上 下
107 / 109
第23話 最終章

アリアの新たなる日常とミラ

しおりを挟む


アリアはラボで新型レギオンの制作の指揮をとっていた。「アリア嬢、前回のような無茶は困る」と王国科学技術顧問エドガーに怒られた。「反省してる。ごめんなさい」とアリアは申し訳なさそうに答える。

前回、一人で不眠不休でレギオンジェネシスの強化に当たったのは、ゼクシウム光線装置を搭載するにあたってゼクシウムの情報を秘匿するためだった。今回の新型には、ゼクシウム光線装置は搭載されない。それは、ゼクシウム光線の高熱に自機の耐熱対策が解決できなかったためである。

代わりに、長距離飛行と機動力が強化された飛行ユニット2のさらなる強化と、最高速度の向上が図られた高機動飛行ユニット3が搭載された。メイン装備として高重力兵器が装備された。この高重力兵器は、ブラックホールを発生させ制御する兵器で、高重力でターゲットを押しつぶす。光波バリアのような防御があろうとも諸共に押しつぶしてしまう。もちろん再生能力などお構いなし押しつぶしてしまう代物だ。

「これがあれば、ゼータンにも対抗できる」とアリアは自信を持って言う。

思考回路の演算速度も向上させ、各部への伝達システムにニューロンシステムを採用する。

「レギオンジェネシツヴァイのメモリーが回収できてよかった」

「レギオン、新しい体ができるまでもう少し待ってね」

「了解。君とまた働ける日を待ってる」


新型レギオンジェネシスドライの開発が順調に進んでいた。各部門のエンジニアたちは、最新技術を駆使して最高のパフォーマンスを追求していた。アリアは設計図を見つめながら、細部のチェックを続けた。

「アリア嬢、この高重力兵器のテスト結果ですが…」と一人のエンジニアが報告書を持ってくる。「ありがとう。確認する」とアリアは報告書に目を通し始めた。

ラボ内は活気に満ちており、エンジニアたちは一丸となってレギオンジェネシスドライの完成を目指していた。アリアの指揮の下、チームは日夜努力を重ね、新型レギオンの開発に取り組んでいた。「みんな、頑張ってくれてありがとう。このプロジェクトは私たち全員の力で成功させるんだから」とアリアはチーム全員に向けて感謝の言葉を伝えた。

「もちろんです、アリア嬢!このレギオンジェネシスドライでゼータンを倒してみせます!」とチームの一人が答えた。
新たな力と決意を胸に、アリアたちはゼータンに立ち向かうための準備を進めていた。「もっとも、そんな頻繁にゼータンが現れるわけはないけどね。やっぱりぜーたんって可愛い名前だ」とアリアはクスリと笑った。

アリア研究所にてアリアが作業を終えたところに、ミラが訪問してきた。

「もうすっかり元気みたいね、アリアちゃん」

ミラが微笑みながら言った。

「ごきげんよう、ミラ様」

アリアも笑顔で応えた。
「でも、ずいぶん無理したみたいね。研究所にこもって何日も自宅に戻らないって、お姉さんのキャナル様もずいぶん心配してたわよ。ちゃんと食事をとってるのかとか、私も心配でしたわ!様子を見に来たら門前払いされましたから!」

ミラが少し怒りを含んだ声で言った。
アリアは恐縮して、
「ごめんなさい、集中してた。今はちゃんと休んでる」

「レギオンジェネシスⅡがゼクシウム光線を放ったのは、びっくりしましたわ。あなたの才能は素晴らしいけど、全部一人でやろうとしたりしないで、仲間をもっと信用しましょうね」

ミラが優しく言った。

「はい。ところで突然、行方不明になって、3日も無断外泊なんて、なにをしてたんですか?わたしも心配した」

「あう゛…」

突然の逆襲に窮するミラ。

「ごめんなさい」 

ミラは申し訳なさそうに答えた。

アリアは微笑んで 

「ありがとうございます、ミラ様」

「ええ?何かしら?」

ミラは、急展開に戸惑う。

「ゼータンを倒したのはミラ様ですね。行方不明の3日間、ゼータンと戦っていたんでしょう?」

アリアが指摘する。

「な、な、な、なんのこと?」

動揺しまくるミラ。
アリアは引き出しから1枚の写真を取り出す。

エンゼルフォームの写真。

認識阻害された不鮮明な写真ではない。

画像補正され、ミラの顔が鮮明に写った写真である。

「☓☓☓ʼn∥®✴??!!!」 

意味不明な言葉を発声してしまうミラ。
「この写真、どうやって…」

ミラは言葉を探すが、思わず驚きの声を上げてしまう。

「誰にも言いわない」 

アリアが微笑みながら言った。
ミラはため息をつき、少し笑いながら

「あなたには隠し通せないわね。ありがとう、アリアちゃん。これからもよろしくね」
と答えた。

「私の方こそありがとうございます。ミラ様は、私に戦う勇気をくれた」
アリアは感謝の気持ちを込めて言った。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】選ばれなかった王女は、手紙を残して消えることにした。

曽根原ツタ
恋愛
「お姉様、私はヴィンス様と愛し合っているの。だから邪魔者は――消えてくれない?」 「分かったわ」 「えっ……」 男が生まれない王家の第一王女ノルティマは、次の女王になるべく全てを犠牲にして教育を受けていた。 毎日奴隷のように働かされた挙句、将来王配として彼女を支えるはずだった婚約者ヴィンスは──妹と想いあっていた。 裏切りを知ったノルティマは、手紙を残して王宮を去ることに。 何もかも諦めて、崖から湖に飛び降りたとき──救いの手を差し伸べる男が現れて……? ★小説家になろう様で先行更新中

【完結】捨てられ正妃は思い出す。

なか
恋愛
「お前に食指が動くことはない、後はしみったれた余生でも過ごしてくれ」    そんな言葉を最後に婚約者のランドルフ・ファルムンド王子はデイジー・ルドウィンを捨ててしまう。  人生の全てをかけて愛してくれていた彼女をあっさりと。  正妃教育のため幼き頃より人生を捧げて生きていた彼女に味方はおらず、学園ではいじめられ、再び愛した男性にも「遊びだった」と同じように捨てられてしまう。  人生に楽しみも、生きる気力も失った彼女は自分の意志で…自死を選んだ。  再び意識を取り戻すと見知った光景と聞き覚えのある言葉の数々。  デイジーは確信をした、これは二度目の人生なのだと。  確信したと同時に再びあの酷い日々を過ごす事になる事に絶望した、そんなデイジーを変えたのは他でもなく、前世での彼女自身の願いであった。 ––次の人生は後悔もない、幸福な日々を––  他でもない、自分自身の願いを叶えるために彼女は二度目の人生を立ち上がる。  前のような弱気な生き方を捨てて、怒りに滾って奮い立つ彼女はこのくそったれな人生を生きていく事を決めた。  彼女に起きた心境の変化、それによって起こる小さな波紋はやがて波となり…この王国でさえ変える大きな波となる。  

一体だれが悪いのか?それはわたしと言いました

LIN
恋愛
ある日、国民を苦しめて来たという悪女が処刑された。身分を笠に着て、好き勝手にしてきた第一王子の婚約者だった。理不尽に虐げられることもなくなり、ようやく平和が戻ったのだと、人々は喜んだ。 その後、第一王子は自分を支えてくれる優しい聖女と呼ばれる女性と結ばれ、国王になった。二人の優秀な側近に支えられて、三人の子供達にも恵まれ、幸せしか無いはずだった。 しかし、息子である第一王子が嘗ての悪女のように不正に金を使って豪遊していると報告を受けた国王は、王族からの追放を決めた。命を取らない事が温情だった。 追放されて何もかもを失った元第一王子は、王都から離れた。そして、その時の出会いが、彼の人生を大きく変えていくことになる… ※いきなり処刑から始まりますのでご注意ください。

あなたの子ですが、内緒で育てます

椿蛍
恋愛
「本当にあなたの子ですか?」  突然現れた浮気相手、私の夫である国王陛下の子を身籠っているという。  夫、王妃の座、全て奪われ冷遇される日々――王宮から、追われた私のお腹には陛下の子が宿っていた。  私は強くなることを決意する。 「この子は私が育てます!」  お腹にいる子供は王の子。  王の子だけが不思議な力を持つ。  私は育った子供を連れて王宮へ戻る。  ――そして、私を追い出したことを後悔してください。 ※夫の後悔、浮気相手と虐げられからのざまあ ※他サイト様でも掲載しております。 ※hotランキング1位&エールありがとうございます!

初夜に「俺がお前を抱く事は無い!」と叫んだら長年の婚約者だった新妻に「気持ち悪い」と言われた上に父にも予想外の事を言われた男とその浮気女の話

ラララキヲ
恋愛
 長年の婚約者を欺いて平民女と浮気していた侯爵家長男。3年後の白い結婚での離婚を浮気女に約束して、新妻の寝室へと向かう。  初夜に「俺がお前を抱く事は無い!」と愛する夫から宣言された無様な女を嘲笑う為だけに。  しかし寝室に居た妻は……  希望通りの白い結婚と愛人との未来輝く生活の筈が……全てを周りに知られていた上に自分の父親である侯爵家当主から言われた言葉は──  一人の女性を蹴落として掴んだ彼らの未来は……── <【ざまぁ編】【イリーナ編】【コザック第二の人生編(ザマァ有)】となりました> ◇テンプレ浮気クソ男女。 ◇軽い触れ合い表現があるのでR15に ◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。 ◇ご都合展開。矛盾は察して下さい… ◇なろうにも上げてます。 ※HOTランキング入り(1位)!?[恋愛::3位]ありがとうございます!恐縮です!期待に添えればよいのですがッ!!(;><)

婚約破棄されたら魔法が解けました

かな
恋愛
「クロエ・ベネット。お前との婚約は破棄する。」 それは学園の卒業パーティーでの出来事だった。……やっぱり、ダメだったんだ。周りがザワザワと騒ぎ出す中、ただ1人『クロエ・ベネット』だけは冷静に事実を受け止めていた。乙女ゲームの世界に転生してから10年。国外追放を回避する為に、そして后妃となる為に努力し続けて来たその時間が無駄になった瞬間だった。そんな彼女に追い打ちをかけるかのように、王太子であるエドワード・ホワイトは聖女を新たな婚約者とすることを発表した。その後はトントン拍子にことが運び、冤罪をかけられ、ゲームのシナリオ通り国外追放になった。そして、魔物に襲われて死ぬ。……そんな運命を辿るはずだった。 「こんなことなら、転生なんてしたくなかった。元の世界に戻りたい……」 あろうことか、最後の願いとしてそう思った瞬間に、全身が光り出したのだ。そして気がつくと、なんと前世の姿に戻っていた!しかもそれを第二王子であるアルベルトに見られていて……。 「……まさかこんなことになるなんてね。……それでどうする?あの2人復讐でもしちゃう?今の君なら、それができるよ。」 死を覚悟した絶望から転生特典を得た主人公の大逆転溺愛ラブストーリー! ※最初の5話は毎日18時に投稿、それ以降は毎週土曜日の18時に投稿する予定です

好きな人に『その気持ちが迷惑だ』と言われたので、姿を消します【完結済み】

皇 翼
恋愛
「正直、貴女のその気持ちは迷惑なのですよ……この場だから言いますが、既に想い人が居るんです。諦めて頂けませんか?」 「っ――――!!」 「賢い貴女の事だ。地位も身分も財力も何もかもが貴女にとっては高嶺の花だと元々分かっていたのでしょう?そんな感情を持っているだけ時間が無駄だと思いませんか?」 クロエの気持ちなどお構いなしに、言葉は続けられる。既に想い人がいる。気持ちが迷惑。諦めろ。時間の無駄。彼は止まらず話し続ける。彼が口を開く度に、まるで弾丸のように心を抉っていった。 ****** ・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。

【完結】無能に何か用ですか?

凛 伊緒
恋愛
「お前との婚約を破棄するッ!我が国の未来に、無能な王妃は不要だ!」 とある日のパーティーにて…… セイラン王国王太子ヴィアルス・ディア・セイランは、婚約者のレイシア・ユシェナート侯爵令嬢に向かってそう言い放った。 隣にはレイシアの妹ミフェラが、哀れみの目を向けている。 だがレイシアはヴィアルスには見えない角度にて笑みを浮かべていた。 ヴィアルスとミフェラの行動は、全てレイシアの思惑通りの行動に過ぎなかったのだ…… 主人公レイシアが、自身を貶めてきた人々にざまぁする物語──

処理中です...