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第11章王城コンサート

パーティー

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コンサートが終わり、王城の広間では華やかなパーティーが始まった。美しい装飾が施された会場には、
王国中の有力貴族や重鎮たちが集まり、談笑しながら歓談を楽しんでいた。ミラもその一員として、正式な社交デビューを果たすこととなった。

パーティーが始まると、真っ先にヒルデガルドとクラリスがミラの元に駆け寄り、演奏の感想と労いの言葉をかけた。

「ミラ様、本当に素晴らしい演奏でしたわ。心から感動しました。」ヒルデガルドが微笑みながら言った。

「ミラ様の音楽は、まさに魂を揺さぶるものでした。」クラリスも続けた。

ミラは彼女たちの温かい言葉に感謝し、少し緊張がほぐれた。しかし、その後すぐに、多くの貴族たちがミラに話しかけようと殺到してきた。ヒルデガルドとクラリスは、そんな状況を見てすぐに対応した。

「ミラ様は、演奏でお疲れです。少しの間、休ませて差し上げてくださいませ。」
美しい笑顔で周囲の貴族たちに告げた。

その美しい笑顔と優雅な対応に、貴族たちは一歩引き下がり、ミラに少しの休息を与えることに同意した。しかし、他の貴族たちが再びミラに接近しようとするたびに、ヒルデガルドとクラリスが絶妙なタイミングでミラとの談笑を続け、その接近をブロックしてくれた。

「ミラ様、最近のお気に入りの曲は何ですか?」
クラリスが微笑みながら尋ねる。

「そうですね、最近は新しいピアノ協奏曲を練習しているんです。とても素敵な曲で、演奏していて楽しいです。」
ミラは穏やかに答えた。

「それは楽しみですわ。ぜひ、次のコンサートでも聴かせてくださいね。」
ヒルデガルドが嬉しそうに言った。

その間にも、他の貴族たちはミラに話しかける機会を狙っていたが、ヒルデガルドとクラリスの巧妙なブロックにより、なかなか近づけなかった。

そんな中、フォルスト侯爵辺境伯が優雅にミラに近づいてきた。彼は笑顔でミラに挨拶をし、優雅に言葉をかけた。

「ミラ嬢、貴女の演奏には心から感動しました。ぜひ、一度お話ししたいと思っておりました。」

ミラはその優雅な態度と洗練された言葉に、一瞬で好印象を抱いた。彼のような人物が辺境伯とは、さすが王国の重鎮だと感心した。

しかし、その時、三馬鹿王子の一人であるアルフォルスが現れ、フォルスト侯爵辺境伯に割って入った。「ミラは我々の婚約者候補ですので、他の貴族と親しくなることは許されません。」

クラリスはすかさず言葉を続けた。「ミラ様はあくまで候補の一人に過ぎません。ここに残りの二人の候補がいるのに、ミラ様だけを特別扱いされるなんて悲しゅうございます。」

厚かましい王子にはクラリスがしっかりと対応し、辺境伯にも冷静に応対した。「辺境伯様、美女ならここにもおります。私ともお話しくださいませ。」
ヒルデガルドも微笑みながら辺境伯に声をかけた。
辺境伯はその対応に微笑を浮かべ、冷静に答えた。
「もちろんです、皆さんともお話ししたいと思っております。」

一方で、ミラの両親であるアルスランド公爵夫妻もパーティーに参加しており、娘の成長と成功を誇らしげに見守っていた。
親ばかぶりを発揮しながら、他の貴族たちに娘のことを自慢して回っていた。

「うちのミラは本当に素晴らしい演奏をしましたでしょう?彼女は昔から音楽の才能があって…」

ミラはその様子を見て、少し恥ずかしく思いながらも両親の愛情を感じて温かい気持ちになった。

パーティーは夜遅くまで続き、ミラは次々と声をかけられながらも、なんとかその場を乗り切った。彼女の社交デビューは成功し、王国中の貴族たちにその存在を強く印象付けることができたのだった。

パーティーが終わり、帰り支度のために控室に戻ったミラ。
そこにはヒルデガルドとクラリスも揃い、 王国の至宝が勢揃いしていました。 
「にしても相変わらずですわ、3人の王子殿下は…」 ヒルデガルドは口調こそ柔らかいがその言葉には少しの皮肉が含まれていました。 
「そうですね。公爵の娘として逃れられぬ運命というのは、頭痛の種ですわ」
クラリスも同じように王子たちに対してやや困惑した表情を見せてる。
「辺境伯様はミラ様にご執心のご様子ですわ」
「まぁ、王子殿下よりは…」
ミラは多少好意的に答えました。「だめですわ。ミラ様は、私の嫁ですわ」
ヒルデガルドが冗談交じりに話す。「ヒルダ様、ずるい!ミラ様は、私の嫁でございます」
クラリスも負けじと言い返す。
「ヒルダ様、クラリス様…」
ミラは微笑みながら二人を見つめ、三人は一緒に笑い合いました。
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