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第1話 古家の台所の話~アリテャ・シクーヨの謎
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《タイトル画面》
これは10年くらい前に、会社を辞めて間もない頃の話です。
____________________________
おれは7月から、ニートになってしまった。
これも、これで、個人的には本当に体験した怖い話なのだけれども、
今回は、実際にあった、心霊系の怖い話をします。
会社を辞めて、疲れ切った心のリフレッシュと、
身体に蓄積された、余分なものを落とすために、
毎日の野菜スムージーと、夕方に軽いジョギングを始めた。
常に格好から入るおれは、毎日四〇度を超える真夏なのに、
ボクサーが着ているような、
減量用の真っ黒なボクサスーツをNETで買った。
買ってみて、ボクサー体系ではない自分が実際に着てみると、
ちょっと恥ずかしくなって、日暮れ時に、
あまり人気のない路地裏とかを選んで走っていた。
広い敷地に、木立が生い茂っている、寂れた古いお寺があったり、
朽ちて、いまにも崩れそうな廃屋があったりとかで、
わりと近所なのに、立ち入ったことのない細い路の先には、
新しい発見がいっぱいあった。
そんな中、いつも違う道を、適当に選んで走っていると、
川を越えた先の、広いお寺の裏手辺りの道に出た。
先を見ると、左側に古い祠が見えてきた。
その祠を通り過ぎたとき、急に空気をヒヤッと感じた。
(ん!?ここは心霊スポットか……)
そして、すこし先に行くと、薄暗い細い路を抜けた左手に、
昭和初期の頃に建てたような古い家があって、
垣根の上からすこしだけ、中庭が窺がえた。
人の気配のない、その家の中を何気なく見ながら、
ゆっくり走っていると、台所の窓が開いていて、
食卓のテーブルと、二脚の椅子が見えた。
部屋には、電気がついてなかったけど、
傾いた西日が、すこし差し込んでいて何とか見える。
良く見ると、薄暗い台所のテーブルの奥に、
外を向いて、老婆が一人座っていて、
正面の椅子の方を見て、微笑んでいた。
おれも何気なく、老婆が見ている前の椅子の方を見た。
すると、老婆と向かい合うように、
茶色に近い金髪に、可愛いリボンをつけた小さな女の子が、
テーブルに両手をついているような恰好の後姿が見えた。
女の子は、後ろを向いていて顔は見えないが、
髪の長い後ろ姿の、肩くらいまでが台所の窓枠ギリの高さで見えた。
……外人の娘かな?老婆は日本人なのに、子供(孫?)は外国人?
おれが、なにか違和感を感じたのは、
老婆は微笑んで、その幼い子を見ているだけで、
二人の間には、会話が何もないのだ。
それよりも、もっと違和感を感じたのは、
その外人の女の子が、―――やけに小さい。
椅子に座っているんだから、赤ちゃんではないと思うけど、
なんか、やけに小さく感じた。
女の子の身体は、二、三十センチくらい?
えっ、人形……?
その娘は、そのくらい小さかったが、人形では無かった。
―――女の子の頭は、動いているのだ!?
隣近所に家は無いんだけども(てか怖ぇーし)、
ここに立ち止まって、いつまでも覗いているわけにもいかないんで、
その場を通り過ぎたけど、…………家へ帰る、おれの頭の中は『???』でいっぱいだった。
―――3日後。
あれから家にいても、此間の事が頭から離れない。
おれは決心して、もう一度、あそこに行くことにした。
ジョギングは、いつも通ったことの無い、細い裏路地を適当に選んで走っていた。
だから今回は始めて、あそこに行こうと目的地を決めて、走ることになる。
あの祠を越えて、古い平屋が続く、細い裏道に入った。
少し走って行くと、左手に、あの垣根が見えて来た。
おれは走りながら、また垣根の上から、台所を覗いてみた。
「……誰もいない」今日は台所に人影は見当たらなかった。
おれが顔を戻そうとした時に、古屋の中庭から視線を感じて、顔を向けた。
そこには、―――こちらを向いている、あの老婆が立っていた!
目があった??
……いや、老婆は、こっちを見ているが、
おれの顔のやや下、庭の垣根の下の方を見て微笑んでいる。
―――この下に何かいるのか?
おれには、垣根が視界になっていて、老婆が見ている中庭側の垣根の下は見えない。
と、その時、あの小さな金髪の幼い子が、垣根の下から、おれの視界に入って来た。
そして、老婆の方へ走って行く!
その金髪の子が、四つん這いになって、老婆へ向かって走って行った!!
―――四つ足!?
ここで、読んでいる方は、おれが見たものが何だったのか分かったと思います。
えっ、分からないって?
……では、
この小説のタイトルの、カタカナ部分を逆さから読んでもらえれば分かると思います。
終わり
◇――――――――――――――――――――――――――――――◇
この先は読まない方が良いと思います。
ここまでの話は、昔やっていたブログから、そのまま拝借したものです。
そちらの方は、子供とかも見に来てくれていたので、必要以上に怖がらせてはマズいと思って、これで終わりにしましたが、あれから、十年以上が経っていますので……。
実は、この話には、本当の後日談があります!!
(ブログに載せたタイトルと終わり方は、実は作り話です)
本当は、おれは、あの台所のある古い家には、最初の一度しか行ってないのです。
……行ってないというか、
正しくは、あの後、グーグルマップとかで調べて、大体この辺りかなと目星をつけて、二回ほど行っては見たのですが、あの古い家が何処にも見当たらないのです。
自宅の西側にある川を渡った先のxxx寺(実名は伏せますが)という、古いお寺の裏手辺りだと思うので、何度か、そのお寺の付近を行き来したりしたのですが、あの不気味な祠すら、見当たりません。
実話なので、みなさんが期待されているような身の毛がよだつような話はありませんが、これは、私が十年前に本当に体験した話です。
―――あの夏の日に迷い込んだ場所はどこだったのか?
―――そして、あの小さな女の子は一体何だったのか?
今でも分かりません。
これは10年くらい前に、会社を辞めて間もない頃の話です。
____________________________
おれは7月から、ニートになってしまった。
これも、これで、個人的には本当に体験した怖い話なのだけれども、
今回は、実際にあった、心霊系の怖い話をします。
会社を辞めて、疲れ切った心のリフレッシュと、
身体に蓄積された、余分なものを落とすために、
毎日の野菜スムージーと、夕方に軽いジョギングを始めた。
常に格好から入るおれは、毎日四〇度を超える真夏なのに、
ボクサーが着ているような、
減量用の真っ黒なボクサスーツをNETで買った。
買ってみて、ボクサー体系ではない自分が実際に着てみると、
ちょっと恥ずかしくなって、日暮れ時に、
あまり人気のない路地裏とかを選んで走っていた。
広い敷地に、木立が生い茂っている、寂れた古いお寺があったり、
朽ちて、いまにも崩れそうな廃屋があったりとかで、
わりと近所なのに、立ち入ったことのない細い路の先には、
新しい発見がいっぱいあった。
そんな中、いつも違う道を、適当に選んで走っていると、
川を越えた先の、広いお寺の裏手辺りの道に出た。
先を見ると、左側に古い祠が見えてきた。
その祠を通り過ぎたとき、急に空気をヒヤッと感じた。
(ん!?ここは心霊スポットか……)
そして、すこし先に行くと、薄暗い細い路を抜けた左手に、
昭和初期の頃に建てたような古い家があって、
垣根の上からすこしだけ、中庭が窺がえた。
人の気配のない、その家の中を何気なく見ながら、
ゆっくり走っていると、台所の窓が開いていて、
食卓のテーブルと、二脚の椅子が見えた。
部屋には、電気がついてなかったけど、
傾いた西日が、すこし差し込んでいて何とか見える。
良く見ると、薄暗い台所のテーブルの奥に、
外を向いて、老婆が一人座っていて、
正面の椅子の方を見て、微笑んでいた。
おれも何気なく、老婆が見ている前の椅子の方を見た。
すると、老婆と向かい合うように、
茶色に近い金髪に、可愛いリボンをつけた小さな女の子が、
テーブルに両手をついているような恰好の後姿が見えた。
女の子は、後ろを向いていて顔は見えないが、
髪の長い後ろ姿の、肩くらいまでが台所の窓枠ギリの高さで見えた。
……外人の娘かな?老婆は日本人なのに、子供(孫?)は外国人?
おれが、なにか違和感を感じたのは、
老婆は微笑んで、その幼い子を見ているだけで、
二人の間には、会話が何もないのだ。
それよりも、もっと違和感を感じたのは、
その外人の女の子が、―――やけに小さい。
椅子に座っているんだから、赤ちゃんではないと思うけど、
なんか、やけに小さく感じた。
女の子の身体は、二、三十センチくらい?
えっ、人形……?
その娘は、そのくらい小さかったが、人形では無かった。
―――女の子の頭は、動いているのだ!?
隣近所に家は無いんだけども(てか怖ぇーし)、
ここに立ち止まって、いつまでも覗いているわけにもいかないんで、
その場を通り過ぎたけど、…………家へ帰る、おれの頭の中は『???』でいっぱいだった。
―――3日後。
あれから家にいても、此間の事が頭から離れない。
おれは決心して、もう一度、あそこに行くことにした。
ジョギングは、いつも通ったことの無い、細い裏路地を適当に選んで走っていた。
だから今回は始めて、あそこに行こうと目的地を決めて、走ることになる。
あの祠を越えて、古い平屋が続く、細い裏道に入った。
少し走って行くと、左手に、あの垣根が見えて来た。
おれは走りながら、また垣根の上から、台所を覗いてみた。
「……誰もいない」今日は台所に人影は見当たらなかった。
おれが顔を戻そうとした時に、古屋の中庭から視線を感じて、顔を向けた。
そこには、―――こちらを向いている、あの老婆が立っていた!
目があった??
……いや、老婆は、こっちを見ているが、
おれの顔のやや下、庭の垣根の下の方を見て微笑んでいる。
―――この下に何かいるのか?
おれには、垣根が視界になっていて、老婆が見ている中庭側の垣根の下は見えない。
と、その時、あの小さな金髪の幼い子が、垣根の下から、おれの視界に入って来た。
そして、老婆の方へ走って行く!
その金髪の子が、四つん這いになって、老婆へ向かって走って行った!!
―――四つ足!?
ここで、読んでいる方は、おれが見たものが何だったのか分かったと思います。
えっ、分からないって?
……では、
この小説のタイトルの、カタカナ部分を逆さから読んでもらえれば分かると思います。
終わり
◇――――――――――――――――――――――――――――――◇
この先は読まない方が良いと思います。
ここまでの話は、昔やっていたブログから、そのまま拝借したものです。
そちらの方は、子供とかも見に来てくれていたので、必要以上に怖がらせてはマズいと思って、これで終わりにしましたが、あれから、十年以上が経っていますので……。
実は、この話には、本当の後日談があります!!
(ブログに載せたタイトルと終わり方は、実は作り話です)
本当は、おれは、あの台所のある古い家には、最初の一度しか行ってないのです。
……行ってないというか、
正しくは、あの後、グーグルマップとかで調べて、大体この辺りかなと目星をつけて、二回ほど行っては見たのですが、あの古い家が何処にも見当たらないのです。
自宅の西側にある川を渡った先のxxx寺(実名は伏せますが)という、古いお寺の裏手辺りだと思うので、何度か、そのお寺の付近を行き来したりしたのですが、あの不気味な祠すら、見当たりません。
実話なので、みなさんが期待されているような身の毛がよだつような話はありませんが、これは、私が十年前に本当に体験した話です。
―――あの夏の日に迷い込んだ場所はどこだったのか?
―――そして、あの小さな女の子は一体何だったのか?
今でも分かりません。
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