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▪️▪️▪️フタツヌク

「お前もやはり役立たずか…」。

 何度目かのセリフと首が床の上を転がる音がした。ムーサイ7人衆は全てが捨て駒となった。サンジェルマン王に命じられ7人衆を率いていたイリアスは腰を抜かして失禁している。

「まあよい、両国からあの光は感じられなくなったからな、仕上げの時が来たようだ。イリアスよ、サンジェルマンは帰りあの者に伝えよ。全軍戦闘配置をせよとな」

 ニドーの地鳴りのような指令が響き渡った。

□□□ キャラバン隊・東ヨーツ平原

「あれがサンノロの野営地ですよね、スリーン」

 商隊の商人に扮装したフォーシスが、この先を心配そうに窺いながら轡を取るラクダ飼いに話し掛けた。返事はなかったが、その返事の代わりに伸ばした左手の親指を立てた。

「どんな勝算があるのかしら?いかに過去にサンジェルマンの王子だとしても、その威厳は今はもう通じないものになってるはず。強行突破なんて荒療治は嫌よ、こんな所で仲間は失いたくないわ」

 哨戒していた兵が陣営へと戻って報告をする。

「サンノロ隊長、正体不明の商隊が真っ直ぐこちらへ向かっており総勢30名程度であります。旗印はありません、如何しましょうか?」

「旗印なしか…そのままにして陣営へと引き入れる。絶対に指示があるまで攻撃はするな」

□□□ サンジェルマン城

「ムーサイ7人衆が…あの手練れ達が全滅させられただと、信じられん。誰にやられたのだ?」

 顔色を蒼白にサラーン・サンジェルマン王がイリアスへ聞き返すと、彼はドギマギしながら出まかせで返した。

「ヤツらの正体は不明ですが謎の集団が動いておるようです、あのその…イーチバーン族の可能性もあります」

「なんとあの幻の一族か、それは厄介だの」

「恐れながら申し上げます、ここは国を守る為に全軍に戦闘配置をした方がよろしいかと」。

 隊長といえども一兵卒のイリアスの出過ぎた注進にサラーン王が怒りを表す前に、王妃フォーススが反応した。

「王よ、この忠臣の勇気ある進言を受け入れるべきでしょう。国難の時です、このような時にシヨーヌから進撃されるやもしれません」

 ここにいるのは、かつてのサラーン王ではない。後妻王妃に骨抜きにされたチキン野郎である、一も二もなく受け入れて下知を公布した。

「全軍戦闘配置」。









 
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