127柱目の人柱

ど三一

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学舎編

師達の夕餉

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神様候補達が宿舎にて夕餉に舌鼓を打っているのと同刻。学舎の飯処でも師やその部下達の殆どが集まっていた。こちらも夕餉を戴きながら、此度の神様候補達の事や講義での様子について話していた。今夜質問責めに遭うのは、勿論本日の講義を担当していた師である鞠駒、比良坂、五島の三名である。

「鞠駒殿の担当されている天界史で、神様候補同士の言い争いがあったと聞きましたが、一体どのような経緯で?」
「学舎が始まって日がそれほど経っていないというのに血気盛んな事で…此度も血生臭い選定になりそうです?」
「いやいや、皆異なる時代の生まれならば、考え方も違って当然。今回の件は選定とはまた別の所の…」

鞠駒の周囲には、これから講義を担当する師や神様候補同士の争いを第三者として楽しみたい者が集まって矢継ぎ早に質問している。学舎内で争いが活発化するのは毎回後半であるが、此度の件は始まって数日。表には出さずとも気になっている師は多い。好奇心の矛先となった鞠駒の耳が困ったように揺れる。

「どうでした五島殿?貴殿から見て意気のいい神様候補は居られましたか?」
「何せ今回は名のある神様の配下も多数候補となっている故に、五島殿も冷や汗をかく展開があったのでは?」
「まさか。五島殿の身体に怪我は一切見られないよ!今回も余裕の勝利といった所でしょう」
「今はまだ稚魚なれど、大魚となる見込みのある者は何名か。…比類なき才覚を持つ微睡みの金鱗が目覚めたならば、座すか退くかは思いのままであろう」
「おや!そんな逸材がいましたか!五島殿からのお墨付きを得るとは…此度は相撲取り候補が豊作で私も楽しみだ」
「…病座の。貴殿は毎度毎度、潮目がいくら変わってもそればかりだな」
「はっはっは!私の一番の楽しみなのでね!いい力士となる者達を見定められるから、学舎の師を引き受けたと言っても過言では無い。どうです五島殿と麒麟殿、皆さん方で不可思議生物相撲など催して…」
「また出海殿はそのような…」

体力訓練を担当した五島の周りには、五島と同じく不可思議な生物や麒麟などの伝説上の生物達が集まっている。出海の相撲好きは皆承知の事で、学舎が始まると相撲取りにならないかと定期的に誘われるのが恒例だ。両の拳を握り、本気の勧誘をする出海の勢いに押され気味の不可思議生物達を見て微笑んでいる茂籠茶老の隣席に座る師。

「比良坂殿、宿舎では鯉の煮付けが夕餉に出されているそうですよ」
「…そうか」
「鯉」
「…ああ」
「甘く煮た鯉」
「…だから何だ!我々とて鯉ではないが甘辛い煮付けを食しているだろう…!」
「雁尾や、神候補達の為に用意した食事なのだから、横取りなどせぬようにな」
「釘を刺されてしまった。比良坂殿、比良坂殿の煮付けは私のより美味そうな部位に見え…」
「ええいっ何故雁尾お前がここに居る!?この席は本来鞠駒か出海殿の席だぞ!?」
「いや、比良坂殿は肉の方が好んでいると鞠駒殿に聞いたので」
「お前っ…また私から集ろうと…!」

比良坂の飯に熱い視線を向ける雁尾に、心底嫌そうな顔をする比良坂。雁尾が神様候補であった時から比良坂は雁尾を苦手としていた。二人の掛け合いは飯処中に聞こえており、比良坂を心配した鞠駒がチラチラと二人の方を見ていた。
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