アルフレッド・ウィルモアの姿があった。彼は驚いた表情でポニーを見つめていた。彼女の美しさが彼の記憶の中の「地味で平凡」なポニーとは全く異なっていたからだ。
アルフレッドは彼女に歩み寄り、信じられないような表情で口を開いた。
「ポニー…?まさか、君がこんなところにいるなんて…」
ポニーは冷静な表情を保ちながら、彼に一礼して返事をした。
「お久しぶりです、アルフレッド様。ここでお会いするとは思いませんでした」
アルフレッドは戸惑いながらも、彼女の変貌に気づき始め、焦りを隠しきれない様子だった。以前の婚約破棄の場面が頭をよぎり、彼は自分の判断を悔やむような目つきで彼女を見つめた。
「…君がここにいるということは、隣国で新しい生活を送っているのか?」
「はい。私は隣国で大切な方々に支えられ、新たな人生を歩んでいます」
ポニーの毅然とした態度に、アルフレッドはさらに言葉を失った。そして、彼は何か言い訳をするように口を開いた。
「ポニー、その…私は、あの時…君のことを誤解していたかもしれない。君がこんなにも美しく、そして知性を兼ね備えた女性だったとは…」
彼の言葉に、ポニーは冷静な微笑みを浮かべながら答えた。
「お気遣いありがとうございます、アルフレッド様。しかし、私はもう王国には戻りません。ここで新しい生活を築くつもりですので、どうかご安心ください」
その言葉に、アルフレッドの表情がわずかに曇るのをポニーは見逃さなかった。彼はかつての婚約を取り戻すことが難しいと悟りながらも、どこか未練を感じている様子だった。しかし、ポニーには彼への愛情や未練など、もはや一片も残っていなかった。
会話が途切れた瞬間、ユリウスがポニーのもとに近づいてきた。彼は微笑みを浮かべ、ポニーに手を差し出した。
「ポニー、あなたの美しさはいつも驚かされるばかりです。もしよろしければ、今宵一緒に踊りませんか?」
ポニーは一瞬戸惑ったが、ユリウスの優雅な仕草に心が和み、彼の手を取り軽く頷いた。二人が舞踏会の中央で踊り始めると、会場の人々の視線が彼らに集まった。ユリウスのリードで優雅に舞うポニーの姿は、まるでおとぎ話の中の姫君のように美しかった。
アルフレッドはその光景を、悔しげな表情で見つめていた。かつて自分が捨てた女性が、これほどまでに魅力的に成長し、隣国の公爵に愛される存在となっていることが、彼の心を苛んでいた。
ダンスが終わると、ユリウスはポニーにそっと囁いた。
「ポニー、私はあなたを本当に特別な方だと思っています。あなたの隣にいることができることが、私にとって何よりの幸せです」
ポニーはその言葉に驚き、ユリウスの真剣な瞳を見つめた。彼の言葉は心からのものであり、ポニーにとって初めて「自分を本当に大切にしてくれる人」の存在を感じさせた。
「ユリウス様、私もあなたの優しさに救われました。隣国に来たことが、私にとって人生の転機となりました」
ユリウスは微笑み、彼女の手を優しく握りしめた。
「それなら、私と婚約してはいただけませんか?あなたと共に歩みたいと、心から願っているのです」
ポニーは驚きながらも、ユリウスの求婚に感動し、心が温かく満たされるのを感じた。彼女はこれまでの悲しみや屈辱を乗り越え、新しい愛と共に人生を歩む決意を固めた。そして、過去を振り返ることなく、未来へと進んでいくことを心に誓ったのだった。
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