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第三章:変貌と復讐の準備

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オルランドの邸宅での生活が始まってから、数ヶ月が過ぎた。ポニーはかつての貴族らしい振る舞いを取り戻しつつ、新たな教養や知識を身につける日々を過ごしていた。オルランドは彼女に、隣国の貴族たちが集う宴会や舞踏会での礼儀作法を教え、さらには隣国独自の文化や伝統についても詳しく指導した。

ポニーは日々努力を重ね、以前の彼女とはまるで別人のように成長していった。かつて王国で「地味で平凡」と嘲笑された彼女の外見も、オルランドのアドバイスに従い、少しずつ磨かれていく。美しいドレスに身を包み、化粧を施した彼女の姿は、かつての婚約者であるアルフレッドすら気づかぬほどの変貌を遂げていた。

「ポニー、今日は社交界で重要なパーティーが開かれる。お前も参加して、隣国の人々にその美しさと知性を披露してきなさい」

オルランドの勧めにより、ポニーは初めて隣国の貴族たちが集まる華やかなパーティーに参加することになった。豪華な邸宅で開かれたその場には、隣国の貴族や名士たちが集い、皆が優雅に踊り、笑顔を交わしていた。ポニーは初めは緊張していたが、オルランドの教え通りに振る舞うことで次第に自然な笑顔を浮かべるようになり、周囲の視線を集め始めた。

「おや、あの美しい淑女は誰だ?隣国から来た貴婦人らしいが…」

「信じられないほどの美貌だ。しかも、話してみると知性も感じられる」

ポニーが挨拶を交わし、軽い会話を交わすたびに、貴族たちは彼女の知性と美しさに魅了され、彼女に対する評価がどんどん高まっていった。その場にいる誰もが、彼女をただの田舎貴族だとは思わず、むしろ隣国に突然現れた謎の絶世の美人として噂を広め始めた。

ポニーもまた、貴族たちの関心を感じ、復讐の炎が再び心の奥底で燃え上がるのを感じていた。かつてアルフレッドに捨てられた屈辱、そして彼の冷たい言葉は今も彼女の胸に刺さっている。そのため、彼女はこの場で自らの価値を証明し、過去の自分と決別する覚悟を固めていた。

そのパーティーで、ポニーは一人の男性と出会うことになる。その男は、隣国の公爵であるユリウス・ヴァルデンで、彼もまたその美貌と威厳を兼ね備えた、誰もが憧れる存在だった。彼はパーティー会場に入ってくると、すぐにポニーに目を留め、ゆっくりと彼女のもとに歩み寄ってきた。

「お初にお目にかかります。私はユリウス・ヴァルデンです。貴方のような美しい女性に会うことができるとは、今日のパーティーに参加して本当に良かった」

彼の穏やかな声と優雅な挨拶に、ポニーは驚きながらも丁寧に一礼し、自己紹介をした。

「私も、お会いできて光栄です。私はポニー・エルムスと申します」

ユリウスは微笑みを浮かべながら、彼女と会話を始めた。その内容はごく普通の挨拶や世間話だったが、ポニーは彼の物腰の柔らかさと知的な会話に引き込まれ、自然と緊張が解けていくのを感じた。彼はかつて彼女が知っていたような傲慢で冷たい貴族とは違い、相手を尊重し、丁寧に接する人物であることがすぐに分かった。

ユリウスとの会話を楽しんでいたポニーだったが、心のどこかでは疑問も抱いていた。なぜ彼が自分に関心を持ってくれるのか、ただの挨拶以上に何か意図があるのではないか、と。だが、その考えを深く掘り下げることなく、彼女はユリウスとの楽しいひと時を満喫した。

その後、ユリウスは彼女にダンスを申し込み、ポニーは少し戸惑いながらもその手を取った。舞踏会の中央で二人が踊り始めると、周囲の人々が自然と彼らに注目し、その美しい光景に目を奪われた。ポニーもまた、久しぶりのダンスに心を弾ませ、ユリウスと共に華やかに舞う自分に少しずつ自信を取り戻していった。

「ポニー様、あなたのダンスは実に見事だ。このまま隣国で暮らしてはどうでしょうか?きっと、多くの方々があなたを歓迎するでしょう」

彼の言葉に、ポニーは微笑みながら答えた。

「ありがとうございます、ユリウス様。私も、隣国の人々にお会いできてとても嬉しいです。ここで新しい生活を始めることができれば、私の過去を清算し、新しい未来を歩むことができるでしょう」

そう言いながら、ポニーは心の中で新たな決意を固めた。隣国で名を上げ、さらに自分の美しさと知性を高めていけば、いずれ王国にいるアルフレッドにもこの噂が届くだろう。そして、彼が失ったものがどれだけ価値のあるものであったかを思い知らせることができるのだ。

パーティーが終わると、ユリウスは改めてポニーに礼を述べ、「またお会いできる日を楽しみにしています」と別れを告げた。その後もポニーは隣国の社交界で注目を集め、彼女の名声は隣国中に広がっていった。そして、それは徐々に王国にも届き、彼女がかつて婚約者であったことを知る人々の耳にも入るようになった。



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