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学舎編
勉強仲間
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しっかりと纏められた袖を身体を捻って満足そうに見たナジュは、何となく集団の中央の方に立ち講義を担当する師が来るのを待っていた。講義の名は”体力訓練”。神様候補達は基礎的な体術及び武術等を学ぶ事となる。神と成れば日々座を狙われる。座の力、術を用いて撃退すればいいと考える者も多いが、中にはそれを掻い潜る猛者や術の効力が及ばない相手もいる可能性がある。配下や使用人、出入りの客人と狙う者は多い。一太刀を避けるか受けるかで座から陥落するか否かが決まる、そう茂籠茶老は考えて最低限の防御術を学ぶ機会を用意している。神様候補の中には、己の得意な得物を持参している者達も居た。
「修練着に着替えてくるだけでいいって看板に書いてあったが、中には木剣や棍棒を持ってる奴もちらほら……。別に何か得意な武器があるってわけじゃないが、手持ち無沙汰だな」
武術に関して全くの素人であるナジュは、他の神様候補達の修練着姿を見て少しだけ不安になってくる。実際各々の実力にかなりの差があり、ナジュと同じ未経験はほぼ居ない。どのような講義になるかはまだ誰も知らないが、既に準備運動を始めている者も居て、ナジュも見よう見まねで伸びをしていると、講義開始の鐘が鳴ると同時に武道場の扉が開く音がした。師の登場か?と神様候補達は一斉に振り返る。
「…ふわっ!?えと、すみません…すみません」
「南天だ」
扉からそろりと現れた南天は、一気に集団の視線を集めて狼狽えた。そして何か悪い事でもしたのかと思い謝りながら集団の後ろの方に混じった。その様子から師ではないと判断した神様候補達は直ぐに興味を無くして世間話に戻る。ナジュは顔を赤くした南天に近付いて行く。
「よお、どうしたんだ?」
「あっどうも…!えと…ナジュ、君。書庫で調べ物をしていたら何時の間にか学舎の中が静かになっていて、慌てて修練着に着替えて武道場に走って来たんですよ…!はあ…」
南天は薄らと額に汗をかきながら、所持していた書物を持ち直した。間に何枚も紙が挟まっており、見ると南天が午前の二つの講義の中で疑問に思った事や深く知りたい事を書き留めている。ナジュは勉強熱心な奴だと心の中で感心していた。
「良かったな、間に合って」
「はい、修練着を昨日のうちに用意していて後は着るだけだったので…。現代史の講義は要約が黒壁に記されましたが、詳細な事は主に比良坂師による口頭での説明だったので、講義中はただ筆を走らせるばかりで頭の中でうまく整理できなくて何が疑問かも言語化できませんでしたから、天界史で抱いた疑問を調べるのと現代史の整理のため一度書庫で集中する時間が必要だったんです」
「俺も現代史は忙しかった!話がどんどん進んで行って、黒壁の文字は消えていくしでよお!講義を思い出してもう一度見直さないとな…!」
「ふふ、ナジュ君も僕と同じみたいで安心しました。周りの方はじっと聞いているだけという人が多くて……今度、聞き逃してしまったり、あやふやな所があれば教え合いませんか?」
「そんなの俺の方から頼みたいくらいだよっ!頼む、南天」
「はい、ナジュ君」
微笑ましい二人の会話のすぐ後に、「集合!」と声が掛かり、師らしき者が立っている場所に向かって共に駆け足で進んで行った。
「修練着に着替えてくるだけでいいって看板に書いてあったが、中には木剣や棍棒を持ってる奴もちらほら……。別に何か得意な武器があるってわけじゃないが、手持ち無沙汰だな」
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「…ふわっ!?えと、すみません…すみません」
「南天だ」
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「よお、どうしたんだ?」
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「良かったな、間に合って」
「はい、修練着を昨日のうちに用意していて後は着るだけだったので…。現代史の講義は要約が黒壁に記されましたが、詳細な事は主に比良坂師による口頭での説明だったので、講義中はただ筆を走らせるばかりで頭の中でうまく整理できなくて何が疑問かも言語化できませんでしたから、天界史で抱いた疑問を調べるのと現代史の整理のため一度書庫で集中する時間が必要だったんです」
「俺も現代史は忙しかった!話がどんどん進んで行って、黒壁の文字は消えていくしでよお!講義を思い出してもう一度見直さないとな…!」
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「そんなの俺の方から頼みたいくらいだよっ!頼む、南天」
「はい、ナジュ君」
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