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学舎編
欲望の視線
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講義を担当する師がそんな邪な企みの種を芽吹かせているとも知らず、神様候補達は比良坂が話す現代の話と黒壁に記される文字から歴史を学んでいく。天界出身と現世出身では興味の度合いに違いが出るのも毎度の事で、ある程度反応を見ればその神様候補がどちらの出身か比良坂にはわかるようになった。話す内容は決まっている為、口を動かしながら神様候補をどちらか判定する余裕もある。
(桃栗と柳元は現世か…隣同士で懐かしいと話し合っているからな。他夏は…ぼんやりしているか眠っているか…。ナジュは…矢鱈興味津々といった様子だな?特定の時代へ興味を持つ、知識を離し始めるのは現世出身者の特徴だが、どの時代の話にも食いつきが良い…。単に現世の歴史に興味のある天界出身者か?紙に一所懸命に黒壁の文字を書き写して…ああ…上目使いが愛らしい)
邪な目でナジュを見下ろす比良坂。もしこの場に二人きりであったならば、もっと露骨に好色な目を向けていただろう。他の神様候補が居る手前抑え気味ではあるが、そんな欲の滲む瞳を察している者が何名か居た。
(何となく…嫌な感じのする視線だな。この部屋に入ってきた時、俺達全体を見たようだがすぐに前の列に留まっていた。あまり、気を抜ける相手じゃねえな)
(比良坂師の好み何となくわかっちゃった。多分他夏くんからナジュくんまで好きな子集めたんだね?柳元くんは系統が反対だからよくわからない。う~ん、可愛いと思われているのは嬉しいけど、師は僕の好みじゃないんだよねえ。師との逢瀬も魅力的だけれど)
(おや、比良坂様は前列の方々がお好みでいらっしゃる?とても良い趣味でございますね。桃栗様とナジュ様の間の方を除いて、どの方も一晩二晩共に過ごしていただきたい方ばかり。唐梳様の目を盗んで彼らと親交を深めていきましょうか?フフ…ナジュ様とは、給水湯場で刺激的なひと時を楽しめましたが、途中で唐梳様に見つかってしまいました。今度肌を合わせる機会が巡ってくれば、その時は…フフ)
雷蔵、桃栗、オウソウが比良坂の視線に潜む情欲を見抜いていた。恐らく比良坂は自分に近しい嗜好を持つと思ったオウソウは、その視線を放つ瞳からもっと身体の奥、今は静かな腹の底に渦巻く欲望を想像して触発される。彼の垂涎の青年達の中からナジュとの記憶を思い出し、呪印に翻弄されて震える身体といじらしい喘ぎ声を頭の中で繰り返す。背後から舐め回すようにナジュの下半身を眺めていると、前に居る比良坂以上の嫌な気配を感じたナジュはきゅっと縮こまって背中を丸めた。それを見て静かにクスクスと笑うオウソウを、隣に座る唐梳が睨む。
(急に背筋が寒くなったな…雁尾から悪戯でもされてんのか?今は黒壁の文字を書き写さなきゃいけないから振り返ってる暇はない。文字は時間が経つと薄くなって消えていくようだからな)
現代史の講義は比良坂の予想通り淡々と進み、次回の説明を話し終わってから心臓が動く速さで三つ数えた後に終了の鐘が鳴る。解散を言い渡された神様候補達は次々と近代室から出て行く。次の講義は昼休みを挟む為、殆どが飯処に向かう事だろう。比良坂は巻物を巻きなおす振りをして、一番筆を動かしていたナジュの手元をこっそり覗き込む。
(あまり…上手ではないな。所々文字が間違っているし、言い回しが…。しかし、熱心に励む子だ)
勉強道具を纏めたナジュは、桃栗や柳元、丹雀に囲まれて、共に近代室から出て行く。彼らの会話に耳を澄ませナジュの事情を知った比良坂の脳裏には、ナジュを手中に収めるあくどい企みが花開いたのだった。
(桃栗と柳元は現世か…隣同士で懐かしいと話し合っているからな。他夏は…ぼんやりしているか眠っているか…。ナジュは…矢鱈興味津々といった様子だな?特定の時代へ興味を持つ、知識を離し始めるのは現世出身者の特徴だが、どの時代の話にも食いつきが良い…。単に現世の歴史に興味のある天界出身者か?紙に一所懸命に黒壁の文字を書き写して…ああ…上目使いが愛らしい)
邪な目でナジュを見下ろす比良坂。もしこの場に二人きりであったならば、もっと露骨に好色な目を向けていただろう。他の神様候補が居る手前抑え気味ではあるが、そんな欲の滲む瞳を察している者が何名か居た。
(何となく…嫌な感じのする視線だな。この部屋に入ってきた時、俺達全体を見たようだがすぐに前の列に留まっていた。あまり、気を抜ける相手じゃねえな)
(比良坂師の好み何となくわかっちゃった。多分他夏くんからナジュくんまで好きな子集めたんだね?柳元くんは系統が反対だからよくわからない。う~ん、可愛いと思われているのは嬉しいけど、師は僕の好みじゃないんだよねえ。師との逢瀬も魅力的だけれど)
(おや、比良坂様は前列の方々がお好みでいらっしゃる?とても良い趣味でございますね。桃栗様とナジュ様の間の方を除いて、どの方も一晩二晩共に過ごしていただきたい方ばかり。唐梳様の目を盗んで彼らと親交を深めていきましょうか?フフ…ナジュ様とは、給水湯場で刺激的なひと時を楽しめましたが、途中で唐梳様に見つかってしまいました。今度肌を合わせる機会が巡ってくれば、その時は…フフ)
雷蔵、桃栗、オウソウが比良坂の視線に潜む情欲を見抜いていた。恐らく比良坂は自分に近しい嗜好を持つと思ったオウソウは、その視線を放つ瞳からもっと身体の奥、今は静かな腹の底に渦巻く欲望を想像して触発される。彼の垂涎の青年達の中からナジュとの記憶を思い出し、呪印に翻弄されて震える身体といじらしい喘ぎ声を頭の中で繰り返す。背後から舐め回すようにナジュの下半身を眺めていると、前に居る比良坂以上の嫌な気配を感じたナジュはきゅっと縮こまって背中を丸めた。それを見て静かにクスクスと笑うオウソウを、隣に座る唐梳が睨む。
(急に背筋が寒くなったな…雁尾から悪戯でもされてんのか?今は黒壁の文字を書き写さなきゃいけないから振り返ってる暇はない。文字は時間が経つと薄くなって消えていくようだからな)
現代史の講義は比良坂の予想通り淡々と進み、次回の説明を話し終わってから心臓が動く速さで三つ数えた後に終了の鐘が鳴る。解散を言い渡された神様候補達は次々と近代室から出て行く。次の講義は昼休みを挟む為、殆どが飯処に向かう事だろう。比良坂は巻物を巻きなおす振りをして、一番筆を動かしていたナジュの手元をこっそり覗き込む。
(あまり…上手ではないな。所々文字が間違っているし、言い回しが…。しかし、熱心に励む子だ)
勉強道具を纏めたナジュは、桃栗や柳元、丹雀に囲まれて、共に近代室から出て行く。彼らの会話に耳を澄ませナジュの事情を知った比良坂の脳裏には、ナジュを手中に収めるあくどい企みが花開いたのだった。
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