3 / 9
3
しおりを挟む
▪️▪️▪️フタツヌク
「お前もやはり役立たずか…」。
何度目かのセリフと首が床の上を転がる音がした。ムーサイ7人衆は全てが捨て駒となった。サンジェルマン王に命じられ7人衆を率いていたイリアスは腰を抜かして失禁している。
「まあよい、両国からあの光は感じられなくなったからな、仕上げの時が来たようだ。イリアスよ、サンジェルマンは帰りあの者に伝えよ。全軍戦闘配置をせよとな」
ニドーの地鳴りのような指令が響き渡った。
□□□ キャラバン隊・東ヨーツ平原
「あれがサンノロの野営地ですよね、スリーン」
商隊の商人に扮装したフォーシスが、この先を心配そうに窺いながら轡を取るラクダ飼いに話し掛けた。返事はなかったが、その返事の代わりに伸ばした左手の親指を立てた。
「どんな勝算があるのかしら?いかに過去にサンジェルマンの王子だとしても、その威厳は今はもう通じないものになってるはず。強行突破なんて荒療治は嫌よ、こんな所で仲間は失いたくないわ」
哨戒していた兵が陣営へと戻って報告をする。
「サンノロ隊長、正体不明の商隊が真っ直ぐこちらへ向かっており総勢30名程度であります。旗印はありません、如何しましょうか?」
「旗印なしか…そのままにして陣営へと引き入れる。絶対に指示があるまで攻撃はするな」
□□□ サンジェルマン城
「ムーサイ7人衆が…あの手練れ達が全滅させられただと、信じられん。誰にやられたのだ?」
顔色を蒼白にサラーン・サンジェルマン王がイリアスへ聞き返すと、彼はドギマギしながら出まかせで返した。
「ヤツらの正体は不明ですが謎の集団が動いておるようです、あのその…イーチバーン族の可能性もあります」
「なんとあの幻の一族か、それは厄介だの」
「恐れながら申し上げます、ここは国を守る為に全軍に戦闘配置をした方がよろしいかと」。
隊長といえども一兵卒のイリアスの出過ぎた注進にサラーン王が怒りを表す前に、王妃フォーススが反応した。
「王よ、この忠臣の勇気ある進言を受け入れるべきでしょう。国難の時です、このような時にシヨーヌから進撃されるやもしれません」
ここにいるのは、かつてのサラーン王ではない。後妻王妃に骨抜きにされたチキン野郎である、一も二もなく受け入れて下知を公布した。
「全軍戦闘配置」。
「お前もやはり役立たずか…」。
何度目かのセリフと首が床の上を転がる音がした。ムーサイ7人衆は全てが捨て駒となった。サンジェルマン王に命じられ7人衆を率いていたイリアスは腰を抜かして失禁している。
「まあよい、両国からあの光は感じられなくなったからな、仕上げの時が来たようだ。イリアスよ、サンジェルマンは帰りあの者に伝えよ。全軍戦闘配置をせよとな」
ニドーの地鳴りのような指令が響き渡った。
□□□ キャラバン隊・東ヨーツ平原
「あれがサンノロの野営地ですよね、スリーン」
商隊の商人に扮装したフォーシスが、この先を心配そうに窺いながら轡を取るラクダ飼いに話し掛けた。返事はなかったが、その返事の代わりに伸ばした左手の親指を立てた。
「どんな勝算があるのかしら?いかに過去にサンジェルマンの王子だとしても、その威厳は今はもう通じないものになってるはず。強行突破なんて荒療治は嫌よ、こんな所で仲間は失いたくないわ」
哨戒していた兵が陣営へと戻って報告をする。
「サンノロ隊長、正体不明の商隊が真っ直ぐこちらへ向かっており総勢30名程度であります。旗印はありません、如何しましょうか?」
「旗印なしか…そのままにして陣営へと引き入れる。絶対に指示があるまで攻撃はするな」
□□□ サンジェルマン城
「ムーサイ7人衆が…あの手練れ達が全滅させられただと、信じられん。誰にやられたのだ?」
顔色を蒼白にサラーン・サンジェルマン王がイリアスへ聞き返すと、彼はドギマギしながら出まかせで返した。
「ヤツらの正体は不明ですが謎の集団が動いておるようです、あのその…イーチバーン族の可能性もあります」
「なんとあの幻の一族か、それは厄介だの」
「恐れながら申し上げます、ここは国を守る為に全軍に戦闘配置をした方がよろしいかと」。
隊長といえども一兵卒のイリアスの出過ぎた注進にサラーン王が怒りを表す前に、王妃フォーススが反応した。
「王よ、この忠臣の勇気ある進言を受け入れるべきでしょう。国難の時です、このような時にシヨーヌから進撃されるやもしれません」
ここにいるのは、かつてのサラーン王ではない。後妻王妃に骨抜きにされたチキン野郎である、一も二もなく受け入れて下知を公布した。
「全軍戦闘配置」。
0
お気に入りに追加
8
あなたにおすすめの小説
「あなたの好きなひとを盗るつもりなんてなかった。どうか許して」と親友に謝られたけど、その男性は私の好きなひとではありません。まあいっか。
石河 翠
恋愛
真面目が取り柄のハリエットには、同い年の従姉妹エミリーがいる。母親同士の仲が悪く、二人は何かにつけ比較されてきた。
ある日招待されたお茶会にて、ハリエットは突然エミリーから謝られる。なんとエミリーは、ハリエットの好きなひとを盗ってしまったのだという。エミリーの母親は、ハリエットを出し抜けてご機嫌の様子。
ところが、紹介された男性はハリエットの好きなひととは全くの別人。しかもエミリーは勘違いしているわけではないらしい。そこでハリエットは伯母の誤解を解かないまま、エミリーの結婚式への出席を希望し……。
母親の束縛から逃れて初恋を叶えるしたたかなヒロインと恋人を溺愛する腹黒ヒーローの恋物語。ハッピーエンドです。
この作品は他サイトにも投稿しております。
扉絵は写真ACよりチョコラテさまの作品(写真ID:23852097)をお借りしております。
断罪される一年前に時間を戻せたので、もう愛しません
天宮有
恋愛
侯爵令嬢の私ルリサは、元婚約者のゼノラス王子に断罪されて処刑が決まる。
私はゼノラスの命令を聞いていただけなのに、捨てられてしまったようだ。
処刑される前日、私は今まで試せなかった時間を戻す魔法を使う。
魔法は成功して一年前に戻ったから、私はゼノラスを許しません。
愛せないですか。それなら別れましょう
黒木 楓
恋愛
「俺はお前を愛せないが、王妃にはしてやろう」
婚約者バラド王子の発言に、 侯爵令嬢フロンは唖然としてしまう。
バラド王子は、フロンよりも平民のラミカを愛している。
そしてフロンはこれから王妃となり、側妃となるラミカに従わなければならない。
王子の命令を聞き、フロンは我慢の限界がきた。
「愛せないですか。それなら別れましょう」
この時バラド王子は、ラミカの本性を知らなかった。
【完結】捨ててください
仲 奈華 (nakanaka)
恋愛
ずっと貴方の側にいた。
でも、あの人と再会してから貴方は私ではなく、あの人を見つめるようになった。
分かっている。
貴方は私の事を愛していない。
私は貴方の側にいるだけで良かったのに。
貴方が、あの人の側へ行きたいと悩んでいる事が私に伝わってくる。
もういいの。
ありがとう貴方。
もう私の事は、、、
捨ててください。
続編投稿しました。
初回完結6月25日
第2回目完結7月18日
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる